専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

自治医科大学附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

消化管(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸)、肝臓、胆道、膵臓など消化器領域全般の疾患を対象にしている。各分野にはそれぞれ専門医がおり、最先端医療を提供している。内視鏡的アプローチが可能な疾患に対しては、内視鏡を用いた低侵襲かつ迅速な診断と安全で確実な治療を目標としており、最先端手技の開発にも力をそそいでいる。

症例数

年間の消化器内科外来患者数は約39,000人、入院患者数は延べ約1,700人である

★2008年の消化器内科の年間内視鏡検査数は、上部消化管6,000例、下部消化管2,600例、内視鏡的逆行性胆道膵管造影360例、ダブルバルーン小腸鏡280例、超音波内視鏡480例であった

★食道疾患では肝硬変に伴う食道静脈瘤患者が最も多く、内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を主体に年間約140例に治療を施行している。胃疾患では、消化性潰瘍や低悪性度胃MALTリンパ腫等の症例を対象に積極的にヘリコバクター・ピロリの除菌治療を行っている。感染の診断は、内視鏡下の組織採取による鏡検法、採血による抗体測定、尿素呼気試験いずれも可能である。早期胃癌、食道癌に対しては、超音波内視鏡による進達度診断とFICE、NBIなどの特殊光観察による進展度診断を行っている。その上で、当科で開発したヒアルロン酸ナトリウムを用いた内視鏡的粘膜切開剝離法による切除術を年間約150例に施行し98.7%の一括切除に成功している

★小腸疾患に関しては、当院で開発され全世界的に普及しつつあるダブルバルーン内視鏡を用いた診療を行っている。この6年間で1,300件以上のダブルバルーン内視鏡が行われ、診断のみならず小腸ポリープ切除や狭窄部拡張、胃切除後胆管結石治療などの治療に応用している。一方、出血点不明の消化管出血などに対してはダブルバルーン内視鏡の前検査としてカプセル内視鏡も利用している

★大腸疾患においては、外来では潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患患者が、また入院では早期大腸腫瘍の内視鏡治療を目的とした患者が最も多い。側方発育型の腫瘍(LST)に対しても粘膜内にとどまる腫瘍であれば大きさ、場所に制限なく内視鏡的切除の適応としており、ヒアルロン酸ナトリウムを用いた内視鏡的粘膜切開剝離法による切除を行っている。2008年は72例(平均腫瘍径3.3cm)のLSTに治療を行い95.8%で一括切除に成功した。2例で偶発症を生じたが保存的に治癒した

★肝疾患ではC型慢性肝炎患者のインターフェロン治療とともに肝細胞癌の早期発見に努めており、その結果多くの症例で局所治療が可能となっている。肝細胞癌の治療は腫瘍の進行度や肝予備能に基づいて選択されるが、局所治療としては腹腔鏡的ラジオ波焼灼療法(LRA)を第一選択としている。超音波腹腔鏡を用い、肝表面ばかりでなく肝深部の肝細胞癌も治療の対象としており、過去10年の腹腔鏡下治療469例の局所再発率は4.9%にとどまっている。C型慢性肝炎に対するインターフェロン療法に関しても、肝疾患診療連携拠点病院に指定されており、毎年50例以上の新規導入を行っている

★胆膵疾患では胆道結石および膵胆道腫瘍を中心に診療を行っている。総胆管結石症に対しては、内視鏡的乳頭バルーン拡張術による結石除去を行っており、2008年の結石除去率は97%、合併症は急性膵炎6.6%であった。胆道悪性腫瘍には胆管内超音波検査による深達度診断を行い、手術不能悪性胆道腫瘍に対してはステントの留置と放射線療法を併用している。閉塞性黄疸を伴う手術不能膵癌に対しては、内視鏡的なステント挿入(EBD)を行い早期の家庭復帰を目指している。いずれも手術が可能と診断された場合には消化器外科と、化学療法の適応と判断された場合には臨床腫瘍科と速やかな連携を行っている。

医療設備

各種電子内視鏡(上部消化管、下部消化管、ダブルバルーン小腸鏡、腹腔鏡、胆道鏡)、各種超音波診断装置(カラードプラ、超音波内視鏡、管腔内細径超音波、超音波腹腔鏡等)、CT、MRI、血管造影、マイクロ波、ラジオ波。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

消化器・一般外科

分野

消化器・一般外科

特色

腹腔内臓器における良性・悪性・炎症性・先天性疾患を問わず、専門グループを中心とした緻密な検討を行い、最善の治療を行うことを基本方針としている。診療内容は手術治療が中心となるものの、内視鏡、超音波検査などの諸検査をはじめ、臨床腫瘍科と協力し、外来治療、化学・放射線治療などの手術療法以外にも重点をおいている。進行癌では標準手術に加え他臓器合併切除を含めた拡大手術を行い、根治術を目指すとともに、早期の癌では内視鏡的粘膜切除(EMR)や腹腔鏡手術を導入し、根治性を損なうことなく手術侵襲の軽減に努めている。また、内視鏡手術や肛門再建術などは本邦における先駆的役割を担っている。100床のベッド数を誇る。消化器一般外科という講座で機能しており、乳腺・総合外科、移植外科、小児外科(別に、とちぎ子ども医療センターに25床あり)、形成外科と密接に連携運営を行っている。

症例数

消化器外科の年間の全麻手術件数は約1,400件

食道癌=EMRや手術療法に加え、化学療法・放射線療法を行い、従来予後不良とされてきた食道癌の治療成績の向上を得ている。年間手術症例数は30~40例で、5年生存率はstage 0~II: 66%、III: 44%、IV: 15%

胃癌=標準手術に加え、EMRや機能温存手術あるいは腹腔鏡(補助)手術を導入している。年間手術症例数は180~200例で、Stage IA:98.7%、IB:92.5%、II:81%、IIIA:54%、IIIB:44%、IV:5%

大腸癌=年間手術症例数約240例(結腸癌 140例、直腸癌 100例)。5年生存率Stage0:100%、I:96.4%、II:90.4%、III:69.4%、IV:18.7%。早期癌およびStageIIまでの進行癌に対しては腹腔鏡手術を施行している。下部進行直腸癌には術前化学放射線療法を施行し肛門括約筋温存手術に努めている。切除不能と思われていた両葉多発肝転移症例や、骨盤内に大きな腫瘤を形成した癌に対しては新規抗癌剤(FOLFOX、FOLFIRI、アバスチン等)の全身化学療法を施行し治癒切除を目指している。潰瘍性大腸炎や、家族性大腸腺腫症に対しても腹腔鏡下大腸全摘術を施行し低侵襲手術を目指している

膵癌・中下部胆肝癌・乳頭部癌=症例に応じた治療法を選択することを基本に、切除法・切除範囲を決定し、化学療法を加味した集学的治療を臨床腫瘍科と共同で行っている。十二指腸温存切除、膵分節切除など縮小手術を積極的に導入している。(幽門輪温存)膵頭十二指腸切除術は年間20~25例、膵体尾部切除術は年間15~20例、切除例の5年生存率は乳頭部癌60.3%、中下部胆管癌49.3%、膵癌33.5%(1999-2006年)

