専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

神奈川県立がんセンターは、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科(消化管)

分野

消化器・一般内科

特色

消化管の癌に対して、診断および内科的治療(内視鏡治療、化学療法)を行っている。当院で開発した、粘膜把持鉗子用チャンネル付き透明フードとこれを使用したESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)手技は、二点固定ESDとして胃・食道・十二指腸の早期癌に対して非常に有用であることが確認され、早期大腸癌に対しても、直腸から横行結腸までの症例で施行し始めているが、偶発症を減らすことができる非常に優れた手技である。また、化学療法においても、治験や多施設共同臨床試験に参加し、新規治療の開発や、標準治療の確立に力を注いでいる。

症例数

1年間の、外来延べ患者数は、約14,500人で、そのうち、約600人が新患患者である。11年度の入院実患者数は814人であり、平均在院日数は11.6日であった。連携する診療科(消化器外科、放射線科、腫瘍内科)と合同カンファレンスを行い、治療方針を決定している

内視鏡的治療=消化管早期悪性腫瘍(一部、良性腫瘍も含む)に対する消化管内視鏡治療として、ESD・EMR(内視鏡的粘膜切除術)を中心に、ポリペクトミー、APC(Argon Plasma Coagulation)による凝固・焼灼治療、EML(内視鏡的粘膜結紮術)等を行っている。その他、消化管狭窄拡張・ステント留置、PEG(内視鏡的胃瘻造設)等を施行している。また、内視鏡治療に関する多施設臨床試験にも参加している。11年の内視鏡治療(ESD、EMR、ポリペクトミー)の例数は、食道42例(ESD33例)、胃・十二指腸151例(ESD150例)、大腸215例(ESD15例)であった

化学療法=食道癌:胃食道外科、放射線治療科と連携をとり、治療方針を決定する。当科では、主に化学療法、化学放射線療法(CRT)を行っている。化学療法としては、5FU+シスプラチン療法をベースとし、その他、ネダプラチン、ドセタキセル、パクリタキセルを用いている。胃癌:胃食道外科とのカンファレンスによって、治療方針を決定している。切除不能、再発胃癌に対し、TS-1+シスプラチン療法、カペシタビン+シスプラチン+ハーセプチン療法をベースとし、その他、イリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセル、5FUなどを用い、個々の症例に合わせた抗癌剤治療を行っている。外来化学療法を原則としており、レジメン、患者の全身状態によっては、入院して化学療法を行っている。年間の、化学療法の新患数は50~60人である。大腸癌:大腸外科とのカンファレンスによって、手術、化学療法等の治療方針を決定している。化学療法としては、FOLFOX (or XELOX)or FOLFIRI±分子標的薬を中心として行っている。放射線診断科にて、CVポートの留置を行い、施行している。年間の化学療法の新患数は約20人である

臨床試験=治験や多施設共同臨床試験に参加しており、患者、家族に十分説明を行い、同意を得られた患者に試験に参加して頂いている。

医療設備

CT、MRI、PET-CT、内視鏡、リニアックほか。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

消化器内科(肝胆膵)

分野

消化器・一般内科

特色

神奈川県のがん診療拠点病院であり、特に難治癌である肝胆膵の悪性腫瘍の診断と治療に全国有数の実績をあげている。受診者は主として県下の医療機関から紹介されるが、県外から訪れることもしばしばである。医療の向上のため、多くの研究を行い成果を発表している。癌専門の施設として常に最先端の診療を目指しているが、その医療の根底には病院の基本理念である「心あたたまる医療」をいつも忘れずに、悩みの多い患者さんに接するよう心がけている。

症例数

★年間の新患数(実治療対象数)は膵癌130例、肝癌70例、胆道癌70例である。この他にセカンドオピニオンは年間100例程度

★膵癌、胆道癌、肝細胞癌に対する化学療法では、全国の主ながんセンターや癌治療専門施設が参加している新薬開発を目的とした種々の臨床治験を常に行っている。治験は最近ではグローバルなものも多くなり、世界各国が共同で行う治験に参加している。これは新薬の承認に時間がかかる我が国の問題、いわゆるドラッグラグの解消につながるものと考えている。新しい検査法として超音波内視鏡を用いた生検、胆管内超音波内視鏡検査、胆管鏡検査を導入して、診断・治療方針決定に活用している

