すべて
病名
 × 

パーキンソン病
ぱーきんそんびょう

パーキンソン病とは?

どんな病気か

 50歳以降に発症することが多く、いくつかの特徴的な症状がみられます。手足が震える、筋肉がこわばる、動作が遅くなる、歩きづらくなるなどで、徐々に症状が進行し、10数年後には寝たきりになる患者さんもいます。有病率は、人口10万人に対し100人程度です。

原因は何か

 原因は現在も不明です。脳の病理学的変化では、中脳の黒質ドーパミン性神経細胞の変性が確認されています。ドーパミン性神経細胞の変性により、神経伝達物質であるドーパミンの産生が減少し、前述した特徴的な症状が現れます。

症状の現れ方

 初発症状は、片方の手の震え(安静時振戦)や歩きづらさ(歩行障害)が多く、前かがみで小きざみに歩くようになります(図23図23 パーキンソン病の特徴的姿勢)。筋のこわばり(歯車様固縮)や手足の震え(振戦)は当初は片側だけですが、進行するにしたがって反対側にも現れます。

図23 パーキンソン病の特徴的姿勢

 1歩めが出にくくなり(すくみ足)、歩幅も小さくなります(小きざみ歩行)。全体に動作が遅くなり(動作緩慢)、方向転換や寝返りが苦手になります。歩いているうちに足が体に追いつかなくなり(突進現象)、姿勢の反射も障害されている(姿勢反射障害)ために前のめりの姿勢を立て直せずに転倒することもあります。

 そのほか、表情が乏しく(仮面様顔貌)、おでこや頬が脂っぽくなります。自律神経系では、便秘や立ちくらみ(起立性低血圧)が現れます。精神症状として、うつ状態もみられることがありますが、一般には知能は正常に保たれます。

検査と診断

 左右差のある安静時振戦を示し、筋のこわばりやすくみ足、小きざみ歩行、動作の緩慢などがある場合、抗パーキンソン病薬の効果が認められれば、まずパーキンソン病と考えられます。類似した症状を示す疾患には、脳血管性パーキンソニズム、薬物性パーキンソニズム、多系統萎縮症といわれる変性疾患などがあり、これらを除外することが必要になります。

 そのためには、頭部MRIなどで多発性脳梗塞などの脳血管障害がなく、明らかな脳萎縮がないことを確認します。また、薬剤性の場合、服薬を中止することで症状が改善するため、パーキンソニズムを呈する可能性のある薬剤をのんでいないか確認することも大切です。このような変性疾患に関しては、初期の段階ではパーキンソン病との区別が困難な場合があり、神経内科のある専門機関を受診して相談するのがよいでしょう。

治療の方法

 治療の基本は、抗パーキンソン病薬の内服治療です。中心になるのはドーパミンの前駆物質レボドパ(L-ドーパ)で、脳内で減少したドーパミンを補充します。しかし、長期使用によって効果が減弱したり、血中濃度の変化に応じた症状変動(ウェアリング・オフ現象)、自分の意志とは無関係に口元が動いたり体がくねる不随意運動(ジスキネジア)が現れることがあります。また、吐き気、不整脈などの合併症も認められることがあります。

 近年では、レボドパの内服量を減らし、補助薬を併用することが推奨されています。補助薬には、ドーパミンを受け取りやすくするドーパミン受容体刺激薬(ビ・シフロール、レキップなど)、ドーパミン放出を促進するアマンタジン(シンメトレル)、ドーパミン分解阻害薬のセレギリン(エフピー)などがあります。これらの併用で副作用を少なくし、効果を持続させることが可能になります。

 内服治療でコントロールが困難な症例では、定位脳手術や深部脳刺激法などの外科的治療法が検討されます。

病気に気づいたらどうする

 手の震えには、いくつかの種類があります。パーキンソン病に特徴的な安静時振戦、手を伸ばした時などにみられる姿勢時振戦、頭や手の震えが緊張で強くなる本態性振戦、甲状腺機能亢進症に伴う振戦などがあれば、神経内科のある専門の医療機関を受診することが必要です。

 日常生活では、転倒による骨折や便秘などの予防が大切です。また、病状が進行して長期臥床した場合も、仙骨部などの床ずれ(褥瘡)や肺炎(誤嚥性肺炎)が生じる可能性があるため、その予防が重要となります。

(執筆者:済生会横浜市南部病院神経内科 波木井 靖人)

パーキンソン病に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、パーキンソン病に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

パーキンソン病に関連する可能性がある薬をもっと見る

パーキンソン病に関する記事

もっと見る

おすすめの記事

コラムパーキンソニズム

藤沢市民病院神経内科医長 小山主夫

 パーキンソニズムとは、「パーキンソン病と似たような症状」を意味する言葉で、振戦(震え)、無動(体の動きが少なくなったり、遅くなったりする)、筋固縮(体が固くなる)という症状を総称していいます。パーキンソニズムを示す疾患には、パーキンソン病を含む神経変性疾患や多発脳梗塞、脳炎、一酸化炭素中毒、マンガン中毒、薬物の副作用などがあります。

 とくに消化性潰瘍に用いられるスルピリド(ドグマチールなど)や精神科での治療薬による薬剤性パーキンソニズムは、原因の薬を中止することで改善します。動作がゆっくりになったり、歩行困難がみられたりする場合には、主治医に相談して内服薬の調節をしてもらったり、場合によっては専門医の診察が必要です。

パーキンソン病に関する病院口コミ

もっと見る

パーキンソン病に関する医師Q&A