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[患者さんの相談事例] 2015/03/06[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

限りなく脳死に近いと言われた息子。治療中断を医師に相談したところ、反対され…。(35歳・男性)

 2か月前、1歳3か月の三男が高熱を出し、かかりつけの小児科クリニックに連れて行きました。クリニックではノロウイルスによる高熱と診断され、「もしかしたら脳症になっているかもしれない」と言われて、大きな病院に直接搬送されて入院となりました。病院では「かなり重症の脳症」と告げられたのですが、あっと言う間に意識がなくなってしまいました。いまでは人工呼吸器につながれて、「限りなく脳死に近い状態」と言われています。
 毎日6~7本の点滴がおこなわれ、人工的に生かされている姿を見るのは父親として限界です。ドクターに「もう十分ですから、治療を中断してください」と伝えたのですが、ドクターは「治る可能性はない」と言う一方で、「親だったら、どんな状態でも生きてくれているだけでいい、できるだけの治療を続けてほしいと思うのが普通ではないですか?」と言って、まともに話し合う姿勢すら見せてくれません。医療ソーシャルワーカーに相談したら、ドクターと話し合ってくれたのですが、その結果、医療ソーシャルワーカーもドクターの意見に同調して私を説得する立場になってしまいました。
 私のところは小さな子どもが4人いて、妻は残り3人の世話で大変です。三男の治療については、夫婦ともに意見は一致しています。助かる可能性があるならまだしも、助からないとわかっているのに、なぜドクターの考えを押しつけられないといけないのでしょうか。ドクターはまだ若くて子どももいないので、親の大変さなんて理解できないのかもしれません。最近の世相から、あまり積極的に治療をやめてほしいと言い続けたら、ネグレクト(育児放棄)と思われるのではないかと気になって、主張することも気を遣います。かなり精神的にも追いつめられているのですが、どうすればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 難しい問題であり、お辛い選択ですね。「助かる見込みがない」と言われ、その状況を理解したうえで、冷静に治療をやめるという決断をすることも一つの選択肢だと思います。ただ、まずはもう一度、夫婦で治療をやめる意思表示をお互いが納得しているのか確認することが大事だと思います。お一人の想いが強い場合、どうしても反対意見を言い出せなかったという後悔の念からの相談が届くこともあります。一方の意見を強く反映させている結果になってはいけない問題なだけに、冷静に再度話し合うことは必要だと思います。
 そのうえで、担当である若いドクターとのやりとりだけではなく、正式に病院と話し合う場を設けてもらってはどうでしょうか。病院によって名称は異なりますが、“倫理委員会”を設けて、このような倫理的問題が生じた場合に病院としてどう対応するかを話し合うところが増えています。その病院に倫理委員会が設置されているかどうかを確認し、そこで諮ってほしいと依頼することも一つの方法ではないでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 いったん始めた治療を中断するというのは、医療機関としては非常に神経質になる問題だと思います。しかし、一人のドクターの想いや価値観を患者側に押しつけるというのも適切ではないと思います。このような場合こそ、組織として倫理的にどう考え、患者側のゆるぎない意思があるならば、踏まえるべき手続きは何なのかを明確に提示する必要があると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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