★治療法の決定は、症例ごとに外科とカンファレンスを行い、最も適切な方法を選択している。肝細胞癌の内科的治療としては、ラジオ波焼灼療法、エタノール注入療法、肝動脈塞栓術、さらに分子標的薬を用いた全身化学療法。また支持療法では、胆管癌・膵癌などの悪性胆道狭窄に対する胆管ステント留置術は再留置を含めて年間250例以上に行っている。診療はスピードが大事であり、化学療法であれば初診から数日以内の入院を心がけ実践している。

医療設備

MDCT、MRCP、FDG-PET、造影超音波、超音波内視鏡、血管造影、放射線療法。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

消化器外科(食道)

分野

消化器・一般外科

特色

胃食道外科として7人のスタッフを擁し、そのうち2人が食道外科を専門としている。科学的根拠(EBM:Evidence Based Medicine)に基づく食道癌に対する集学的治療を目指している。すべての初診患者さんの推奨治療方針は、消化器外科、消化器内科、放射線腫瘍科、病理診断科から構成され、毎週開催される食道疾患カンファレンス(キャンサーボード:多部門の専門家による症例検討会)によって決定している。現在、手に入れられる最先端の標準治療を行うことを基本としている。併存疾患などによって標準治療を行うことが難しい患者さんでは、臓器ごとのリスクを詳細に評価し、もっとも優れていると考えられる推奨治療法をキャンサーボードで決定する。患者さんには専門家としての推奨治療をお示ししたうえで、一人ひとりの患者さんの希望を聞きながら、最終的な治療方針を決定している。

症例数

当センターにおける食道癌手術症例は年間約40例であり、最新の周術期管理であるERAS(Enhanced Recovery After Surgery)プログラムを取り入れている。このプログラムは「絶食期間をできるだけ短縮する」「徹底的な除痛管理」「早期離床」を柱とした周術期管理である。管理の難しい食道癌でもこの周術期管理が可能であることを証明してきた。現在、食道癌術後約15日(中央値)で退院できる。また粘膜癌には内視鏡的粘膜下層切除術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)を、切除不能高度進行食道癌や再発癌に対しては 積極的に化学放射線療法を施行している。また13年11月には新病院がオープンし、食道癌に関連する医療施設としてリニアックの増設、重粒子線治療施設(15年治療開始予定)の開始が予定されている。

医療設備

MRI、CT、PET-CT、核医学検査、超音波、内視鏡、リニアック。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

消化器外科(大腸)

分野

消化器・一般外科

特色

大腸癌の外科治療と化学療法を中心に、質の高い治療を心がけている。病期に適した治療の選択をし、根治性、機能温存、低侵襲の要素を十分に考慮した治療を目指している。進行・再発大腸癌に対しても集学的治療により積極的に取り組んでいる。

症例数

★年間の手術例数は約230例、そのうち大腸癌初回手術例は約150例(内視鏡治療除く)である。根治性については、病期を適格に判断した上で治療方法を選択することで確保している、機能温存については、直腸癌治療での肛門温存術式と自律神経温存術式による排尿機能、性機能温存を最大限に図っている。低侵襲については、stageIIまでの結腸癌や直腸癌に対して腹腔鏡下手術を実施して身体的負担の軽減に努めている。一方、肝転移や肺転移を有するstageIVの進行癌に対しては、治癒切除可能と判断されれば拡大手術により治癒を目指している

★手術後の補助化学療法(抗癌剤投与)は、病理病期によりその適応を決めている。進行・再発大腸癌に対する集学的治療としての化学放射線療法は、変化する最新の治療方法に対処しながら行っている。直腸癌に対する術前化学放射線療法は適応を慎重に判断しながら実施している

