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[クリニックインタビュー] 2015/04/24[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第179回
ちもりメディカルクリニック
千森弘子院長

人生の転機をチャンスと捉え、開業の道へ

 医師になろうと思ったのは高校生の頃でした。父が心筋梗塞を患ったこと、母が重い生理痛でよく寝込んでいたことがあり、漠然と医師という仕事に興味を持つようになりました。医学を学べば家族の助けになるのではないか、また命を預かる仕事へチャレンジしたいと思い、医学部へ進学しました。
 産婦人科を専攻したのは大学6年生の時の研修がきっかけです。出産したお母さんたちの喜びを感じる一方で、中絶しなければならない方を身近に見ました。また国立循環器病センターでは心疾患のある妊婦さんや500gほどの超未熟児などの患者さんも診ていました。その後再び大阪大学へ戻り子宮がんの研究に従事し、海外の学会で論文発表する機会もいただき、学位(医学博士)も取得しました。
 ずっと勤務医を続けるつもりだった私に転機が訪れたのは、私自身が出産した後のことでした。双子を低出産体重児で出産し、勤務医を辞めて子育てに専念。1年間の休職を経て、病院やクリニック、人間ドックなどでパート勤務をしました。そこでは予防医学や内科、乳がん検診なども経験し、期せずして開業の基礎を学ぶことができました。そうしたパート勤務の中の1つに、三浦クリニックがありました。ここでは先生が病気の時や入院されていた時だけお手伝いしていたのですが、先生が亡くなられた際、ご家族の方からもぜひ継いでほしいとお声掛けをいただきました。お手伝いをしていたとは言え、勤務医としての経験しかなかったので不安がなかったわけではありません。引き続き患者さんが来てくれるのかどうか、経営の知識もない私にできるのかどうか・・・。設備やスタッフも整っている医院なので、とにかくやってみようと思いました。それまでは自分が開業するとは思ってもみなかったので、本当に私にとって大きな転機となりました。

「来てよかった」と思ってもらえるような診察を

 開業して驚いたのは、ありとあらゆる患者さんが来ることです。内科や産婦人科だけではありません。アレルギーや湿疹、円形脱毛症、ただ「しんどい」と言って来院される方もいます。また、寝たきりや高齢のために通えない患者さんには、往診もしています。
 同じ疾患でもその人の性格や置かれている環境によっても対応が違ってきます。たとえば、ちょっとしたことで不安を感じる人もいれば楽観的な人もいます。仕事も違えば生活スタイルも異なるため、患者さん一人ひとりに合わせた医療が必要になってきます。「病気だけ診るのではなく、その人全体を見る」ことが大切なのです。さまざまな患者さんに接することで、それまで知っていたことや勉強してきたことだけでは限界があることに気付かせてもらいました。そして今もなお患者さんたちに勉強させてもらっています。
 また、患者さんは、たくさんある病院の中からここを選び、貴重な時間を割いて来てくれています。来てもらって本当にありがたいと思っていますし、その感謝の気持ちを忘れないこと、「ここへ来てよかった」と患者さんに思ってもらえることを心がけて日々診察をしています。

スタッフみんなで、信頼され続けるクリニックを目指す

 どんな仕事でも同じですが、特に医療の現場でミスは許されません。それは医師も看護師も医療事務においても言えることです。診察はもちろん、薬やカルテ、会計など、それぞれのスタッフたちは気を引き締めて業務にあたってくれています。みんな仕事熱心で使命感を持ってくれているおかげで、私も診察に集中することができています。今のクリニックは、スタッフの支えなくして成り立ちません。これからも地域に根ざし、家族で何か困ったことがあった時は気軽に相談に来てもらえるような、地域の人々に信頼され続けるクリニックでありたいと思っています。そのためにも常に自分でアンテナを広げ、新しい薬や治療法などの勉強を怠らないことも大切です。
 毎日が勉強で忙しく、時にはゆっくりと寛ぎたいと思うこともあります。赤ちゃんと母親の絵に癒されたり、休みの日には子どものレスリングの試合を応援したり、仕事のことを忘れる時間を過ごすようにしています。でも、仕事が忙しく充実しているからこそ、休日は思い切り仕事から離れられるのかもしれません。本当にこの仕事と出会えてよかったと思っています。

取材・文/佐藤裕子(Yuko Sato)
フリーライター。大手企業で、旅行・スクール関連の原稿作成に携わり、その後経験を活かしフリーに。独立後はWEBサイトを中心に、医療、旅行、求人などの取材、執筆を行っているほか、着物着付師、手作りアクセサリーのデザイナーとしても活動する、2児の子を持つママライター。

ちもりメディカルクリニック

医院ホームページ:http://www.chimori.com/

JR大阪環状線野田駅、地下鉄千日前線玉川駅から徒歩約2分。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、産科、婦人科、リハビリテーション科

千森弘子(ちもり・ひろこ)院長略歴
1991年3月 高知医科大学(現高知大学医学部)卒業
1991年4月 大阪大学医学部産科学婦人科学教室 入局
1991年6月 大阪大学医学部附属病院 研修医
1992年7月 大手前病院産婦人科 勤務
1994年7月 国立循環器病センター周産期科 レジデント
1995年6月 大阪大学医学部産科学婦人科学教室 研究生
1996年4月 大阪大学医学部放射線基礎医学教室 基礎系医員 兼務
1999年1月 市立伊丹病院産婦人科 勤務、及び大阪大学医学部 非常勤講師
2006年2月 三浦クリニック 院長
2008年5月 ちもりメディカルクリニック 院長


■所属・資格他
医学博士、母体保護法 指定医、日本産婦人科学会 専門医、日本臨床内科医会 認定医、大阪府内科医会臨床内科 推薦医、日本医師会認定 産業医、日本医師会認定 健康スポーツ医


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