肝門部胆管癌・胆嚢癌=腫瘍切除と放射線治療を併用しているが、予後不良である。しかしながら積極的治療により長期生存例を得ている。

肝癌=消化器内科・放射線科との合同カンファレンスを行い、肝癌診療ガイドラインを基本に肝切除の適応を決定している。肝の解剖の熟知と手術手技の熟練により、肝機能の温存を重視した肝切除を行っている。肝細胞癌の年間手術症例は30~40例で、腫瘍が4個以内での術後5年生存率は40%、5個以上の多発例での3年生存率は20%となっている。転移性肝癌(約30~40例は臨床腫瘍科・大腸グループと連携し、多発肝転移に対しても化学療法を組み合わせた肝切除を積極的に行っている)、肝移植ドナー手術(約20~30例)を含め、肝切除は年間100例以上施行している

その他=胆石症には内視鏡的胆嚢切除を行っている。急性腹症は救急部と協力しつつ積極的に受け入れている。腎臓外科と共に腎移植も行っており、年間20例で10年生着率は83%である。

医療設備

上・下部消化管内視鏡、ERCP、上・下部消化管造影、超音波内視鏡、血管造影、肛門内圧、腹部超音波、CT、MRI、MRCP、リニアックなど。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

肺癌、間質性肺炎・肺線維症、気管支喘息、肺炎・結核などの呼吸器感染症、肺気腫、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎を含む副鼻腔気管支症候群など、多様な呼吸器疾患全般の最先端の診断・治療を行っている。

症例数

年間入院患者数は約500人、月間外来患者数は約1,500人。入院患者の内訳(1999年度)は、肺癌200人、肺炎80人、間質性肺炎・肺線維症などの間質性肺疾患100人、肺気腫60人、DPB・気管支拡張症25人、気管支喘息25人、気胸20人などである。間質性肺疾患に関しては、気管支肺胞洗浄液の解析に加えて、通常の経気管支肺生検のほか、必要な症例では胸腔鏡下肺生検(呼吸器外科の協力を得て)も施行し、正確な病理診断に基づく治療方針の決定に努めている。肺癌に関しては、毎週、放射線科・呼吸器外科との合同カンファレンスでの連携を通して、外科的な早期治療による完治を目指している。また、手術非適応の肺癌患者さんには、QOLを重視した化学療法、放射線療法を選択し、副作用を少なくし、効果的な治療が行われるよう努めている。入院時の告知に関するアンケートをはじめ、インフォームド・コンセントの徹底にも力を入れている。様々な基礎疾患による慢性呼吸不全の患者さんに対しては、在宅酸素療法を多数の例で行っている。さらに近年注目されている睡眠時無呼吸症候群の診断と治療、また呼吸不全の急性増悪などにおいて、適応のある例ではBiPAPを用いた非侵襲的陽圧換気療法も行い、効果をあげている。なかなか診断の得られない胸膜炎例では内科的胸腔鏡を行い、診断率の向上に努めている。

医療設備

CT、MRI、気管支鏡、超音波内視鏡、内科的胸腔鏡、胸部超音波検査、各種肺機能検査(アストグラフを含む)、放射線治療、核医学検査、非侵襲的陽圧換気療法。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

肺、縦隔、胸壁、横隔膜に発生する呼吸器外科領域の疾患を対象に、専門的な治療を行っている。拡大手術から縮小手術まで、最新の技術を従来技術に組み込むことにより、低侵襲下で最良の治療効果があがるように心掛け、施行している。気管支鏡下治療などの準観血的治療も、積極的に取り入れている。

症例数

年間手術数は約260例で、約半数の200例が低侵襲胸腔鏡下手術である。最近5年間に手術死亡はない。分離肺換気・頸部硬膜外麻酔を行うことにより、手術の安全性の向上、手術時間の短縮、また術後の疼痛の軽減を図っている

★肺癌に対する手術数は約120例で、このうち頸部・縦隔リンパ節郭清を伴う拡大手術は約15例、低侵襲胸腔鏡下手術は約90例である。III期症例である縦隔臓器、胸壁浸潤例に対しても、積極的合併切除手術を行っている。症例の5年生存率はI期82%、II期60%、III期38%である。肺癌は他臓器癌に比べ、予後が悪いという観点から、栃木県住民検診では肺門部早期癌に対する喀痰細胞診検査、肺末梢早期癌に対するCT検査を取り入れて、肺癌早期発見治療にも努めている

★気管疾患に対する手術も積極的に麻酔科と協力し行っている。手術適応とならない気管・気管支狭窄には、QOL向上を目指し、ステント挿入を行っている

★他臓器悪性腫瘍肺転移に対する摘除術(約25例)も集学的治療の一環として積極的に行っている

★気胸・肺気腫などの肺嚢胞性疾患(約35例)は胸腔鏡下手術を中心に行い、再発率は10%以下である

★縦隔疾患では、悪性腫瘍に対しては上大静脈置換を含めた拡大手術を積極的に行い、良性腫瘍・腫瘤の90%は胸腔鏡下に摘除している

★その他、手掌多汗症など、良性機能的疾患も最新の医療技術を用いた治療を行っている。

医療設備

MRI、CT、DSA、電子気管支鏡、レーザー、胸腔鏡、PET。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

1973年、全国に先駆けてCCUを東京女子医大において発足させた細田瑳一初代教授(現・榊原記念病院最高顧問)のもとで開始された。以来30数年余、循環器疾患(狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全をはじめとして高血圧、大動脈・末梢動脈疾患)に関しては、質および量ともに北関東における最高専門医療機関となっている。76床の病棟(うちCCU8床)で常時90%を超える病床利用率であり、しかも平均在院日数は10日間と短く、この地域の循環器疾患の急性期医療を担っている。2002年8月に循環器センターが発足し、心臓血管外科との連携もますます緊密した。単に技術面を追い求めるだけでなく、患者本位の医療を基本とする。また、教育病院として全国の医科大学から10数人の若い医師がレジデントとして研修を受けている。

症例数

年間の外来患者数は24,000人を超え、新患の70%が近隣医療からの紹介患者である。年間の入院患者数は1,600人を超える。うち緊急入院患者が65%を占める。年間の患者数は以下のようになっている

虚血性心疾患=急性心筋梗塞230人を含む虚血性心疾患患者が850人と大部分を占める。急性心筋梗塞は救急救命医療として原則的に心臓カテーテルによる血管再疎通術を行っている。不安定狭心症や労作性狭心症などの治療としても、薬物療法を施行した後、必要に応じインターベンション療法を駆使している。年間の心臓カテーテル件数は1,300件に達する。足ではなく腕の動脈から細いカテーテルを挿入することにより、体動制限もなく楽に、かつ簡単に検査を行えるようになっている。心臓カテーテルのうち、冠動脈バルーン形成術などのインターベンションは750件であり、ステント植え込みは550件、ロータブレーターによる冠動脈形成は27件である。急性心筋梗塞の救命率は94%と重症患者が多いながらも好成績を残している。循環器専門医が複数名待機しており、救急車到着と同時に直ちに緊急心臓カテーテルが実施される

★不整脈の入院患者は年間300人である。電気生理学的検査を施行し、うち158件に対しカテーテルアブレーションを施行し、上室性および心室性頻拍を治療している。現在のところ成功率は90%以上である。徐脈の患者に対するペースメーカーの植え込みは55件であり、重症不整脈患者へのICD(植え込み型除細動)を48件に施行した

★心不全、弁膜症患者が年間380人入院している。心筋炎、心筋梗塞などによる最重症の心不全患者にはPCPS(心肺循環補助装置)などで救命に成功している。その他、拡張型心筋症や肥大型心筋床などの心筋症例が50人、先天性心疾患15人、感染性心内膜炎、心筋炎など30人、大動脈炎、大動脈解離などの大動脈疾患が40人、高血圧性心疾患が20人入院して治療されている。心臓血管外科へ紹介する患者数は年間370件であり、うち冠動脈バイパス術は46件、弁置換や弁形成術は96件に達した。