★過去10年間の5年生存率は、stageI、II、IIIa、IIIb、IVの順に結腸癌は91.9%、86.2%、86.4%、70.0%、17.3%、直腸癌は100%、87.7%、79.5%、59.5%、21.5%である

★退院後の外来診療は、入院中の主治医が長期にわたり担当する

★直腸癌により人工肛門造設した場合はWOC看護師(皮膚・排泄ケア専門職)によるスキンケア外来でもフォローアップされる。

医療設備

CT、MRI、PET-CT、放射線照射設備、血管造影設備等。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

当院は神奈川県の地域がん診療拠点病院に指定されており、近隣個人病院や県内外の中核病院からの紹介が多く、毎年の新たな肺癌患者さんは600~700人前後受診されている。数は多くないが、最近各種の報道で有名になっているアスベスト(石綿)の吸入による呼吸器疾患(悪性中皮腫やアスベストに合併した肺癌)も受診されている。 肺癌はそのおよそ35%が手術可能な方であり、約50%方が化学療法や放射線療法の適応のある方で、残りはいずれの治療法の適応にもならず、最良支持療法や無治療観察、あるいは治療拒否やセカンドオピニオンの方などとなっている。この他に、胸腺腫、縦隔腫瘍、前記した悪性胸膜中皮腫、転移性肺腫瘍等の患者さんがおられる。いずれの疾患についても、その診断と治療を担当している。診断は我々がCT画像、PET-CT画像を主体に、それに気管支鏡も行っています。特に、マルチスライスCTによる末梢小型肺癌の画像診断にはすぐれたものがあり、CT装置を稼働させている各地の病院・医院や検診施設と提携して、数多くの早期癌を発見し、また厚生労働省の研究班の一員として診断能の向上に向けての研究を行っている。検査件数は胸部CT(ほぼ全例マルチスライスCTを用いて)が約1,000件以上、気管支鏡が年間約300件である。特色として多くの地域医師会と連携して、X線読影会や二重読影により、肺癌の早期発見に努めており、実際多くの早期肺癌が見つかっている。

症例数

治療は、原則として最新のガイドラインに基づいた標準治療を行う

★非小細胞肺癌では、I期からIIIA期の一部までは手術療法が、IIIA期には、化学療法と手術療法または放射線療法が、IIIB期の一部には化学療法+放射線療法が、IV期には化学療法または最良支持療法のみが行われる

★小細胞肺癌では、進行がかなり早いので手術が可能な患者さんは少なく、I期のごく少数例で手術が行われるほかは、限局型(局所進展)では化学療法+放射線療法が、進展型(遠隔転移)では化学療法が積極的に行われる

★切除可能の患者さんでの手術は外科グループが担当し、より質の高いレベルの手術や安全な手術を目標としており、より安全で体に負担をかけない傷を少なくした胸腔鏡併用の手術を行っている

★原発性肺悪性腫瘍の総手術件数は07年:183例、08年:190例、09年:206例、10年240例と年々増加して、他に転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍も手術例に入っているが、原発性肺癌の手術件数が最も多く、全国でも有数の施設である。特に早期の小型肺癌に対しては、より小さな傷で切除ができる胸腔鏡手術も含めた縮小手術を積極的に行っている。最近10年間の肺癌切除例の5年生存率は、癌が肺内にとどまってリンパ節転移がみられないI期では81%、肺門リンパ節に転移のあるII期では52%となっている

★抗癌剤に関しては、有名なシスプラチンを主体にイリノテカン、ドセタキセルのほかに、ビノレルビン、パクリタキセル、ゲムシタビン、ノギテカン、アムルビシン、アリムタ、TS-1等の新しい抗癌剤も含めて使用し、さらには分子標的薬であるアバスチンの抗癌剤との併用も始まった。したがって、肺癌の組織型別の抗癌剤の選択が可能になり、さらなる治療効果向上が期待されている。それを用いた臨床試験も全国規模で行われ、我々の施設も積極的に参加している。非小細胞肺癌では、分子標的薬が注目されるようになった。ゲフィチニブ(イレッサ)が02年に、エルロチニブ(タルセバ)が08年に認可され、両者はEGFR-TKIと呼ばれ切除不能の進行肺癌患者さんに使って劇的な効果が見られている。一時期、新聞やテレビでこの分子標的薬によって起こる間質性肺炎の問題が指摘されたが、日本肺癌学会ではこれらの分子標的薬の安全な使い方についてガイドラインが出されており、それに基づいて安全な使用が国内では行われている。とにかく全身状態などが適切な患者さんに対しては積極的に抗癌剤や分子標的薬を組織型や癌の遺伝子変異に合わせて施行している。また、肺癌術後に補助化学療法や術後再発した患者さんについても、外科から内科に回ってもらい積極的に化学療法を行っている

