変形性膝関節症とは

変形性膝関節症とは、ひざ関節においてクッションの役割を果たしている軟骨が加齢などの原因ですり減り、痛みや骨の変形を引き起こす疾患です。
50〜60代での発症が多く、変形性膝関節症によるひざの痛みを抱えている人は国内だけでも1,000万人以上と言われています。

正常なひざ関節と変形性膝関節症

ひざ関節とは、太ももの骨(大腿骨<だいたいこつ>)とすねの骨(脛骨<けいこつ>)が接する部分を指し、半月板や軟骨、関節液などが衝撃を吸収して、骨を保護する役割を担っています。
このようなひざの組織のすり減りが進むと、滑膜が炎症を起こして骨の変形が生じるため、痛みを感じたり、ひざを動かしにくくなったりします。

変形性膝関節症の進行過程と主な症状

最初に出やすい症状として、半月板や軟骨のすり減りによる痛みや引っ掛かり感があります。
初期のうちは症状が出ては消えるという状態が続き、進行してくると症状が持続するようになり、ひざに水がたまることもあります。
さらに進行して軟骨が完全になくなって骨が接触するようになると、骨自体にもダメージが及び、ひざ関節が変形します。 こうなると安静時にも痛みが出るため、日常生活に支障が出てきます。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の根本的な原因ははっきりとは解明されていませんが、以下のような要因が絡み合って発症すると考えられています。男性よりは女性に多くみられます。

  • ・加齢
  • ・肥満
  • ・ひざに負担の多いスポーツや重労働
  • ・遺伝的要因
  • ・ケガ(半月板損傷や靭帯損傷、捻挫や骨折など)
  • ・ひざの病気(化膿性関節炎<かのうせいかんせつえん>、痛風など)

痛みの原因は炎症

加齢や半月板の損傷などによってひざ軟骨に大きな負荷がかかると、軟骨がすり減っていきます。この時に軟骨の削りカスがひざの中に溜まり、その結果、滑膜(関節の内側の組織)が炎症を起こします。この炎症が痛みの原因です。つまり、痛みを和らげるためには炎症を抑えることが重要です。
炎症は組織を回復させるための生体反応で、その過程では関節液が産生されます。変形性膝関節症を患うひざに「水」がたまる背景にも、この炎症が関与しています。なお、軟骨には神経が通っていないので、軟骨が削れること自体で痛みを感じることはありません。

変形性膝関節症の診断・検査

変形性膝関節症の診断は問診、視診、触診で得られた情報と、各種検査結果を踏まえて総合的に判断されます。
明らかな骨の変形があればX線撮影(レントゲン検査)で確認できますが、軟骨、靭帯、半月板などの軟らかい組織の状態はレントゲン画像では確認しにくいので、MRI撮影が必要です。実際に、レントゲン診断では「異常なし」と診断されても、詳しく検査をしたところ軟骨がすり減っていたという例も多くあります。

変形性膝関節症の診断時に確認するおもな項目