医療設備

心臓カテーテル、電気生理学的検査、MRI、MRA、CT、核医学検査、運動負荷検査、食道エコー、IABP、PCPSなどを常備し、CCUを8床配置している。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

心臓血管外科(循環器センター外科/子ども医療センター心臓血管外科)

分野

心臓血管外科

特色

弁膜症・冠状動脈疾患(心筋梗塞・狭心症)・血管疾患(大動脈解離・大動脈瘤・閉塞性動脈硬化症・静脈瘤)など各種の後天性心臓血管疾患と複雑心奇形を含む各種の先天性心疾患を対象としている。弁膜症手術が特に多く、弁形成術や心房細動の外科手術など患者さんの術後QOLの改善を目指した治療を積極的に採用している。急性大動脈解離など大動脈手術も急速に症例数が増加。また手術予定の患者さんでは術前にご自身の血液を採取して保存し、それらの血液を手術で使用し、輸血を極力避ける努力をしている

★当科と循環器内科部門とは2002年に循環器センターとして同一の病棟で内科外科の連携を強化して有機的・効率的に診療している。また、栃木県の小児医療設備の拡充に伴い、2006年にはとちぎ子ども医療センターが当院に併設され、それに伴い小児心臓外科部門を開設した。さらに、2008年4月から成人先天性心疾患センターを循環器センター内に設置し、とちぎ子ども医療センター小児科・心臓外科部門とタイアップし、国内には数少ない成人先天性心疾患の治療も集中して行っている。2008年からは腹部大動脈瘤治療としてのカテーテル治療を開始し、今後は胸部大動脈瘤治療にも拡大して行く予定である。

症例数

2008年の総入院患者数は563人であった。手術数については2001年248例であったのが、2008年では521例と倍増している。心臓血管外科学教室では循環器センターで高校生以上、子ども医療センターでは中学生以下の患者さんを対象として診療している。循環器センターでの弁膜症、虚血性心疾患、急性大動脈解離、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤治療などに加えて、とちぎ子ども医療センターでは新生児を含めた先天性心疾患の治療を行っている

★症例数:2008年の手術数は、人工心肺下心臓手術・胸部大動脈手術および体外循環非使用下冠動脈バイパス術症例は303例で、小児の動脈管開存手術や姑息手術を含めた心臓胸部大動脈手術の累計は320例(内訳は、弁膜症97例、虚血性46例、胸部大動脈62例、先天性106例、その他の体外循環例9例)。さらに腹部大動脈瘤の手術などを含めると08年1年間の総手術患者数は522例に及ぶ。また08年度4月から循環器センター内に成人先天性心疾患センターを立ち上げ、08年1年間では15例の高校生以上の先天性心疾患手術を行った

手術成績:1996年から発表されている日本国内の手術成績と当科との成績を比べると以下の通りであった。なお全国症例は1996年~最新データの2006年の症例・手術成績(早期死亡率)、当科は1996年~2008年の症例・手術成績である。当科の早期死亡率/全国の早期死亡率を疾患別に比較すると、弁膜症=2.75%/3.78%、冠動脈バイパス術(待機的)=0.96%/1.91%、大動脈解離(急性)=11.24%/17.49%、非解離大動脈(未破裂)(胸腹部大動脈手術を含む)=6.59%/7.95%であった。いずれの手術においても当科の治療成績が全国を上回っていることが分かる。また、輸血回避率は2008年の成人心臓定時手術においては、術前自己血貯血34例中31例(91.2%)で輸血を回避し、術前非自己血貯血105例中27例(25.7%)で輸血を回避することができた。無輸血となる患者さんにはいかなる生物由来製剤も使用しないことを原則としている。

医療設備

各種開心術用機器、血行動態モニター、左室圧-容量曲線分析装置、術中不整脈治療用機器、補助循環用機器など。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

腎炎・ネフローゼ症候群、高血圧、腎不全、透析療法など主に内科的腎疾患を扱うが、その周辺領域である水・電解質代謝異常、浮腫性疾患、中毒性疾患、腎移植、各種血液浄化法を必要とする疾患なども対象となる。また、透析合併症はあらゆる領域に及ぶので、日頃から総合医の役割も担えるよう教育している。

症例数

外来は毎日2〜3診察室、専用入院ベッド数32床、透析ベット数20床で診察を行っている

★年間総外来患者延べ数約15,000人、同入院患者延べ数約500人、透析回数は特殊血液浄化法やCAPDを含んで年間約5,200回。透析導入患者数は年間約120人前後で県内第1位である

★県内の中心的施設として、あらゆる腎疾患や高血圧、中毒疾患に対応すべくすべての血液浄化法を導入し、最新の検査と治療法とを提供している

★腎疾患の確定診断には積極的にエコーガイド下で腎生検を施行し、治療法の選択や予後の判定に役立てている。年間約100件前後で、開院以来既に約2,000件以上行った。そのうちIgA腎症が最も頻度が高いが、各種ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎、SLE腎症などの膠原病、糖尿病性腎症などの代謝性疾患等も含まれている

★外来受診者では慢性腎不全が比較的多いが、その進行制御に積極的に取り組んでおり、栄養士の協力を得て食事療法指導を行っている。また進行抑制に役立つ数種類の薬剤を組み合わせて用いている

★IgA腎症を始めとする各種腎炎やネフローゼ症候群に対しても、進行悪化する型には積極的に扁桃腺摘除+ステロイドパルス療法、免疫抑制薬や抗凝固薬、適切な降圧約の選択などで対応している。それでもさらに進行して腎不全に陥った場合には、前述のような慢性腎不全の治療を継続して行っている

★不幸にして透析療法が必要となった場合には、原則的には入院し、病棟に隣接する透析センターにて透析導入(血液透析または持続性自己管理腹膜透析療法:CAPD)となる。その間、食事療法の変更や今後の合併症出現に対する教育を受ける

★最近増加が著しい糖尿病性腎症の治療に対しても、積極的に食事療法を受けながら社会復帰の指導を受ける。そして安定した状態になってからは、原則的に自宅はまた勤務先近くの透析施設にて維持透析療法を受けることとなる。県内の透析施設のうち当院より透析患者が維持透析を受けに通院することの多い30数カ所の施設には、当科所属の医師が派遣されたり、定期的に毎週応援診療に行っている

★維持透析療養中に合併症を生じた場合には、その内容に応じ当院の各診療科と共同して治療に当たっている。また、県内中核病院である芳賀赤十字病院、小山市民病院、社会保険宇都宮病院、那須南病院、茨城県では古河赤十字病院、県立中央病院と当科との関連が深く、医師やスタッフの交流・派遣や患者の往来が頻繁に行われている

★術後に透析療養が必要となった例、肝疾患(劇症肝炎など)、中毒性疾患(薬物や農薬、化学薬品中毒など)、家族制高コレステロール血症、膠原病、巣状糸球体硬化症、最近では肝移植前などに対して、血漿交換療法、血液吸着療法など必要に応じている。また、腎臓センター外科部門と共同して移植後合併症の内科的治療にも参画している