★有害な副作用対策も進歩してきている。しかし、全身状態が良くなくて積極的な化学療法を行うことにより、むしろ病状が悪化してしまうとか、かえって大きなリスクを招くことが予想される患者さんでは、疼痛緩和や呼吸困難の改善、全身状態の改善などの症状緩和ケアを奨めている。当施設の緩和ケア科や、緩和ケアに精通した近隣の病院や施設、地域の医師会の在宅医療の先生方とも病病連携のもとに、新しい鎮痛薬や向精神薬などを用いることにより、苦痛の軽減をはかるようにしている

★いずれの治療法を行うにしても、患者さんの希望を確認し、原則として病名を告知し、病状や治療について十分に説明をさせていただき、理解を深めてもらった上で、治療に関する合意をいただくようにしている(いわゆるインフォームド・コンセント)。

医療設備

16列・8列MDCT、MRI、PET-CT、蛍光気管支鏡、高精度リニアック。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

当科は完全なチーム医療で診療にあたっており、原発性肺癌を中心に、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍の外科治療を行っている。治療方針は、原則として呼吸器外科、呼吸器内科(腫瘍内科)、放射線診断科、核医学科、放射線治療科、病理診断科の各セクション(tumor board)の合議により決定している。初期の肺癌に対しては手術を中心に、進行した肺癌には抗癌剤や放射線などの治療法と手術を組み合わせた集学的治療を行っている。当科の診療目標は“癌の完全切除(=癌の根絶)”と“術後の生活に支障をきたさない(=QOLの重視)”という2点を常に念頭に、個々の患者さんに最も適した質の高い医療を安全確実に提供することである。診療ガイドラインをベースに標準的治療を行うことを基本方針とする一方で、「がんセンター」として新しい治療へのチャレンジを常に考えている。

症例数

11年の手術症例数は331例で、その内訳は、原発性肺癌245例、転移性肺癌34例、縦隔腫瘍9例などである。原発性肺癌の手術成績(病期別5年生存率)は、手術例全体で76%、IA期90%、IB期77%、IIA期50%、IIB期44%、IIIA期38%、IIIB期21%、IV期25%である。また手術材料をもとに、個別化医療の実現にむけたトランスレーショナル・リサーチを当センターの臨床研究所と共同で行っている。さらに標準的治療の確立を目指した全国規模の多施設共同臨床試験あるいは多国籍共同臨床試験に積極的に参加している。原則としてクリニカルパスを適用し(全手術例の96%にパスを適用し完遂率95%)、術前も含めた平均入院期間は約10.3日である。

医療設備

肺癌診療に必要な機器はすべて完備。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 〇

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

3人の診療医のうち1人が主治医となり外来初診から、診断・治療・経過観察まで責任を持って一貫して診療する。すべての診療は最新の診療指針に基づき、患者さんとの話し合いの中で決定される。3人のスタッフが毎日治療方針を確認し合いながら診療を進めるので、実質的には3人の医師が共同で個々の患者さんを一緒に診療する体制である

★腎臓癌では進行例の困難な手術から、小さい癌に対しては負担の少ない腹腔鏡手術、腎部分切除術などを積極的に取り入れている。また分子標的薬による治療も経験が豊富であり、患者さんの日常生活を損なわないような薬の使い方を心がけている。膀胱癌の患者も多く、進行例に対する膀胱全摘術は全国的にみてもトップクラスの手術数である。新膀胱などの生活の質を重視した尿路変更も取り入れ、病状によっては膀胱を残したまま癌をコントロールする膀胱温存療法も行っている

