出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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心内膜床欠損症
しんないまくしょうけっそんしょう

心内膜床欠損症とは?

どんな病気か

 心内膜床とは、胎児期に心臓ができる時の心臓の中心部分のことをいいます(図14図14 心内膜床)。その心内膜床が欠損する病気という意味です。心房中隔の最も下端の僧帽弁と三尖弁に接する部分と、心室中隔のやはり僧帽弁と三尖弁に接する部分に孔(欠損)があく病気です。本症は先天性心疾患のなかの2~5%を占めています。

図14 心内膜床

 また、心内膜床から発生する心臓の部分として三尖弁と僧帽弁がありますが、これらの弁の形成が不完全のままであることから、その結果として僧帽弁や三尖弁の閉鎖不全を高頻度に合併します。心室中隔欠損を伴わない場合には症状は比較的軽く、不完全型といいます。また無脾症候群に合併する頻度も高い傾向にあります。

原因は何か

 特別の原因はありませんが、ダウン症候群に合併することが多く、ダウン症候群にみられる心疾患の40%が心内膜床欠損症です。

症状の現れ方

 不完全型心内膜床欠損症では、心房中隔欠損症と同様、通常、乳幼児期には無症状です。心室中隔欠損症を合併する完全型では、生後1カ月以降に肺に流れる血流の量が増え、また肺高血圧を伴うため、そのまま放置すると肺炎を繰り返したり、ミルクを十分飲めなかったりして体重が増えない、寝汗をかく、眠っていても呼吸が速いなどの症状が現れます。不完全型、完全型とも僧帽弁閉鎖不全が合併すれば症状が現れる時期が早まり、重症になります。

検査と診断

 先天性心疾患の専門医の診察を受ければ、心雑音、心電図、X線写真などの特徴から本症が疑われ、心エコー検査を行えば確実に診断できます。

治療の方法

 手術が必要です。不完全型の場合には一次口欠損という心房中隔欠損をパッチで閉鎖します。完全型の場合には一次口に加えて心室中隔欠損もパッチで閉鎖します。僧帽弁閉鎖不全がある場合には、弁形成術をあわせて行います。

病気に気づいたらどうする

 本症と診断された場合には、信頼できる循環器専門医に相談することをすすめます。

(執筆者:さとみクリニック院長 里見 元義)

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コラム心臓手術後の生活の注意

さとみクリニック院長 里見元義

 心臓の手術を受けたあとの生活上の注意点は、決して一様ではありません。基本的には信頼できる心臓病の主治医を決めて、生涯を通じて、その人にあった生活のアドバイスを受けるようにするのがよいでしょう。心臓手術を受けた人全員にぜひ守ってほしいことは、①自分の病名、②受けた手術の名前、③手術を受けた年月日、④手術を受けた施設名を確実に覚えておくことです。

 手術を受けたのが子どもの場合は、教育のなかで必ずこの4項目を教えるようにしてください。ほとんどのケースで、心臓手術を受けた子どもは両親よりも長生きすることが高率に期待されるわけですから、ひとり立ちしたあと、なにか具合が悪くなって医師に相談するとしても、もともとの自分の病気のことを医師に伝えられなければ大変な不利益を被ることが考えられるからです。

 動脈管開存症は、手術で動脈管を縛ったり、最近ではコイルを用いてカテーテルで閉鎖したりして治療します。これらの治療を受けたあとの患者さんは日常生活や運動、スポーツに関してはまったく制限なくできますが、ステンレス製のコイルを用いて塞栓術を受けたあとは、MRI検査を受けることができないことに注意する必要があります。

 最近、MRI対応の材質でできたコイルも出てきたので、コイル塞栓術を受けた場合にはMRI検査を受けられるかどうかについて、よく主治医に聞いておきましょう。

 ファロー四微症は、皮膚や口唇が紫色になるチアノーゼを示す先天性心疾患ですが、現在では先天性心疾患を手術できるほとんどの施設において、手術での死亡危険率が5%以下で治すことができるようになりました。

 もちろん、詳細な治し方は患者さんに応じて一人ひとり違うわけですが、標準的にはパッチを用いて心室中隔欠損を閉鎖し、右心室の出口から肺動脈にかけてもパッチを用いて拡大するという方法です。

 術後はチアノーゼが消失し、血液の流れ方は正常になりますが、ほとんどの場合、肺動脈弁閉鎖不全が現れるために右心室が拡大します。つまり、まったく正常な心臓になるというわけではなく、右心室に少し負担がかかるというマイナス面を克服しながら、正常と同じ血液の流れを獲得した状態だということがいえます。

 十分に広げられないで術後に残っている肺動脈狭窄の程度や、術後に現れた肺動脈弁閉鎖不全の程度に関しては一人ひとり異なっており、主治医が最も詳しく知っています。術後の心臓の状態に応じてできる運動の範囲も決まってきます。術後、長期間たってから不整脈が出てくる場合もあります。

 ファロー四徴症の術後だからと一律にいえる問題ではなく、一人ひとりに応じたオーダーメイドの術後生活管理が必要だと思ってください。

 他の疾患についても病気の種類により、また治したあとの心臓の状態により術後の生活の注意は、一人ひとりオーダーメイドという点では共通しています。その意味でも生涯という長い眼でみてもらえるような信頼できる主治医を決めて相談することが大切です。

 術後に、心臓のなかにパッチや人工血管、人工弁などの人工物が入っているような場合には、細菌性心内膜炎の予防を確実に行うことが必要です。とくに、抜歯の際には抗生剤の予防投与が大切ですが、危険性の高さに応じて、また、患者さんの体質によっても予防投与の薬剤も方法も変わってきます。主治医に相談することをすすめます。

心内膜床欠損症に関する医師Q&A