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[クリニックインタビュー] 2013/05/31[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第150回
さわらぐち胃腸肛門クリニック
中川元典院長

恩師が大腸の専門だったのがきっかけ

 父が外科を中心とした、いわゆる町の医者として開業していまして、様々な患者さんを診察していました。それで何となく医師になろうと思っていました。特に周りから勧められたことはなかったのですが、おそらく幼いころからずっと父を見ていたので、その影響はあったのではないでしょうか。
 医学部に入学後、どの科に進もうかという段階では、外科以外は想像もしていなかったです。もし外科ではなかったら…うーん、そうですね…研究者を志していたかも知れません(笑)。
 卒業後は小児外科と一般外科に勤務し、その後当院を開業しました。現在の胃腸肛門科で開業しようと思ったきっかけは、一般外科時代の恩師が大腸の専門医だったということが大きいですね。もちろん手術もしていましたし、その経験を活かそうと思いました。
 ちなみに妻も外科医でして、開業当初は妻も診察に携わっていましたが、彼女は他院で勤務もしており、なかなか忙しく、今は私のみで診察しています。

見えないところだから、不安を少しでもなくす


モニターも見やすい位置に

 当院に来られる患者さんは、早い段階で違和感を覚えて来院される方もいれば、中には相当な痛みを抱えて、それでも不安ながらに駆け込んで来られる方もいらっしゃいます。いずれにしても、やっとの思いで来られた方々へ安心して帰っていただくこと、それを大事にしています。また、お尻は後ろにあり、自分では見えないところですので、不安も大きいと思います。ですから、普段の診察で具体的に心がけていることは、患者さんの背後で機器を操作しながらそのままお話せず、きちんと患者さんから見えるところで会話すること。それが無理な場合はスタッフが傍につくようにしています。やはり後ろの見えないところで何かされている、というのは、それだけで心配になると思うんです。そして必要に応じてモニターに映して治療の方針をご説明する等、少しでも安心して治療に向かっていたければと普段から考えています。
 それと、当院では入院の必要な手術は行っていませんので、もしそういう治療が必要になった場合は、専門的な他の病院をご紹介します。肛門の手術ができる病院・医師は限られているのが現状ですが、信頼できるところへすぐご紹介するようにしています。
 お尻にまつわる症状というのは、どちらかというと人に話しづらい…と考える方が多いかも知れません。ですが、何か気になることがあったら、恥ずかしがらず、怖がらず、なるべく早めの受診をおすすめしたいと思っています。

「病気ではないもの」にも力を入れる


インタビュー中にも相談の電話が。ゆっくりと優しい口調で患者さんに話す

 もうひとつ私自身が力を入れているのが、便秘の相談です。便秘が直接の原因で命を落す可能性は低く、いわゆる「病気」の括りではないのですが、外科的な観点から、例えば腸などに何らかの病気が見つかる可能性はゼロではありません。当院では、便秘の原因を検査し、必要に応じてその方に合った便秘のお薬を出す、といった対応をしています。
 便秘の原因はおおまかには大腸の運搬、直腸の排出の2つに大きく区分されますが、実は排便のメカニズムやペースは人それぞれ。体格や食生活、環境など様々な要因が大きく影響します。しかしだからこそ、不安になってしまうところが大きいと思います。患者さんをみていると、強い下剤を飲みすぎてお腹がいつも痛い…といった方も多いように思えます。治療するに当たっては食べたものや排便の回数、便の性状などを記録してもらってその人の排便のパターンを把握することが最も大事ですが、検査としては腸を内視鏡で見たり、あとは排出の際の力を測定したりしています。例えば排出の力がどうしても弱くなりがちな高齢の方は、出しやすくするお薬を試していただく、といった具合です。
 便秘は日々の生活に密接につながっていることですので、時には患者さんから電話で相談が来ることもあります。その際はお薬の調整を伝えたり、不安を少しでも和らげるようにお話を聞いたり、できる限り対応している毎日です。
 また、外科と小児外科を担当してきた経験を活かして、子どもの便秘も診ています。このケースが意外に多くて、悩んでいらっしゃるお母さんの多さを実感しています。

家事もこなしながら、晩酌を楽しむ日々

 先にも出ましたが、妻も激務なので、家では家事のほとんどを引き受けています。子どもの保育園の送迎や炊事、洗濯、掃除等、診察が終わってからも忙しいものです(笑)。今は趣味にたっぷり時間をかけられないのが実際ですが、それでも、時々食べに行ったラーメン屋さんや、気候がいい時にツーリングに出かけたことを、ブログに書いたりしています。あとはお酒が好きなので、それもよくブログに書いていますね。家でも晩酌したりして、たまには休肝日も作らないといけないなぁとは思っていますが…。ちなみに、お酒を飲むからというだけではないのですが、胃カメラの診断は年1回必ず受けています。患者さんのためにも家族のためにも、自分の健康状態は確認しておかないと、ですね。

取材・文/松田はなこ(まつだ・はなこ)
市場調査会社、広告代理店勤務後、広告プロダクションにてコピーライター職を経験。その後福岡でフリーペーパー記事やTwitterのbotのツイートライティング等を行う。

さわらぐち胃腸肛門クリニック

医院ホームページ:http://www.sawaraguchi-cl.jp/

福岡市営地下鉄空港線藤崎駅 1番出口より徒歩1分、早良口交差点の角、藤崎メディカルビル5階。
遠くからでもすぐに分かる特徴的なビル。1階には調剤薬局が。
待合室は絵本が置いてあるなど、お子さんにも来てもらいやすい明るい雰囲気。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

胃腸科、肛門科、外科、小児外科、便秘外来、健康診断

中川元典(なかがわ・もとのり)院長略歴
1994年 久留米大学医学部卒業 久留米大学小児外科入局
1995年 福岡市立こども病院外科
1996年 聖マリア病院小児外科
1997年 社会保険田川病院外科
1999年 久留米大学外科学入局 標津町国保病院(北海道)、宇久町立病院(平戸諸島)等にて勤務
2002年 高木病院外科
2003年 ペンシルベニア大学医学部留学
2006年 久留米大学病院医療センター外科
2007年 高野会 くるめ病院外科
2010年 さわらぐち胃腸肛門クリニック開業


■所属・資格他
日本大腸肛門病学会、日本消化器内視鏡学会


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