★青年に多い進行精巣癌は県内各地から患者さんが紹介され、神奈川県の中心施設として数多くの抗癌剤治療、手術を手がけ、1人でも多くの難治性症例を救うべく奮闘している

★前立腺癌については手術によって完治を目指すとともに、より負担の少ない治療として最先端の放射線治療設備を導入し、2年後には重粒子線治療を開始する。患者さんの要望に沿ってあらゆる治療が選択可能な体制を構築していく予定である。

症例数

外来は1日平均70人。神奈川県内のみならず、東京からの紹介患者も多い。ある程度病状が落ち着いた患者さんは近隣の信頼できる泌尿器専門医と連携をとり紹介する

★12年の主な手術件数は膀胱全摘25件、前立腺全摘20件、腎癌手術(主に腹腔鏡)40件など。前立腺癌手術は完治の可能性の高い症例に限定した適応を心がけているため、症例数は少ないが合併症は少なく治療成績は優れており、最近20年間で癌による死亡症例は皆無である。放射線治療は主に初期の前立腺癌に対して行い、年間約50例を治療しているが、今後施設の拡充によって、より多くの患者さんに対応できるようになる予定である。

医療設備

MRI、ヘリカルCT、IMRT(ピンポイント放射線照射)。
  • セカンドオピニオン受入 〇
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

婦人科

分野

産婦人科

特色

癌専門病院として婦人科領域の前癌状態および癌の診断・治療を、完全紹介制にて行う(癌検診、良性腫瘍の治療、絨毛性疾患、妊娠中の治療は取扱わない)細胞診・組織診をはじめとした診断から、手術・化学療法等による治療、治療後外来管理、再発治療まで、一貫して婦人科医が担当している。当科独自の修練を長年行ってきており、多くの専門医を排出している。ちなみに、日本臨床細胞学会の細胞診専門医3人、日本婦人科腫瘍学会の婦人科腫瘍専門医3人、日本がん治療認定機構のがん治療認定医3人がそれぞれの資格を持つ。また、快適な在宅療養が行えるよう、近隣の在宅診療医や訪問看護ステーションとの連携も密にしている。子宮頚癌治療件数および子宮体癌治療件数は、長年にわたり全国10位以内である。また、稀少な癌にも経験豊富。なお、13年11月に隣接地に新病院が完成し移転するが、診療体制は変わらない予定。15年には重粒子線治療施設もオープンする。

症例数

いずれも11年実績

★子宮頚癌は102件で、0期54件、Ia期7件、Ib期24件、II期8件、III期5件、IV期4件と、初期癌とIII期以上の進行癌が多いのが当院の特徴である。11年はリニアック更新のために治療制限を行ったが、現在は放射線はフル稼働している。0期・Ia期の初期癌のうち、閉経前の大部分で子宮頸部円錐切除術を行う。超音波切開装置8台を所有し、手術室と外来で使い分けている。未産婦の場合は3日間入院だが、経産婦の場合は、外来日帰り手術でできることが多い(月・木)。Ib〜IIa期は広汎子宮全摘術を行う。術後の排尿障害を軽減するため、神経温存術式を採用している。大部分は自己血輸血を用いており、手術時の輸血の頻度は低い。IIb期の一部とIIIb期以上は放射線治療に併用化学療法(CCRT)を行っている。5年生存率はIa期まで100%、Ib期92.2%、II期79.3%、III期59.4%、IV期26.2%