★当科通院・入院中の腎・高血圧患者、腎不全患者、透析患者向けに、教育講演会や栄養教室を定期的に開催している。また、地域の医師会の先生方と勉強会や、宇都宮市や県医師会有志の方々と協力して市民へのCKD(慢性腎臓病)や高血圧の予防啓発活動を行っている

★大学病院であり若い医師を教育する義務もあるが、専門である腎臓病・高血圧・透析療法といった領域のみならず、全身の病態を診られる医師を育成する目標も揚げている。

医療設備

高度医療が可能な大学病院であり、必要な医療設備はすべて使用可能である。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

(1)腎臓、膀胱、前立腺、精巣など、泌尿生殖器の癌の治療に取り組んでいる。手術療法を中心として、根治性を求めながらQOLを重視した医療を心掛けている。(2)高齢化社会に対応するために、前立腺肥大症をはじめとした高齢者の排尿障害や、性機能障害の治療にも力を入れている。(3)その他、尿路結石など、泌尿器科領域全般にわたり幅広く対応している。

症例数

年間の全手術件数は約700~750例で、年々増加傾向にある。このうち癌が70%以上を占める

★腎癌は約45例で、近年偶然に発見され腎臓内に限局している症例が増えている。このような症例の10年非再発率は85~90%である

★膀胱癌では、表在性例が約130例で、浸潤性が約20例である。浸潤性には膀胱全摘術が行われ、リンパ節転移のない症例の5年生存率は75%、転移のある症例のそれは30%である

★前立腺癌は進行した症例の比率が高いが、局所に限局していて根治的摘除術が行われる症例は約35例である。最近は、術後の尿失禁の発生はほとんど問題にならないほど減少した。また、IMRTによる放射線治療も行っている。腎癌および前立腺癌に対しては腹腔鏡補助下小切開手術を採用し低侵襲手術を行っている

★その他、腎盂、尿管腫瘍、尿道腫瘍、精巣腫瘍等の手術が約15~20例、前立腺肥大症に対するTUR-Pが約20例である。尿管結石に対してはESWL(体外衝撃波)中心に年間100件行っている。

医療設備

膀胱・尿管・腎盂鏡、尿流動態検査機器、IMRT 、MRI、CT、ESWLなど。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

形成外科・美容外科

分野

形成外科

特色

形成外科学会認定施設であり、専門医5人を擁する。幅広い疾患に対応できるよう、常に先端技術の習得に努力し、バランスのよい質の高い医療の提供を心掛けている。併設する、とちぎ子ども医療センター・小児形成外科も担当しており、口唇口蓋裂など小児先天異常の治療に力を入れている。

症例数

年間の全手術数は約600例

★口唇裂、口蓋裂に関しては口蓋裂ケアチーム(形成外科・口腔外科・耳鼻咽喉科・言語聴覚士・矯正歯科からなる)によりチーム医療を行っている。成人の唇裂形成術後の変形に対しても顎の骨切り術を行い、正常咬合の獲得と鼻、唇の形成を行い、よい成績をあげている。年間手術数約50例

★頭蓋縫合早期癒合症、クルーゾン病、アペルト病など頭蓋顔面の先天異常の治療経験は豊富である。独自に開発した骨延長器による MCDO法では良好な結果を得ている

★乳癌切除後の乳房再建には微小血管吻合術を用いた種々の遊離組織移植や、ティッシュエキスパンダーを用いた方法を行っている。人工乳腺による再建術も自費診療ではあるが正規対応している。年間手術数約40例

★頭頚部の腫瘍切除後に対しては、機能温存と形態再建に重点を置いた治療法を開発し患者さんのQOL の温存に留意している。年間手術数約40例

★顎変形症の治療では骨切り術と骨延長術を併用し、長期に安定した咬合と審美的に良好な結果を得ている

★合指症、多指症、外傷など手の外科は年間手術約50例で、機能整容両面を重視している

★顔面骨骨折や顔面外傷後の変形については、骨格より変形を矯正し、よい結果を収めている。頭蓋骨実体モデルを併用した眼球陥凹の治療も得意としている

★小耳症は7歳前後に肋軟骨移植を用いた形成術を行っている

★顔面神経麻痺に対しては神経移植や筋肉移植を行っている

★美容外科を併設し、シミ、母斑、入れ墨などに対応している。

医療設備

CT、3次元CT、MRI、内視鏡、頭蓋骨実体モデル。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

産科婦人科

分野

産婦人科

特色

産科62床、婦人科48床の計110床を有し、周産期、腫瘍、不妊内分泌の三つの専門グループによる最新技術を取り入れたチーム診療を行っている。

症例数

★周産期部門は総合周産期母子医療センターを併設している。当部門の特徴は、①すべての周産期、産科患者さんに対応している。正常の妊娠分娩から重症合併症妊娠まで、プライマリーケアから高度先進産科医療まで、産科の全領域をカバーできる体制を敷いている。②分娩数が非常に多い。2004~2008年(5年間)の分娩数は5,421件(1,084件/年)であり、この数は全国医科大学附属病院のベスト5に名を連ねる。③分娩に対する妊婦さんの希望を重視している。分娩様式、夫立ち会いなど、可能な限り希望に沿ったきめ細かい診療を行っている。④外来診療は完全予約制で、担当医師の約半数は女性医師。女医ならではの健診が行われる。⑤得意とする疾患は、多胎(双胎)妊娠、切迫早産、妊娠中毒症、重症合併症妊娠(心疾患、腎疾患、血液疾患など)である。2004~2008年(5年間)の総双胎分娩数は456件(91件/年)で、全国医科大学附属病院のトップである。胎児異常の診断も得意。とくにカラードプラ、MRI、胎児心機能検査などを駆使した心疾患の出生前診断を行っている。⑥総合母子周産期センターでは小児科との連携が良好。多数の母体搬送を受けている。2004~2008年(5年間)の母体救急搬送数は889件(178件/年)である。さらに救急に対する万全の体制を敷き、当直医を常時3~4人置き、教授以下、全医員への連絡網が徹底している

★腫瘍部門では良性、悪性を問わず、あらゆる婦人科疾患を取り扱っている。08年には601件の手術を実施。うち悪性腫瘍は205例を数え、子宮頸癌85例、子宮体癌47例、卵巣癌63例などである。子宮頸癌では手術療法(広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘術など)や同時化学放射線療法を実施している。円錐切除術にはハーモニック・スカルペルを用いることにより、出血量の減少を図っている。子宮体癌では子宮全摘、両側付属器切除、後腹膜リンパ節郭清を基本術式としている。進行例では放射線、化学療法を追加している。卵巣癌では、内性器全摘、大網切除、後腹膜リンパ節郭清を基本とし、転移・浸潤巣のある場合には、可能な限り摘出を目指した拡大手術を行っている。術後の化学療法はタキソール、カルボプラチン併用療法を基本とし、最新の治療も取り入れている。挙児希望のある若年婦人に対しては、I期上皮性卵巣癌、I~III期胚細胞性腫瘍、0~Ia期子宮頸癌、Ia期子宮体癌において、妊孕性温存を考慮した治療を積極的に取り入れている。5年生存率は、子宮頸癌Ia期100%、Ib期90%、II期70%、III期45%。子宮体癌I期95%、II期85%、III期55%。卵巣癌I期85%、II期70%、III期45%。良性疾患に対しては積極的に腹腔鏡手術を取り入れ、患者のニーズに応えている

