出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
X連鎖無γ‐グロブリン血症
えっくすれんさむがんまぐろぶりんけっしょう
X連鎖無γ‐グロブリン血症とは?
どんな病気か
γ-グロブリンの低値または欠如により、1歳過ぎから細菌に対する易感染性(感染しやすい)と重症化が認められるX連鎖劣性遺伝形式の免疫不全症です。
原因となる遺伝子はX染色体にあるチロシンキナーゼで、多様な遺伝子変異が認められています。
症状の現れ方
感染症は、母親から来るIgG抗体が消える乳児期後半(生後6~9カ月以降)から認められます。主として膿皮症、気管支炎、肺炎、骨髄炎、髄膜炎、敗血症などの細菌感染がしばしば認められます。多くの例で慢性進行性の気管支拡張症を生じ、最終的には肺合併症で死亡する危険性が高くなります。
検査と診断
すべての免疫グロブリンのクラスが著しく減ります。血中IgGは多くの例で200mg/dL以下であり、IgA、IgMは欠如します。末梢血中のBリンパ球が著しく減ります。
診断は血清IgG値が200mg/dL以下で、他のIgアイソタイプも欠損すること、末梢血中のB細胞数は1%以下であること、乳幼児期から細菌感染を主とする易感染性が認められること、T細胞は正常であることなどで疑われます。
治療の方法
静注用免疫グロブリンの置換療法が行われます。1カ月あたり400~500mg/kgの投与が行われます。一般的には血清免疫グロブリン値が谷間値(トラフ値)で少なくとも500mg/dL以上を維持するように調節します。