★子宮体癌は67件で0期3件、I期34件、II期5件、III期18件、IV期3件、肉腫4件。子宮全摘術+両側付属器切除術の手術療法を中心とするが、後腹膜リンパ節郭清については、術前の病理組織検査・超音波検査・腫瘍マーカー値などを駆使した当院独自の個別化を行い、およそ1/3の症例に傍大動脈リンパ節郭清まで、1/3の症例に骨盤リンパ節郭清まで行っている。逆に初期が予測される例にはリンパ節郭清を避け、合併症の軽減に努めている。子宮全摘術は膣断端再発予防のため拡大子宮全摘術(膣を1〜2cm付けて切除する術式)を基本とする。傍大動脈リンパ節郭清についても自己血輸血を用いており、手術時の輸血の頻度は低い。原則としてI期・II期のハイリスク例およびIII期以上では手術後に化学療法を併用する。5年生存率は、I期95.7%、II期91.5%、III期65.1%、IV期24.3%

★卵巣癌は計41件で、境界悪性5件、I期12件、II期4件、III期10件、IV期10件。手術と化学療法を併用して治療しているが、来院時腹水貯留がある例などでは、QOL(生活の質)と治療効果を考慮のうえ化学療法が先行することも多い。5年生存率は、I期97.6%、II期100%、III期34.8%、IV期34.3%

★外陰癌は4件で、形成外科と協力し有茎皮膚移植を併用できる体制にある。卵管癌は卵巣癌に準じた治療法を行う。腟癌は手術療法あるいは放射線治療を行う。その他、他の診療科と協同して、他臓器原発の転移性腫瘍の治療にあたる

★前癌状態も危険度の高い子宮頚部高度異形成(45件)、子宮内膜異型増殖症(3件)は初期癌に準じて治療している。子宮頚部高度異形成や頚癌0期の患者さんで、今後の分娩に支障のない治療を希望する方には、光線力学的治療(PDT)を行っていたが、現在機器の故障のため当院では行えない

★年間手術数250件、化学療法400件。

医療設備

CT、MRI、PET-CT、リニアック、ラルス、電子線、ヤグ-炭酸ガスレーザー、エキシマダイレーザー、無菌病棟、ICU、HCU、緩和ケア病棟。
  • セカンドオピニオン受入 ◯
  • 初診予約 ◯
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

血液科

分野

血液内科

特色

85年から血液悪性腫瘍の診療を行い、00年からは血液科と化学療法科に分かれて診療を行っている。血液科は白血病診療を専門とし、化学療法および同種造血幹細胞移植による白血病の治癒を目指した治療を行っている。白血病患者の看護に熟知した看護師も多く、医師、看護師、薬剤師、栄養士による合同カンファレンスを毎週開催している。日本血液学会認定施設、日本骨髄バンク・日本さい帯血バンク移植認定施設。

症例数

★11年末までに当科で入院治療を受けた患者さんは急性骨髄性白血病445人、急性リンパ性白血病167人、骨髄異形成症候群77人である

★化学療法は全国組織である成人白血病治療共同研究グループ(JALSG)の治療方針に基づき、標準的治療の実践および新規化学療法の研究に参画している

★当科では化学療法では治癒が期待できない白血病などに対しては積極的に同種造血幹細胞移植を行っており、85~11年までに477人の血液患者さんが移植治療を受けられている。最近は特に高齢者に対する移植(50歳代87人、60歳代20人)を積極的に受け入れている。急性白血病325人の移植成績(以下、%は5年生存率)は、標準リスク群で62%、高リスク群で30%である。高齢者に多い骨髄異形成症候群(52人)では標準リスク群で78%、高リスク群で47%の成績。再生不良性貧血(22人)では82%である。

医療設備

無菌病棟20床(13年開院の新棟では30床)。末梢血幹細胞採取、細胞保存設備。院内検査室でフローサイトメトリー、遺伝子解析(FISH、PCR)施行。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

悪性脳腫瘍治療に特化した診療科である。手術・放射線・化学・免疫療法を適宜組み合わせ、良質な癌看護体制のもと、悪性腫瘍の総合的医療を目指している。また、林部長は東洋医学会漢方専門医・指導医でもあり、癌関連漢方外来も併設している。

