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[医療人] 2014/05/14[水]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第162回
ひばりヶ丘診療所
熊野雄一院長

幼いころからの祖母のすすめで医学部へ

 医師になろうと思ったのは、祖母からすすめられたことがきっかけでした。祖父が長崎医大の医師をしていたこともあり、祖母は家族を医師にしたいと考えていたようです。子どもは3人いましたが、誰もならなかったので孫たちに期待が回ったようで(笑)。祖母は近所に住んでいて、幼いころから、「尊敬される職業だし、経済的にも安心できるからお医者さんになるといいよ」と聞かされてきました。
 野球が好きで、小学生のころは本気でプロ野球選手を目指していたのですが、実際に進路を考えるようになったときに祖母の言葉を思い出し、医学部を目指すことにしました。
 自分にとっての「医師」のイメージは開業医で、「なんでもみてくれる身近なお医者さん」でした。ですので自然とそういう医師になりたいと考えるようになっていました。病気を発見、診断することに興味があったので、胃カメラや超音波検査などを扱う消化器内科を専門に選びました。
 大学病院や総合病院の勤務医をしながら、いつか開業したいという漠然とした思いはあったのですが、たまたま、ひばりヶ丘診療所の先代の先生が70歳で引退されるということでお誘いいただきました。自分自身がここ、東久留米で生まれたこともあり、懐かしいというか、慣れ親しんだ場所でもあったので、引き継ぐ形で診療所の医師になりました。

治療でも日常生活でも「安心」を提供したい

 私が引き継いでからは12年目ですが、診療所は40年以上前からこの地にあったので、そのころから長く通っている患者さんも多くいらっしゃいます。近くに「ひばりが丘団地」という築40年ぐらいの大きな団地があることもあり、患者さんは比較的ご高齢の方が多いですね。ただ、新しくマンションなども建っているので若いご家族もいて、お子さんの受診も増えてきています。内科開業医ということもあり、風邪や生活習慣病などを診ることが多いですね。
 生活習慣病など慢性的な病気は、長いおつきあいになることも多く、定期的に検査や診察をして、患者さんがなるべく快適に、安心して日常生活をおくれるようサポートできればと考えています。
 診療所には特別な理念などはありません。とにかく「患者さんのために自分のできることをする」が基本方針です。私自身もそうなのですが、どうしても「お医者さんの前に出ると緊張してうまく話せない」という人も多いと思います。ですから、なるべく話をしやすい雰囲気とか、笑顔を忘れないようにしています。病気のことだけでなく、家族のこと、生活のこと、趣味のことなど、いろいろな話をしますし、それが少しでも患者さんの気晴らしになるならうれしいですね。待合室でも、雑誌を読んだり、テレビを見たりして、リラックスしてお待ちいただけるようにしています。小さなお子さんもいらっしゃるので、たたみのスペースで自由に遊んでもらえるように、おもちゃや絵本なども置いてあります。
 また、慢性疾患でずっと通っていた患者さんで、高齢化に伴い通院が困難になった方や末期がんの方などには在宅医療もおこなっています。2週間、もしくは1か月に一度ぐらいの頻度で、お昼休みに往診しています。患者さんにとっては、やはり住み慣れた我が家で医療を受けられるならそれがいちばんだと思いますし、私自身も、患者さんのお宅に行くと、ご家族との様子とか、写真が飾ってあったりとか、その方の生活や生きてきた歴史のようなものを感じることができるのが楽しいですね。
 この地域も高齢化が進んでいますし、団地内でも一人暮らしの人が多くなってきました。在宅医療のニーズはこれからますます高まっていくと思います。といっても私一人でできることには限りがありますので、地域の訪問看護師やケアマネージャー、中核病院などと連携しつつ、皆で力を合わせていければと考えています。

地域のニーズに応じた医療を

 この診療所を引き継いでから12年、開業当時に小さかった子たちがどんどん成長していく姿を見るのは楽しいですね。予防接種で大泣きしていた子が、中学生とか高校生になって頼もしくなった姿を見て、「人って成長するんだなぁ」としみじみ思ったりします。
 一方で、やはり高齢化のせいか、この十数年で認知症の患者さんが増えていることを実感します。認知症は人によって症状も進行度も異なり、早く治療を始めれば、それだけ進行を遅らせることができるので、早期診断、早期治療が重要です。でも、患者さん自ら気づいて受診することは少なく、だいたいご家族が「冷蔵庫に同じものばかりある」とか「今までできたことがうまくできなくなった」といった異変に気づいて一緒に来られます。認知症の診断には画像検査など専門的な検査も必要ですので、こちらで問診などをして、必要な場合は専門病院を紹介しています。そこで診断をしてもらって、その後の治療や経過観察は、また診療所でおこなう患者さんも多いですね。
 認知症の治療は、「治す治療」ではなく「進行を遅らせる治療」なので、治療をしていても効果を実感できないこともあります。でも、少しでも病気の進行を抑えられるよう、ご本人やご家族の負担を軽くできるよう、治療を考えています。とくに糖尿病など、認知症以外にも病気を持っている場合は、薬をきちんと飲むことや生活上の注意を守ることも大切なので、ご家族や、一人暮らしの場合はヘルパーさんなどと協力体制をとりながら、きめ細やかな治療や見守りをしていくことが必要だと思います。

地域のラグビーチームで元気をチャージ

 おかげさまで開業以来、体調を崩して休むような事態になったことはなく、そのせいか自分自身の健康のためにしていることなどはとくにありません。ただ体を動かすことは好きでラグビーやゴルフをしていて、それがリフレッシュになっています。
 ラグビーですが、大学時代部活動をしていたので、診療所の待合室に「ラグビーマガジン」を置いていたのです。ふつう、病院ではあまり見かけない雑誌ですよね(笑)。それを見た患者さんで、ご自身もラグビーをやっている方がいて、「先生もやってるんですか?」と話をするようになって、それがきっかけで東久留米のラグビーチームに入り、今はキャプテンをつとめています。今は週1回の練習ですが、20歳から上は70歳以上の方まで幅広い年齢の方がいて、職業もさまざま。ちなみに医師は私ひとりです。体を動かすのは気持ちがいいですし、その後にお酒を飲んだり食事をしながら、職業の枠を超えていろんな人と話ができるのがとても楽しいです。80歳近い人もいて、そんな人生の大先輩が元気に活躍している姿を見ると、まだまだ自分も元気でがんばらなくちゃと勇気がわいてきます。
 またそれとは別に、最近ももクロにもはまっていまして、コンサートに行くと、これまた楽しくてすごく元気になります。
 大学病院にいたころは忙しくて運動や趣味を楽しむこともできなかったのですが、今ではそういう時間も楽しめるようになりました。これからも、今まで通り元気に、患者さんと向き合い、地域と連携しながらその健康をサポートしていけたらと考えています。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

医療法人社団 佑友会 ひばりヶ丘診療所

医院ホームページ:http://www.hibarigaoka.jp

西武池袋線「ひばりヶ丘」駅より西武バス田無駅行き(南沢5丁目経由)で約10分、「ひばりが丘団地北口」下車すぐ。
大きな窓から明るい陽が射しこむ待合室には畳のスペースもある、アットホームな診療所です。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

内科、胃腸科、循環器科、小児科

熊野雄一(くまの・ゆういち)院長略歴
1993年 昭和大学医学部卒業 同大学第二内科入局、昭和大学病院
2000年 都立荏原病院
2002年 ひばりヶ丘診療所開設


■所属・資格他
日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医


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