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[クリニックインタビュー] 2009/02/06[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第7回
代々木の森耳鼻咽喉科
森幸子院長

家族への想いが進路を決めた

yoyoginomori_3 実は私、子どもの頃は宇宙に憧れていて、宇宙飛行士になりたいと思ったこともありました。でも受験勉強をするうちに「自分にはガチガチの科学より、人と接する仕事の方が向いているかも知れない」と思い、宇宙飛行士より現実的な、医師の道に進むことを決めました。それを決定したのも、高校最後の文化祭を終えてから。受験直前期の真冬に、理工系志望から医学部志望へ進路を転向し、一年間勉強して医大へ入りました。
 耳鼻咽喉科医である両親のことはずっと尊敬していましたが、「親が医者だから自分も医者に」という発想はなくて、むしろ違う道を模索していました。医師への道を歩み出してからもそれは変わらず、国境なき医師団とか、無医村のような地域での活動とか、将来進むべき方向性については色々と夢を抱きましたね。ただ、家庭を後回しにするほどの覚悟はないな、と在学中に諦めました。自分は家族が大切な人間だから、家族を置いてまで自分のしたいことはできない。そうやって、進級するにつれてまた一つ現実的な選択をするようになっていました。
 もし、耳鼻科医でなかったら、小児科医になっていたと思います。卒業間近に入局先を決められるシステムだった当時、私は最後まで小児科に進むことを迷っていましたから。
 ただ小児科医は子どもの死と向き合わなければならない仕事。それに耐えられる自信はありませんでした。それに小児科医は、患児が大きくなったらもう来なくなってしまうので、いつか手放すさみしさが付きまといます。一方、耳鼻咽喉科医は赤ちゃんからお年寄りまで診ますから、患者さんのことをずっと継続して診ていけるでしょう?
 そんな風に生活との折り合いをつけていった結果、両親と同じ耳鼻科医に落ち着きましたが、いまでは最善の選択だったと思っています。
耳鼻咽喉科医は大学病院などに勤務している間は頭頚部癌患者さんなど重症患者さんの全身管理を学べますが、一般耳鼻咽喉科なら重篤な疾患の患者さんのために何日も病院に泊り込むようなことはありません。家族を大事にしたい私にしてみれば理想的な科目です。それに、いまは両親にクリニックを手伝ってもらっていますが、同じ科ならいつか母が運営しているクリニックの手伝いを、私ができるかも知れません。
 今では、開業当時に赤ちゃんだった子がしゃべれるようになったり、診療中に泣いてしまっていた子が泣かずに治療を受けられるようになったりする変化に出会って、成長を楽しませてもらっています。
これからもずっと診ていきますよ。それこそ赤ちゃんがお年寄りになるまでね(笑)。

育児の経験を「早朝診療」に活かす

yoyoginomori_11 みみ・はな・のどのちょっとした症状は、「急な腹痛」などにくらべて我慢できてしまうことが多いため、どうしてもないがしろにされがち。「耳の奥がガサガサする」くらいの症状だと、医者にかかるのが恥ずかしいとか、こんなことで行くと怒られるのではないかと思ってしまうようです。それに、お勤めの方は勤務時間中に職場を離れて病院に行くのが現実的に難しく、治療のスタートが遅れて悪化してしまうケースもあります。
そういった時間的な問題を解決できればと思い、当院で取り組んでいるのが朝7時からの早朝診療です。通常は何日も入院して治すようなケースでも、日帰り手術や連日の処置・点滴などで入院と同じ治療を受けてもらえるようにしています。
もちろん出勤前の大人だけでなく、子どもが夜中に発熱したり、急に耳の痛みを訴えることもありますよね。救急外来にかかるほどでもないけれど、昼ちかくまで待っているのも心配だし、保育園や学校はどうするか迷うという場合。そんな時も、早朝にかかれる耳鼻科があれば安心なんじゃないかな、と育児の経験から思いました。

本人が「なにかおかしい」と感じた時は、すでに病気のサインが出ている時。たとえ何の異常がなくとも、何か悪い病気ではないかという不安はそれ自体がストレスになりますし、不安を抱えていたら本当に病気を引き起こしてしまうかもしれません。ちょっと気になるみみ・はな・のどのことも、気軽に専門医に相談してみましょう。
耳鼻咽喉科医は耳・鼻・喉を診るだけと思われやすいですが、局所的に診ておしまいとせず、患者さんの全体を観察して、体調管理に積極的に協力するようにしています。
 ですから病気になってしまった患者さんが見えたら、可能な限り原因を一緒に探すように心がけています。寝不足や空気の乾燥など、ご本人の工夫次第で改善できる場合もありますので、気づきを促し再発を予防してもらうのが完治のためには大切です。睡眠不足、冷え、運動不足、疲労などの内的要因と、温度調節のできない仕事環境、空気の汚い場所での生活、騒音といった、外的要因のそれぞれがあいまってこその発症なので、自分で気をつけて予防し、自分で工夫して治すという考え方を持ってもらいたいと思っています。

茶道をたしなみ、交流をたのしむ

 大学時代から15年以上続けている趣味が、茶道です。自宅では薄茶を点てて飲むくらいですが、毎月1回のペースで茶道教室に通っています。たまにちゃんとしたお茶会にも参加するんですが、いい気分転換になりますよ。
 医療界はどうしても、専門的なだけに狭く偏りやすい世界。同級生も先輩も後輩も当然みんな医者ですし、自分から積極的に動かないと、医療以外の職種の方と話す機会がほとんど持てません。
お茶では、日常から離れた世界にあそびながら、まったく違う業種の方たちとも話ができるので、とても新鮮な気がします。

取材・文/戸谷妃湖(とたに ひこ)
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。

代々木の森耳鼻咽喉科

医院ホームページ http://www.yoyoginomori-orl.com/pc.html
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エントランスからクリニック内までバリアフリーで、エレベーターがあるのでバギーでも安心。待合室には沢山の本。さらに、ドアと障子で仕切られたキッズスペースには、子どもが退屈にならないよう清潔なぬいぐるみや絵本が用意されている。
小田急線「代々木八幡」駅から徒歩3分、営団地下鉄千代田線「代々木公園」駅1・2番出口から徒歩2分。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

耳鼻咽喉科:みみ・はな・のどの不安すべて
【アレルギー性鼻炎/慢性中耳炎/慢性副鼻膣炎(蓄膿症)、鼻茸症/いびき症/術後性上顎のう胞/先天性耳瘻孔/閉じたピアス穴の処置 など】
※各種保険取扱・生保取扱医療機関 ※クリニック内に多目的トイレ有り

森幸子(もり・さちこ)院長略歴
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(専門:耳鼻咽喉科)
1998年 日本医科大学医学部卒業/同年、日本医科大学 耳鼻咽喉科学教室入局
2000年 北村山公立病院・日本医科大学付属病院・千葉北総病院を経験
現在も日本医科大学付属病院アレルギー外来診療担当
2006年 渋谷区富ヶ谷に「代々木の森耳鼻咽喉科」を開設/現在に至る



■所属学会
日本耳鼻咽喉科学会


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