症例数

年間手術数は50例前後。その他に他院紹介の術後治療も引き受けており、年間入院者数は100例前後である

悪性神経膠腫=手術は広範摘出が基本。脳機能温存目的の覚醒下手術および定位脳手術・腫瘍生検術には十分な経験がある。放射線治療では放射線治療医が充足し、リニアックに加え、院外の定位脳照射治療施設との綿密な協力体制がある。抗癌剤治療は06年9月以降はテモダール主体の標準治療。なお、当院では抗癌剤感受性試験を行える。86~95年(ニドラン動注治療期)の悪性星細胞腫24例:1年・3年・5年生存率はそれぞれ85.0%・37.0%・20%。膠芽腫9例:1年・3年・5年生存率はそれぞれ33.0%・11.0%・11.0%。96~02年(関連病院共通プロトコール治療期)の悪性星細胞腫24例:1年・3年・5年生存率はそれぞれ79.2%・39.1%・14.9%。膠芽腫26例:1年・3年・5年生存率はそれぞれ34.6%・3.9%・0.0%。テモダール導入後の成績は、膠芽腫(29例):1年・2年・3年・4年・5年の生存率はそれぞれ60.3%・25.9%・17.2%・17.2%・0.0%

脳原発悪性リンパ腫=豊富な治療経験あり。個人的治療経験は70例以上。主にメトトレキサート大量動注療法+多剤併用療法を行っている。無病生存期間29.5カ月。再発後の治療法も種々準備している

転移性脳腫瘍=QOL(生活の質)を重視し、全脳照射は多発性を除き原則施行せず。手術を優先して術後照射はむやみに施行せず。局所再発を認めた時点で、定位的放射線治療等で対処する。

医療設備

MRI、CT、3D-DSA、SPECT、PET、リニアック、BRW型定位脳手術装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 〇
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

乳腺・内分泌外科(内分泌)

分野

乳腺・内分泌外科

特色

甲状腺癌を中心に、外科的内分泌疾患の診断・治療を行っている。各疾患ともQOL(生活の質)を考慮し、手術療法を中心とした集学的療法を行っている。病名告知は本人、家族の希望によるが、ほぼ100%である。がんセンターということで、難治性の甲状腺癌の取り扱いが比較的多い。

症例数

11年の甲状腺手術件数は、分化癌60例(初回手術50例、再発例10例)、良性腫瘍性疾患35例、バセドウ病3例、未分化癌3例である。この他に副甲状腺・副腎等7例

★乳頭癌の手術に関しては、予後が良好であることから、声帯機能や副甲状腺機能をできるだけ温存するようにしている。しかし気管・食道など周囲臓器へ浸潤しているものでは、肺転移・骨転移を起こす例が多いため、甲状腺全摘を施行しRI治療(アブレーション)を行う方針としている。反回神経浸潤例には積極的に再建術を行っている。15年生存率はstageI:98%、II:95%、III:82%、IV:40%

★濾胞性腫瘍は術前に良悪性の判定が困難なことが多く、悪性の可能性がある場合は手術を勧めている。嚢胞性の病変に対しては、超音波下にエタノール注入療法(PEIT)を外来で行っている

★未分化癌の予後は非常に不良であり、集学的な治療を試みているが満足すべき結果は得られていなが全国規模の治験に参加している。平均生存期間7カ月、2年以上の生存例7%。できるだけQOLを損なわない治療を選択するようにしている。また、最近この癌に対し新たな化学療法を試み、今までとは違った手応えを感じている

★バセドウ病は、手術が最良と考えられる例だけに手術を行っている。

医療設備

CT、MRI、US、シンチグラフィーなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

放射線腫瘍科

分野

放射線科

特色

当センターは都道府県がん診療連携拠点病院であり各臓器癌専門の診療科医師を擁している。放射線療法の特徴として低侵襲性で、機能温存が図れることがあげられ、これを生かすことができるように、各臓器癌専門の診療科医師と話し合いながら診療方針を決定している。私たち放射線腫瘍医の役割は、集学的治療の一環として放射線治療の適応を決定し、また放射線治療を必要としている患者さんすべてに放射線治療の選択肢を提供することであると考えている。さらに、放射線治療は放射線腫瘍医のみならず、放射線治療担当技師や放射線治療科看護師などとのチーム医療で成り立っており、定期的にカンファレンスを行いながら、正確で温もりのある放射線治療が行われるように日々努めている。また、15年度には重粒子線治療施設が併設され、究極の“からだへの負担が少なく、治癒をめざす放射線治療”を行う予定である。

