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[クリニックインタビュー] 2013/01/11[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第145回
浅草クリニック
副院長 内山伸先生

スポーツ医学への興味から、呼吸器内科医へ

 子どものころはパイロットに憧れていました。しかし実家が農家でしかも自分は長男だったので、漠然と「家業を継ぐんだろうなぁ」と思っていました。その思いが変わったのは、高校時代の体育の先生が医学部の大学院に進学したのを見てから。そこで運動と医学のつながりを初めて知り、スポーツ医学を学びたいと医学部を受験しました。
 研修医時代はとにかく過酷な毎日で、当直も多くほとんど病棟にはりついていましたね。当時、当直をしていると「熱が出て息が苦しい」「酸素量が低下している」など、呼吸器内科の患者さんばかりに呼ばれて、「とにかく呼吸器は大変、それ以外の科にしよう」と思ったほど(笑)。でも、研修3年目ぐらいに呼吸器内科の先生と話す機会があって、その考えが改まりました。
「呼吸器の病気は実にさまざま。アレルギーから感染症、がんまで、実に幅広く診ることができる」
この言葉にはっとし、今まで気づかなかった魅力を感じて、呼吸器内科を専門にしようと決意したのです。

患者さんひとりひとりのニーズを探り「安心」を提供

 今は1日にだいたい50人前後の患者さんを診ています。来院される方のニーズは十人十色。例えば同じ咳の症状でも、「営業の仕事をしているから、とにかく早く止めたい」という人もいれば、結核やがんを心配している人もいます。そんな患者さんひとりひとりに、人として興味を持って向き合い、ニーズを確かめて、診断と治療を進めていくことが重要だと考えています。
 最近はとくに「医療を通じて安心を提供する」ことに力を注いでいます。総合病院に勤務していたときは、大きな病気を抱え、何とかその病気を克服したいという患者さんを診察していました。でも、クリニックを来院される患者さんは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の方から、「おなかが痛い」「皮膚がかゆい」という方までさまざま。もちろんその患者さんたちも、日常生活に影響をおよぼしている病気や症状を何とかしたいと思って来院されるのですが、必要な医療を提供すると同時に「あの先生に診てもらってよかった」「大きな病気でなくてよかった」という安心感も提供できるようなクリニック、医師でありたいと思っています。
 また、当クリニックの方針は、「病気の『治療』と『予防』の連携」です。患者さんが今お困りの病気や症状がこれ以上悪化しないように治療をすると同時に、これから起こり得る病気を予防するための検査や指導にも力を注いでいます。病気ごとに違う病院にかからなければならない面倒さを払拭し、「ここに来れば全部見てもらえる」という地域のかかりつけ医を目指しています。
 そして検査や治療に関しては、できるかぎり患者さんに説明し、相談しながら方法を考え、決定していくようにしています。医師は絶対的な存在ではなく、医学の一専門科として患者さんに適切な情報を提供する「健康への水先案内人」だと考えているからです。

健康に感謝し、休日は家族とリフレッシュ

 毎日おかげさまで忙しくさせていただいていますが、研修医時代に過酷な毎日を体験したおかげで、仕事をつらい、大変だと感じることはほとんどないように思います。ただ、30歳を過ぎてから健康の大切さを実感するようになりました。変な話ですが健康はタダではない…とつくづく実感しています(笑)。
 20代までは無理もききましたが、30代になると少しずつ体にガタがきます。食事に注意し、睡眠も十分にとるという当たり前のことが大切で、実はそれがけっこう難しい。
 実は、以前は医師でありながらかなり体重が重く、若くしてメタボのようでした。そのため今は、野菜をたくさん食べ、揚げ物や焼き肉など脂の多いものは極力避けて体重を一定に保つことを心がけています。
 また、体重を維持するために、食事の量を1日、1週間、1カ月、1年単位で考えるようにしています。つまり、来週はたくさん食べる機会があるから今週は控えめにしておくとか、秋や冬は体重が増えやすいので春や夏は増えないようにするという感じでのコントロールを目指しています。
 趣味は海外旅行ですが、子どもが生まれてからはほとんど行けていません。今は、休日に家族と一緒に遊びに出かけることが唯一のリフレッシュ。先週末は家族でお弁当を持って近くの公園にピクニックに行ったのですが、毎週「今度は子どもとどこに遊びに行こうか」と考えることが楽しい、そんな毎日です。

予防医学で地域の人たちの健康を守りたい

 私の座右の銘は「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す」という中国の諺。私には、iPS細胞の開発や新薬の開発などはできません。でも、だからといって多くの患者さんを救うことができないかというと、そうではないと自負しています。予防医学を積極的に取り入れることで、多くの患者さんを病気になる前に救うことができる、と信じています。
 当クリニックが開設して26年ほどになりますが、地域の中心的かかりつけ医として機能するようになるには、最低でも30年はかかるかな…と感じています。このあたりには老舗的なクリニックが多く、地域の高齢者の方々は、昔からのかかりつけ医として古くからあるクリニックに通われる方が多いのが現状。他方、当クリニックにはわりと若い年齢層の患者さんが多い。ですので、今来てくださっている患者さんたちが高齢になったときにも診られるような、そして「おじいちゃんも診てもらっていたんだよ」とその患者さんのお孫さんが来院するような、親子何代にもわたって関わりがもてるクリニックを目指したいです。
 今後も、地域の方々の健康を見守るために、このクリニックでどのような医療を提供していくことがベストなのか、模索し続けることでしょう。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

医療法人社団康裕会 浅草クリニック

医院ホームページ:http://www.asakusa-clinic.or.jp/

東京メトロ銀座線・東武・つくばエキスプレス「浅草」駅より徒歩10分。雷門や仲見世通りなど、にぎやかな観光名所を抜けた先の住宅街にある静かで落ち着いた雰囲気のクリニックです。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

一般内科、消化器科、小児科、皮膚科、循環器科、泌尿器科、眼科、脳神経科、呼吸器内科、糖尿病

内山伸(うちやま・のぼる)副院長略歴
1999年 佐賀医科大学卒業 聖路加国際病院入局、内科研修医、内科チーフレジデントを経て同病院呼吸器内科医員
2007年 ハーバード大学公衆衛生大学院入学
2008年 同大学院修了 聖路加国際病院呼吸器内科
2010年 浅草クリニック


■所属・資格他
日本内科学会総合内科認定医・専門医、日本呼吸器内科専門医・指導医、厚生労働省臨床研修指導医、日本医師会産業医、日本医師会認定健康スポーツ医


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