★内分泌不妊部門では生殖医療専門医5人、生殖補助医療胚培養士2人、看護師3人(うち2人は不妊相談士)が担当。2007年に生殖医学センターを開設した。一般不妊学級と体外受精学級を無料で毎月行っている。初診以後は担当医ができるだけ固定するよう配慮している。精液採取室があり、精液検査はコンピューターによる分析(CASA)を行う。抗精子抗体の検査も実施している。子宮卵管造影で異常を認めたり、クラミジア感染者に対しては、侵襲性が少ない経腟的腹腔鏡により卵管性不妊症の正確な診断を行っている。腹腔鏡下手術、レゼクトスコープ手術を施行している。人工授精、体外受精、顕微授精を実施しており、余剰胚は凍結保存できる。泌尿器科との協力体制も整い、無精子症患者の精巣精子による顕微授精も実施している。2008年の採卵件数は145件、凍結胚も含め203件の胚移植を実施した。また、多胎妊娠、卵巣過剰刺激症候群の発生予防には特に力を注いでいる。思春期外来、更年期外来、家族計画外来にも積極的に取り組んでいる

★2008年の新患者数は3,200人(1日平均13.2人)、再診は54,775人(1日平均226人)で年々増加している。また入院患者総数は産科2,891人、婦人科1,511人、不妊内分泌209人で計4,611人であり、同様に年々増加している。

医療設備

ICU、MRI、CT、PET、カラードプラ超音波診断装置、超音波メス、放射線治療設備(リニアック、ラルス)。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

とちぎ子ども医療センター(小児科)

分野

小児医療

特色

大学病院に併設された高度小児総合医療施設という新しい小児医療体制の中で、高度小児医療を行っている。小児科総合診療部における午前中の外来のほかに、小児科専門診療部では神経・循環器・消化器肝臓・血液腫瘍・腎臓・内分泌代謝・膠原病・喘息アレルギー・遺伝・新生児の全ての領域の高度小児医療に対応する外来診療と入院診療を実施し、NICUを除く小児科病床数は76床である。センターにおいては、小児専門の外科系診療各科、及び子どもの心の診療科と連携して診療を行っている。救急医療では二次から三次救急に対応している。

症例数

小児科総合診療部外来では毎日50~80人の患者が訪れる(紹介状があることが望ましい。)。小児科専門診療部外来には月に、神経1,000人、循環器400人、新生児200人、腎臓150人、血液100人、代謝内分泌100人、喘息アレルギー90人、消化器肝臓50人前後の患者が来院する。夜間、祭日の救急外来では年間5,000人の小児救急患者を診療している。病棟は総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門(NICU)36床、急性期病棟38床、慢性期病棟38床、計112床を有している。病棟には保育士7名が常勤しており、入院児童の保育を行っている。また、院内に特別支援学校の院内学級があり、長期入院学童の教育を行っている。主要診療内容

神経=先天代謝異常症・神経変性疾患、神経筋疾患、てんかんに対する薬物療法。先天代謝異常症・神経変性疾患に対する遺伝子診断や、ADHD、自閉性障害等の発達障害に対する薬物治療、各種療法のト-タルケア

循環器=先天性心疾患の術前術後管理と長期管理、川崎病、不整脈疾患、心筋症、高血圧など。薬物療法のほか、経カテーテル的形成術、経カテーテル的コイル塞栓術を行い、90%以上の成功率を有している

新生児=1,000グラム未満の超低出生体重児の救命率は80%以上。退院後の長期フォローアッフ

血液・悪性腫瘍=白血病・リンパ腫・神経芽細胞腫・ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)・血球貪食性リンパ組織球症(HLH)・再生不良性貧血などを中心に診療している

自己免疫疾患=若年性特発性関節炎や全身性エリテマトーデスなどを中心に診療している

内分泌=糖尿病、低身長、副腎疾患などの薬物治療とケア。糖尿病キャンプなどの実施に協力

喘息・アレルギー=喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの検査と長期治療

消化器・肝臓=胆道閉鎖の早期発見のためのマススクリーニング。肝疾患については、HBV・HCVにおける母子感染防止から治療までを行い、他のウイルス性肝炎にも劇症肝炎まで対応している。また、各種胆汁うっ滞症や代謝性疾患(NICCD,Wilson病など)を含め幅広く診ている。腸管疾患は、IBDを中心に血球除去療法(LCAP・GCAP)を積極的に取り入れてステロイド使用量を抑えたフローチャートを検討中である

腎臓=腎生検、急性・慢性腎炎の治療、IgA腎症の扁桃摘出とパルス療法、ネフローゼ症候群の薬物治療

遺伝外来=Down症候群、染色体異常症候群、先天奇形症候群、骨系統疾患の診断、療育相談などを行っている。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

眼科

分野

眼科

特色

当院では、専門外来(角膜、緑内障、ぶどう膜炎、網膜・硝子体、黄斑、眼循環、ロービジョン、斜視・弱視)を充実させ、最新の高度医療の導入に努力している。診断面では、通常の眼科診療に必要な機器の完備、さらに光学的干渉断層計、ICG眼底撮影、波面収差解析装置、前眼部解析装置等の最新診断機器を備えている。治療面では、中央手術室に眼科専用手術室を2室設け、それぞれに超音波水晶体乳化吸引術装置、硝子体手術装置を設置し対応している。また、2007年度からは多焦点眼内レンズの取り扱い、眼内の新生血管に対するアバスチン療法など常に最新の治療法を検討するなどさらなる向上に努めている。

症例数

年間の手術数は入院手術が約1,300件、外来手術(レーザー治療含)が約1,300件

★白内障単独の手術は年間約800件行い、原則として小切開超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行っている

★増殖性糖尿病網膜症、増殖性硝子体網膜症、黄斑円孔などに対する硝子体手術は、白内障摘出と眼内レンズ挿入の同時手術を含め年間約200件行っている。視力改善率は90%以上で、重症の網膜硝子体疾患患者さんの視機能回復に寄与している。網膜剥離手術は年間約100件行い、網膜復位率はほぼ100%を誇っている

★緑内障手術は濾過手術を主体に年間約30件行い、必要に応じて白内障との同時手術も行い、眼圧コントロール成功率は90%となっている

★角膜移植手術は全層移植、表層移植、深層移植を含め年間約20件行い、5年透明治癒率は約80%

★斜視に対する手術は小児に対するものと、成人に対するものとを合わせて年間約20件行っている。

医療設備

蛍光眼底造影、超音波断層、光学的干渉断層検査(OCT)、波動収差解析装置、前眼部解析装置、インドシアニングリーン蛍光眼底撮影など。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

頭蓋底手術や上縦隔郭清等の拡大手術を含む頭頸部外科、人工内耳手術などを行っており、腫瘍外来、嗅覚外来、めまい外来、中耳炎外来、内視鏡下の鼻副鼻腔手術、聴力改善をめざす中耳手術、アレルギー外来、補聴器外来、睡眠時無呼吸外来、言語外来等の専門外来を開設している。栃木県のみならず茨城、群馬、埼玉の近県からも多数の患者が来院し、地域医療の中核を担っている。オスラー病の鼻出血手術治療では国内一の症例数を誇る。

症例数

年間の手術件数:外来手術約700件、入院手術約750件

★喉頭癌は可及的に喉頭を温存し、かつ治癒率の向上を図るため、I期、II期の症例に対しレーザーによる腫瘍切除術、抗癌剤併用放射線療法や喉頭部分切除術を行っている

★上顎癌は眼球の温存と、顔面皮膚や口蓋の切除をせず抗癌剤の動注、放射線照射、手術を組み合わせた三者併用療法を行っており、自治医大方式と呼ばれる。5年生存率:II期100%、III期78%、IV期60%

