[医療人] 2014/06/27[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第163回
西田メディカルクリニック
西田元彦理事長

人を見る医療としての漢方治療へ

 父が医師だったため、背中を追うように自然な流れで自分も医師を目指しました。名鉄病院から西尾市民病院等を経て、2002年に今の西田メディカルクリニックを開院しました。専門は内科、消化器科、アレルギー科です。学生時代から東洋医学の考え方に関心を持っていました。西洋医学は、外傷とか感染症などの原因が外から来ている病気には効果的ですが体の中からの影響による内因性の場合は東洋医学の方が向いています。間違った生活習慣やストレスといったものの積み重ねで起きた病気は、西洋医学だけでは限界があります。要は、病気を診るか、本人を診るかということです。西洋医学は病気を診ますが、漢方はその人自身、その人の体質を診ます。体質に異常がある人は、西洋医学より漢方の方が合っています。東洋医学の基本は、「未病を治す」ことです。大きな病気になる手前で治していく考え方です。私は現代の未病とは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をさしていると考えています。これらの病気は血液検査や血圧計などがなかった時代には、病気ではありませんでした。例えば、高血圧の人でも血圧計がなければ正常の人と区別できません。高血圧のせいで心臓病になったり脳梗塞になったり脳出血を起こしたりして初めて病気として認識される。患者さんにとっては症状が出てないような状態を、東洋医学的にいうと未病だということになる。そういうものを治していくのが漢方ですね。

笑いで免疫力向上を証明

 年に2回ほど健康に関する講演会を開催していて、平成12年に「笑い」で免疫力が上がるかを調べようと、落語を聴く前後に希望者から採血をさせてもらいました。その結果、笑いでNK細胞が活性化することを裏付けるデータが出たので、笑いで免疫力が上がるという論文を学会で発表しました。現在、多くの方が笑いで免疫力がアップするということを知っていると思いますが、この論文がこの事実を、日本で最初に証明した実験です。
 さらに、平成23年に楽しくなくても、「作り笑い」でも健康効果があるかの実験をしました。この実験を行った理由は、東日本大震災の時に、ボランティアで岩手に行って感じたことですが、多くのお笑い芸人が被災地を訪問しているのを見て、来ている時は楽しくて被災者の免疫力も上がるかもしれないけれども、帰ってしまったらまたすぐ戻ってしまうじゃないかと。辛い状態、悲しい状態の時に、自然に笑うことはなかなかできないけれど、つくり笑いでも健康効果があると証明して、辛くても笑えばいいよといってあげれば、苦しんでいる人たちにも自分で行える健康法として提示できるのではという思いがあったからです。
 実験結果は、作り笑いでもNK細胞活性も上がり、ストレスホルモンが低下しました。心理テストでも、疲労がとれて、活力が上がる結果が出ました。辛くても悲しくても笑うことの大切さを多くの人に知って欲しいと考えています。

一人ひとりの状態に合わせた治療を

 クリニックに併設している「メディプラスガーデン」という運動施設では、笑いヨガの教室や、笑いを取り入れた健康体操のプログラムを行っています。ホリスティック医療として病気を治すために、生活習慣の改善にも取り組んでいます。薬だけではなく、食事と運動も重視しており、食事については管理栄養士が、運動はスポーツインストラクターが指導して、食事も運動も頑張りたいという人にはバックアップできる体制を作っています。整形外科で運動施設を持っているところはありますが、内科ではなかなかありません。本当に生活習慣病を治していくモデルケースになればと思って始めました。
 目指しているホリスティック医学は総合医学ともいい、患者さんのためになるなら、西洋医学でも東洋医学でも民間療法でも、こだわらずに取り入れます。とにかく良くなってくれればいい、そのためには漢方治療がいいのか西洋医学を見極めてあげないといけません。漢方治療を希望していても、西洋医学の方がいい場合もあるし、西洋医学の薬でなければ嫌だという人でも、漢方薬を試してみたらと提案することもあります。どちらも使えるのがいいと思います。状態を見て合ったものを出していく、その中で患者さんの希望もありますから、個別に対応していきます。

患者さんを応援する医療を目指して

 抗生物質を予防的に飲んだり、熱が出たら安易に解熱剤を飲んだりという風潮がまだまだみられます。例えば感染性下痢の人が下痢止めを飲むこと。せっかくお腹の菌を出してくれているのに、それを止めるようなやり方では、却って病気を悪化させている。その場を楽にするために、かえって体に悪いことをしているんです。漢方的な考え方は、風邪をひけば、解熱剤で冷やすのではなく、温めることで免疫力を上げて治す。このような東洋医学的な感覚を皆さんに知ってもらいたいと思っています。自分の体は自分で治さないと、他人は治してくれません。もちろんバックアップはしますが、軽症の病気なら自分で治せるような人がもう少し増えるといいかなと思います。
 生活習慣病は文字通り、間違った生活習慣で起きた病気。だからそれを改善すれば良くなる、薬をやめられるという当り前と思えることに驚く患者さんもまだまだいます。例えば高血圧などは心臓に負担がかかっているため、とりあえず薬で抑えてその間に生活習慣を改善すれば薬は要らなくなると伝えます。でも、面倒くさいから薬で良いという人もいますし、それは尊重します。本当に頑張れる人はそんなにたくさんではないから、頑張りたいという人は応援しますというスタンスですね。患者さん次第です。ただ、できるだけ薬なしでという人にアドバイスをしていくという体制は整えているつもりですし、生活習慣を本当に直したい人に、どうしたらいいかを生活面・運動面・食事面で、これからもより強力にサポートができるような医療を目指していきたいです。

取材・文/服田恵美子(Hatta Emiko)
ライター・翻訳・脚本制作・構成作家。ジャンルを問わず紙媒体からWebまで、文字のあるところなら何処へでも、呼ばれて出向いて活動中。兼業ライター時代に培ったリサーチ力とフットワークの軽さを活かして、取材と執筆を行う。

西田メディカルクリニック

医院ホームページ:http://www.medi-plus.info/clinic/

JR・名鉄線「豊橋」駅乗り換え、豊鉄バス「豊橋駅前」駅より6分「吉川町」駅にて下車徒歩3分。
採光のいい待合室は明るく暖かい雰囲気。庭の緑が心地よく、リラックスできます。クリニック特製の健康茶サービスも。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

内科、消化器科、アレルギー科

西田元彦(にしだ・もとひこ)理事長略歴
1984年 藤田学園保健衛生大学医学部卒業
名鉄病院、西尾市民病院等を経て、
現在、医療法人メディプラス 西田メディカルクリニック理事長


■所属・資格他
日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、漢方専門医、日本医師会認定スポーツ医、日本医師会認定産業医、日本生気象学会評議委員、日本笑い学会中部支部幹事、東海ホリスティック医学振興会理事等


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