症例数

放射線治療の新規患者数は、年平均700人を超えており、10年度の新規患者数は、718人であった。主な内訳は、乳癌199人、頭頚部癌112人、肺癌93人、子宮癌72人、食道癌54人に施行した。子宮頚癌に対する腔内照射数は全国でも多い。12年1月からは高精度リニアックによる前立腺癌に対するIMRT(強度変調放射線治療)、肺癌に対するSRT(低位放射線治療)などの高精度治療を開始した。

医療設備

13年からリニアック4台体制(将来は5台体制)。15年から重粒子線治療施設を併設予定。現在、リニアック2台(Varian社製Trilogy、東芝製Primus)、高線量率リモートアフターローディング装置(Nucleotron社製)、治療計画用CT,X線シミュレーター、3次元治療計画装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 神奈川」(ライフ企画)

腫瘍内科

分野

癌化学療法

特色

当科における癌薬物療法は、標準化学療法、高用量化学療法、大量化学療法併用自家末梢血幹細胞移植、同種造血幹細胞移植と多岐におよんでいる。診療対象疾患は、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および薬剤感受性のある固形癌の中で再発・進行大腸癌、肺外小細胞癌、他院から紹介される再発乳癌等である。同種造血幹細胞移植は悪性リンパ腫に、大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植は悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に行っている。

症例数

11年度の外来新患数は245人であり、内訳は悪性リンパ腫、多発性骨髄腫を含むリンパ系悪性腫瘍(急性白血病は除く)41.8%、大腸癌8.3%、原発不明癌4.7%、再発乳癌2.8%、肺外小細胞癌0.8%、その他固形癌25.4%、リンパ節腫脹3.2%、その他 4.2%であった。セカンドオピニオンは9.1%であった

★悪性リンパ腫の治療は標準化学療法であるCHOP療法を施行しているが、悪性リンパ腫の多くを占めるB細胞リンパ腫にはリツキサンを併用し、R-CHOP療法として治療を行っている。R-CHOP療法の3年生存率はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫が79.7%、濾胞性リンパ腫が90.6%である。高リスク非ホジキンリンパ腫または再発リンパ腫に対する大量化学療法+自家末梢血幹細胞移植や、NK/T細胞性リンパ腫や成人T細胞性白血病等の難治性悪性リンパ腫に対する同種造血幹細胞移植も施行している

★多発性骨髄腫の治療は症候性多発性骨髄腫のうち65歳以下の自家移植併用大量化学慮法適応例に対しては、デキサメサゾン大量療法や新規治療薬であるボルテゾミブを組み込んだ寛解導入療法を行った後、自家末梢血幹細胞移植を施行する方針とし、また、66歳以上の高齢者に対してはボルテゾミブ併用MP療法を初期治療として選択する方針としている

★進行・再発大腸癌の治療では、治療ガイドラインに基づいて、血管新生阻害剤であるベバシズマあるいは抗EGFR抗体であるセツキシマブ、パニツムマブを併用し、mFOLFOX6療法・FOLFIRI療法を基本とし、sequential therapyを行っている。mFOLFOX6療法・FOLFIRI療法を用いた治療成績は奏効率48%、生存の中央値が24.2カ月である

★肺外小細胞癌は肺小細胞癌に準じてシスプラチン・塩酸イリノテカン療法を用いている。高齢者にはカルボプラチン・エトポシド療法も可能である

★原発不明癌は、診断および治療方針の決定に幅広い知識が要求される領域であり、他科との連携と取りながら、適切な診断・治療方針を決定している。原発不明癌予後不良グループに対しては、プラチナ製剤とタキサン製剤の併用療法による化学療法を行っている。

医療設備

無菌病棟(20床)、MRI、CT、PET、各種シンチグラム、放射線照射装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

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