★頭蓋底に広く進展した悪性腫瘍は、以前は手術の適応外とされていたが、近年医療レベルの向上に伴い開頭下に頭蓋底切除術を行っている

★甲状腺癌等の悪性腫瘍の上縦隔進展に対し、根治手術として上縦隔郭清を行っている

★両側聾の患者に対し人工内耳挿入術を行っている。それまで補聴器を用いても聴力を得られなかった聾の症例も、聴力を獲得できるようになっている

★アレルギー外来では、アレルギー性鼻炎で鼻閉の強い症例に対し、日帰り手術としてKTPレーザーによる下鼻甲介粘膜の焼灼術を行っており、高率に鼻閉の改善を得ている。

医療設備

MRI、CT、PET、炭酸ガスレーザー、KTPレーザーなど。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

血液科

分野

血液内科

特色

各領域の専門家が揃っており、血液疾患全般を対象としている。入院患者は悪性リンパ腫や急性白血病などの造血器腫瘍が多いが、外来ではほとんどの血液疾患をカバーしている。化学療法に加え、適応がある場合は骨髄移植や末梢血幹細胞移植などの造血幹細胞移植を積極的に実施し、集学的治療を行っている。血液科と輸血・細胞移植部は、骨髄移植推進財団が指定している非血縁者間骨髄移植認定施設であり、また、日本さい帯血バンクネットワークにおける移植医療機関としても認定されている。日本血液学会認定研修施設。

症例数

血液外来の患者数は毎月約1,000人。血液疾患の入院患者数は常時40〜46人。年間の疾患別入院患者数は、延べ人数で、悪性リンパ腫約160例、急性骨髄性白血病約140例、急性リンパ性白血病約30例、骨髄異形成症候群(MDS)約30例、多発性骨髄腫約20例、慢性骨髄増殖性疾患約5例、再生不良性貧血約10例という内訳となっている。なお、高齢者の占める割合がかなり高くなってきている

★各疾患担当グループ(急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、再生不良性貧血/MDS、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、特発性血小板減少性紫斑病/自己免疫性溶血性貧血、血液凝固線溶系/血小板機能異常、感染症)がそれぞれの治療プロトコールの検討と主治医チームへのアドバイスを行っている

★急性白血病の治療は、化学療法(JALSGのプロトコールに準拠して行うことが多い)、分化誘導療法、抗体医薬、造血幹細胞移植療法を単独あるいは組み合わせている。治療成績は、完全寛解率が70~80%、5年生存率が30%程度である

★悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)の治療は、化学療法、放射線療法を必要に応じて組み合わせ、悪性度が高い場合は自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法を試みている。悪性リンパ腫の5年生存率は50%程度である

★慢性骨髄性白血病に対しては、グリベックを始めとする分子標的治療を中心に行っている

★再生不良性貧血、MDSなどの慢性造血障害全般については、厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患克服研究事業「特発性造血障害に関する調査研究」班の方針に沿い、免疫抑制療法、造血因子療法、造血幹細胞移植等を行っている

★造血幹細胞移植は、同種骨髄移植(血縁者および非血縁者)、同種末梢血幹細胞移植、自家末梢血幹細胞移植など全体として年間約30例実施しており、良好な成績が得られている。最近、重症GVHDに対する治療として、間葉系幹細胞の投与を始めている。また、移植後の再発白血病に対しては、ドナーリンパ球輸注療法を積極的に試みている

★その他、新しい治療法を積極的に取り入れ、各種治験に参加している。

医療設備

造血幹細胞移植のための無菌病棟(8床)。強力な化学療法後や再生不良性貧血などによる造血抑制で高度の白血球減少がある場合には、簡易型無菌送風器を使用する。輸血・細胞移植部には、アフェレーシス装置、フローサイトメーター、プログラムフリーザー、細胞保存のための液体窒素タンク、血液放射線照射装置などが備わっている。さらに「臨床用細胞プロセシング室」が設置され、細胞治療のための細胞処理がここで行われる。造血幹細胞遺伝子治療の際の遺伝子操作もこの部屋で行われる予定である。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

神経内科

分野

神経内科

特色

各種神経疾患に対して最新・最良の治療をすることを基本方針とし、境界領域の疾患には脳外科、整形外科または他内科との積極的な協力により、より良い治療法を行うようにしている。インフォームド・コンセントの上、各種遺伝性神経疾患の遺伝子診断も行っている。

症例数

外来患者数:神経内科外来(月~金)は4診体制。外来患者総数は年間2万人を超え、1日平均では約90人である。神経内科病棟は51床。2007年度入院患者総数は761人であった。内訳は脳血管障害183人、感染・炎症性疾患29人、脳変性疾患109人、筋疾患42人、末梢神経障害59人、内科疾患に伴う神経疾患17人、脱髄性疾患39人、てんかん23人、その他57人であった

★救急度の高い急性期の脳血管障害には、病態を考慮したきめの細かい治療設計が重要である。とくに脳血栓症と脳塞栓症の鑑別は重要で、頸動脈エコー・経食道心エコー・MRI・MRA等の非侵襲的検索を始め、必要に応じて脳血管造影や脳血流シンチも行い、病態を総合的に診断し治療するように心掛けており、t-PA治療も20例を超えた。リハビリも早期から積極的に行い、拘縮等の二次的な機能障害の発生を予防するように努めている

★神経難病の脊髄小脳変性症では、臨床症状・画像評価に加えて遺伝子診断を行い、正確な診断を心掛けている

★筋萎縮性側索硬化症では磁気刺激・筋電図等の電気生理学的な検査を用いて、症状の類似する頸椎症性脊髄症との鑑別を正確に行うように努めており、治験にも積極的に参加している

★認知症性疾患では、治療可能な認知症とアルツハイマー病を代表とする脳変性疾患との鑑別が重要となる。神経心理学的な検査、MRI、脳血流シンチ等により総合的に診断を行っている。正常圧水頭症では脳MRIにて正確な病態診断を心掛け、脳外科との連携により脳室シャント手術適応例を選択している

★パーキンソン病は個々の患者さんの症状に対してきめ細かい薬の調節が必須である。長期間抗パーキンソン病薬を服用することにより不随意運動が出現したり、うつ状態・幻覚・妄想などの精神症状が認められることがある。これらの症状についても薬の変更・追加、服用回数の調節により改善が望める場合が多く、実際ADL・QOLの改善がみられた患者さんも多くみられる。多種の薬に不応性の場合は脳外科との連携により、深部脳電気刺激療法も試みられ、治療効果をあげている。また、パーキンソン病の遺伝子治療臨床研究も実施した

★その他、多発性硬化症等の脱髄性疾患、重症筋無力症・多発性筋炎・筋ジストロフィー症・ミトコンドリア脳筋症等の筋疾患、舞踏病・ジストニア等の機能性疾患、ギラン・バレー症候群・ベル麻痺等の末梢神経障害も積極的に受け入れ、診断・病態の研究・治療に努めている

★脳炎・脳症、破傷風、痙攣重積などの重症患者は、診断とともに全身管理が非常に重要である。このような場合、集中治療部の協力のもとICU室で呼吸・循環などの管理を行いつつ原疾患の治療に努めている。ICU管理により重篤な致死的状況から脱することが可能となり社会復帰した例も多くある

★入院特殊治療として重症筋無力症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎などの難治性免疫性神経疾患における血漿交換療法・免疫抑制療法・ガンマグロブリン療法などがあげられるが、それぞれ適応を慎重に検討して治療し、効果をあげている。外来診療では頻度の高い頭痛・てんかんの診療にも積極的に取り組んでいる。外来特殊治療として眼瞼および顔面痙攣に対してボツリヌス治療を行っている

★研究:遺伝性神経疾患の分子遺伝学・分子生物学的研究、パーキンソン病等の遺伝子治療の基礎研究、脳血管障害の予防ならびに治療、異常運動・錐体外路性疾患の病態解析と治療、筋萎縮性側索硬化症等の神経病理学的分子生物学的研究。

医療設備

MRI、MRA、ヘリカルCT、3D-CT、脳血流シンチ、磁気刺激装置、感覚誘発電位・神経伝導速度・針筋電図記録装置。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、頭蓋内感染症、三叉神経痛や顔面痙攣などの機能的脳疾患、パーキンソン病及び脊髄脊椎疾患、難治性てんかんなど、脳・脊髄脊椎の外科的治療を要する幅広い疾患を対象とし、最先端治療を行っている。脳卒中は脳神経外科・神経内科・血管内治療部及び関連各科からなる脳卒中センターで治療を行い、さらには近隣の医療機関とも協力して超急性期から在宅まで一貫した医療を提供している。2006年の子ども医療センター開設に伴い、小児脳神経外科が独立した。脳神経外科とは密接に連携し、小児脳腫瘍、先天奇形、脳血管障害など、精力的な診療を行っている。また、血管内治療部では脳血管障害はもとより、脳腫瘍の塞栓術などにも力を発揮している。その他の診療分野診療においても関連各科・コメディカル・スタッフとの密接な連携に基づくチーム医療を行っている。

症例数

病床数は成人47床、小児5~10床で、 年間の入院数は約800人、年間の手術件数は約500例で、年々増加している。2008年の手術内訳は脳腫瘍156、脳血管障害331、頭部外傷85、機能的脳神経外科52、などとなっている

★くも膜下出血に対しては血管内治療と開頭手術早期手術のいずれかを症例に応じて選択している。 必要に応じ深夜でも脳血管撮影を施行し24時間手術が可能な体制にあり、 重症例では術後にICUで各科専門医と共に全身管理を行い良好な結果を得ている。くも膜下出血後の後遺症の原因の最たるものは脳血管攣縮であるが、これに対しては独自の全身管理手法を行っている。従来の治療法に比べて重症化することが少なくなってきた

★脳腫瘍では放射線科と連携してMRI、脳血流シンチ、DSA、FDG-PETなどの各種画像診断を駆使し、さらには最新の画像処理技術を用いて術前診断を行っている。手術は脳神経外科専門医である熟達した術者により行われる。手術に際しては、ニューロナビゲーションシステムや5ALAを用いた術中蛍光診断などにより、より効果的でより侵襲の少ない腫瘍摘出を心がけており、成績はよい。悪性脳腫瘍に対しては手術摘出、放射線治療、テモゾロミドあるいは多剤併用の化学療法を適宜組み合わせて行っている。 最近の傾向として、外来で可能な治療スケジュールが一般的になりつつある。抗癌剤については薬剤耐性を検討の上、適宜他の抗癌剤あるいはインターフェロンを用いた免疫療法への切り替えを行うなどして、治療成績は向上している。転移性脳腫瘍や聴神経腫瘍などには従来の外照射に加えて、県内では最初に導入されたリニアックを用いた定位放射線治療(Xナイフ)を施行している。既に治療症例は300例を超え、治療成績も良好である。1回照射法以外に、重要組織近傍病変では分割照射法を選択する場合もある。患者さんは短期間の入院ですみ、生存率のみならずQOLの観点からも有効な治療手段と思われる。下垂体腫瘍では耳鼻咽喉科の協力のもと、内視鏡単独で行う新しい経鼻的下垂体手術を導入し、治療成績の向上と患者さんの苦痛の軽減・入院期間の短縮に貢献している

★てんかんの外科治療にも力を入れており、全国でも有数の手術症例数を誇っている。薬物治療に抵抗性のてんかん患者さんを対象とし、MRI・脳波モニタリング・核医学検査・脳機能マッピング(光トポグラフィ)などにより治療方針を決定し、てんかん焦点切除を行うことにより、良好な治療成績及びQOLが得られている

★パーキンソン病による振戦やジスキネジアなどの不随意運動に対しては、神経内科と協力して定位的脳深部刺激電極埋め込み術を行っており、多くの患者さんで症状が軽快し、薬物必要量が減少している。また、日本で初めて遺伝子治療を行った。これらの手術は症例数も増えており、薬剤でのコントロールが困難なパーキンソン病に対する画期的治療法であり、今後も期待されている

★小児脳神経外科・血管内治療部・脳卒中センターについては前述のとおりである。

医療設備

CT(3D-CT対応)6台 MRI 4台(MRA、cine MRI、functional MRI等に対応)、PET、SPECT、回転DSA装置、脳波記録装置、各種誘発電位測定装置(ABR、SEP、MEP)、リニアック定位放射線治療装置、手術用顕微鏡3台、超音波吸引装置、レーザーメス、ニューロナビゲーター、神経内視鏡、術中蛍光診断装置、各種定位脳手術装置など。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

精神科

分野

精神科

特色

特定機能病院の認可を受けている自治医科大学附属病院の中の臨床科の一つとして重要な役割を担うなかで、精神障害の心理・社会的側面と生物学的側面の双方に周到な注意を払って、総合的医療に実績をあげている。入院治療では、救急部からの患者の精神科的治療のための受け入れや、無けんれん性電撃療法のための短期入院、またインテンシブな個人精神療法、あるいは集団精神療法など、多面的な治療を展開している。また、臨床心理士を擁し、簡単な心理検査からロールシャッハ検査などの高度なものまで需要に応じている。

症例数

統合失調症、躁うつ病、パニック障害を含む精神症、器質性・症状性精神障害、心身症、てんかん、摂食障害、チック障害などを含む児童・思春期精神障害、老年期精神障害、在日外国人精神障害など、広範な疾患を対象に診療しており、特定の専門外来は設けていない

★開設以来、患者の病態に対する心身両面での人間学的な理解に根ざし、幅広く、きめの細かい精神療法的対応に努めているが、外来では、薬物療法や個人精神療法を主体とした治療、入院ではこれに加えて、芸術療法や無けいれん性電撃療法など、様々な治療法を導入している。患者との対話を重視する人間学的精神療法、また広義の精神分析療法も行われている。総合病院精神科の使命として、他科入院中の患者の精神医学的問題に対する対応や、身体疾患を合併する精神疾患治療、救急部に入院した患者の精神的ケアなど、リエゾン精神医学に多面的な形で取り組んでいる

★外来患者数は初診が1日平均5~6人。再診が1日平均150~160人

★外国人や日系二世、三世などの患者に対する多文化間精神療法に精力的に取り組んでいる。1997年より3年間、日系ブラジル人留学生医師の協力のもと、在日ブラジル人等の診療を行ってきたが、2000年からは、隔週でポルトガル語通訳を招いて診療を続けている

★病棟は全41床の開放病棟。8人部屋32床、個室9床である。個室は差額ベッドで、別途個室使用料を要する。数年後に病棟リニューアルの予定がある。新入院患者数2008年度)は延べ211人。平均在院日数(平均の入院期間)は50日前後、病床利用率85~95%。隔離室を有さないため、興奮の著しい患者の入院治療には不適であり、その場合は適切な他施設を紹介している。また精神保健福祉法の指定病院ではないため、措置入院は受けられない

★病棟では、芸術療法(音楽療法、絵画療法、コラージュ療法)、集団精神療法、作業療法、スポーツ・レクリエーションなどのスケジュールが、毎日、午前・午後に組まれており、病状に合わせ、適宜取り入れて治療している。音楽療法は音楽療法士有資格者の非常勤医が担当している。絵画療法は開設当時より施行しているが、最近、コラージュ療法も取り入れており、全国的にも精神科病棟でのコラージュ療法は先駆的である。集団精神療法も、集団精神療法学会員の経験ある医師が行っている。また必要に応じて、家族療法的な対応や産業精神医学的対応も行っている

★うつ病などに対し、麻酔科との協力のもと、無けいれん性電撃療法の実績が高い

★悪性症候群に対し通常の治療法無効例に、Lドーパ静注や無けいれん性電撃療法など先進的治療を試み、成果をあげている

★日本国内でも、いち早くセロトニン症候群の診療経験がある

★栃木県内の精神病院(県立岡本台病院を含む)や、精神科(上都賀総合病院精神神経科、佐野厚生総合病院精神神経科を含む)や、埼玉県・茨城県の一部の精神科(埼玉県精神保健センター、茨城県立友部病院を含む)など多数の関連病院をもち、身体合併症患者の受け入れ、また患者の紹介など密接な連携を図っている。

医療設備

MRI、CT、SPECT、脳波、各種心理検査。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

乳腺・総合外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

大学附属病院としては珍しく、他の外科から独立した専用外来で乳腺疾患を中心に診療を行っている。他に甲状腺、副甲状腺疾患の診療も行う。手術療法、薬物療法、放射線療法を組み合わせたEBMに基づく治療を行っている。

症例数

年間の各手術件数は乳癌症例260例、内分泌症例(甲状腺・副甲状腺等)40例である

乳癌手術=乳房温存術と乳房切除術(胸筋温存)の割合は約2:1である。乳房切除例の希望者には形成外科にて、一期的、二期的乳房再建を行っている。また、術前診断N0に対してはアイソトープと色素を併用したセンチネルリンパ節生検を行っており、2008年には全乳癌手術の約7割に施行された。術前・術後の薬物療法や進行再発症例の治療法は、他科とのカンファレンスを行いEBMに基づいて決定される。さらに、新規、将来の治療法の開発のために、数々の臨床試験を行っている

甲状腺=甲状腺癌の多くは予後が良いため、患者のQOLを損なわないような手術を心がけている

副甲状腺=原発性副甲状腺機能亢進症は、超音波診断部・核医学との協力の下、確実な局在診断を行って手術を行っている。続発性副甲状腺機能亢進症は、腎臓外科が行っている

副腎疾患=癌を除いては、佐田教授以下、鏡視下手術チームによる内視鏡下手術を基本としており、良好な手術成績をあげている。

医療設備

マンモグラフィ、体表専用超音波診断装置、マンモトーム(ステレオガイド下、超音波ガイド下)、ガンマープローブ、MDCT、乳腺MRI、PET-CT、治療用放射線。

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

麻酔科

分野

ペインクリニック

特色

痛みについての診断から治療までを一貫して行い、各種神経ブロック療法を中心に、薬物療法、近赤外線照射、低周波刺激療法などを行っている。また、入院患者の鎮痛(癌性疼痛、術後疼痛など)および硬膜外腔内視鏡による難治性腰痛の治療にも取り組んでいる。東洋医学も積極的に取り入れ、漢方薬の処方、鍼治療を行っている。日本ペインクリニック学会指定研修施設。

症例数

2007年度の外来延べ患者数は6,415人であった。外来患者は1日平均26人。疾患別では、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛、顔面神経麻痺、椎間板ヘルニアなどの腰下肢痛、頸肩腕症候群、癌性疼痛が上位を占める。三叉神経痛、頭痛、非定型顔面痛、末梢循環不全による疼痛(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、膠原病など)、外傷後の疼痛(反射性交感神経萎縮症、カウザルギー)、突発性難聴、多汗症、自律神経失調症、アレルギー性鼻炎(花粉症)、網膜中心動脈閉塞症、下肢リンパ管浮腫などが治療の対象となっている

★帯状疱疹は早期より硬膜外ブロック療法を施行し、経口薬物療法、点滴療法、近赤外線照射などを行い、神経痛への移行を防いでいる。帯状疱疹後神経痛は難治性であるので、帯状疱疹が出現している早期の時期での受診が大切である

★顔面神経麻痺は星状神経節ブロック、低周波治療器による理学療法を行い、満足のいく機能回復が得られている

★腰痛・下肢痛は、硬膜外ブロック療法、薬物療法などの保存的療法から始める。保存的療法に抵抗性を示す難治性腰痛に対しては、硬膜外腔内視鏡による治療を行っている。適応症は、保存的治療に反応しない難治性腰痛および坐骨神経痛、神経根障害を伴う慢性腰痛、脊椎手術後に残存する腰下肢痛である。硬膜外内視鏡を用い、直視下に病的部位に対して生理食塩水の潅流、洗浄、癒着剥離等を行う。治療成績は良好であり、疼痛の軽減や内服鎮痛薬の減量を期待できる。現在、日本国内で実施可能な施設は数施設しかなく、県内外からの紹介患者を治療している

★慢性難治性疼痛(末梢神経障害による疼痛、反射性交感神経萎縮症、カウザルギーなど)には交感神経ブロック、硬膜外ブロック、低周波刺激療法、近赤外線照射などを行っている。保険適用となった硬膜外刺激電極植え込み術も施行し、満足できる除痛が得られている

★癌性疼痛には、神経破壊薬を用いたブロック療法、塩酸モルヒネの持続硬膜外投与などにより除痛を行っている。腹腔神経叢ブロックや上下腹神経ブロックは透視下に手術室で行い、良好な除痛が得られている。また、手術後の鎮痛としてPatient-controlled Analgesia(PCA:患者管理無痛法)を施行しており、手術患者が痛みのない周術期を過ごせるように努力している

★慢性疼痛、自律神経失調症や更年期障害による頭痛、肩凝りなどには、心身医学的アプローチ、東洋医学的アプローチ(漢方薬の処方)を併用し、治療にあたっている

★多汗症に対しては交感神経節ブロックと、胸腔鏡下胸部交感神経節焼灼術も行っている

★卵巣癌や子宮癌根治術に伴うリンパ節郭清による有痛性の下肢リンパ管浮腫には腰部硬膜外ブロックを施行し、疼痛の軽減および下肢の太さの減少などの好成績を収めている

★局所麻酔薬によるアレルギーが疑われる患者に対して、皮内反応およびドラッグチャレンジテストを行っている。歯科医師からの依頼が多く、アレルギーが陰性であれば普通に局所麻酔薬を用いた歯科治療が可能となり、好評である

★鍼灸外来、慢性疼痛疾患を中心に鍼灸治療を行っている。

医療設備

" X線透視装置、サーモグラフィ、低周波刺激療法器、低出力レーザー、近赤外線治療器、針刺通電治療器、胸腔鏡手術機器、硬膜外内視鏡手術機器など。"

「医者がすすめる専門病院 山梨・栃木・群馬」(ライフ企画 2009年6月)

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