専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

産業医科大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

第3内科(消化管・肝胆膵内科)

分野

消化器・一般内科

特色

数名の専門修練医、研修医で肝臓、胆嚢、膵臓、消化管疾患に関して、肝・胆グループ、膵・糖尿病グループ、消化管グループで協力しながら診療を行っている。入院においては、2008年度に改訂した治療内視鏡や糖尿病・癌治療等のクリニカルパスを用い、その他の疾患においても当科で作成している診療マニュアルを更新し、過不足のない均質な医療が提供できるよう努めている。また侵襲的な検査あるいは治療を行う際には、一般的データのみならず当科での実績や成績を提示して十分にご理解頂き診療を受けていただけるように努めている。また日本内科学会、日本消化器病学会、日本肝臓学会、日本消化器内視鏡学会、日本糖尿病学会の指導施設でもある。

症例数

病床数は42床。外来患者数は年間延べ22,324人、入院患者は年間延べ15,484人で平均入院日数は17日。上部内視鏡検査は年約2,000件、下部内視鏡検査は約1,000件、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)約200件であり、増加傾向にある

★肝・胆グループでは、C型慢性肝炎に対して積極的にペグインターフェロン+リバビリン併用療法を副作用に十分な配慮や調節をして、良好な成績を得ているが、難治例といわれるgenotype 1bで高ウイルス量の症例に対しては新たな併用薬を用いた治療を行っている。B型慢性肝炎に関しては患者様の状態を吟味してインターフェロンや核酸アナログを選択して治療を行っている。肝癌症例に対しては、ラジオ波焼灼術を中心とする経皮的局所療法、肝動脈塞栓術ならびに動注療法、ならびに動脈塞栓術とラジオ波焼灼術の併用、また高度進行肝癌に対しては外来での抗癌剤持続動注療法を施行する等、患者さんの状態に応じて種々の治療方法を駆使して成績を向上させるとともにQOLを損なわないように治療を行っている。また非アルコール性脂肪肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変の患者様も多く診療している。また、当科はウイルソン病の診療の専門施設でもある

★胆道疾患に関しては、内視鏡的逆行性胆管ドレナージ(ERBD)、経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)や経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)による急性胆管炎・急性胆嚢炎に対する緊急ドレナージ術を行っている。この症例数は九州では屈指のもの。この領域の手技は専門的なものであるが、当科では専修医でも施行可能なように指導医のもと教育を行っている。さらに、総胆管結石に対する内視鏡的乳頭切開術(EST)を用いた砕石・採石術や、悪性胆道狭窄に対するプラスチックまたは金属ステント留置術も多数例行っている

★膵・糖尿病グループでは、重症急性膵炎に対する動注療法、持続的血液濾過透析などの特殊療法等を行い良好な治療成績を収めている。また自己免疫性膵炎の診断、治療にも積極的に取り組んでいる。更には膵炎後の科学的根拠に基づいた食事摂取開始時期や食事内容の検討、超音波内視鏡を用いた慢性膵炎の早期診断などの検査、治療を幅広く行っており、北九州のみならず県外からの紹介もある。膵癌に関しては、化学療法や化学療法と放射線療法の併用等により良好な治療成績を得ている

★消化管グループは、特に食道癌、胃癌、大腸ポリープ、大腸癌等に対する内視鏡治療と炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)の診断・治療に豊富な経験を有している。超音波内視鏡などにより内視鏡治療の適応があるか否かを厳密に評価した上で積極的に内視鏡治療(EMR、ESD)を行っている。炎症性腸疾患については、欧米で行われている最新の標準治療を基にして、日本独自の栄養療法や白血球除去療法等を適切に取り入れて最適の治療を行っている。レミケードは、既存治療で十分な治療効果が得られないクローン病に対して高い改善効果が期待できる薬剤である。当科は、北九州圏で最も豊富なクローン病に対するレミケードの使用経験を有しています。抗炎症薬、ステロイド、免疫調整剤、レミケード等の薬物療法と栄養療法を患者さんの生活状況や仕事内容を考慮し、最も負担が少なく効果的であろうと思われる治療方法を患者さんとともに考えていくという原則のもと診療を行っている。

医療設備

各種電子内視鏡、US、CT、MRI、超音波内視鏡(EUS)、血管造影装置(DSA)など。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

第2外科・呼吸器外科グループ

分野

呼吸器外科

特色

肺癌をはじめ転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍などの腫瘍性疾患を主体に、診断から治療までを呼吸器科と放射線科と密な連携をとり、一貫して行うとともに、より高度な診断技術と集学的治療の開発に努力している。また、悪性腫瘍に対する免疫治療の臨床応用を院内倫理委員会の承認を得て開始している。

症例数

年間の手術例数は約200例で、その内訳は、肺癌70~90例、転移性肺腫瘍20~30例、縦隔腫瘍20~25例、気胸20~25例、胸壁腫瘍、気管腫瘍、感染性疾患、先天性疾患などで、腫瘍性疾患が主体である。また、内視鏡手術を第I期肺癌、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍などに取り入れ、重症筋無力症の拡大胸腺摘出術などにも適用している

肺癌=診断と治療を一貫して行っている。また、再発例や手術不能進行肺癌に対する化学療法や放射線治療も行っている。各種画像診断、核医学検査、気管支鏡をはじめ、症例によりCTガイド下肺生検、超音波下肺生検などにより確定診断を得るようにしている。手術の基本は肺葉切除と縦隔リンパ節郭清であるが、肺機能の評価を厳密に行い、特に高齢者や閉塞性肺疾患などによる肺機能低下患者に対しては、区域切除や部分切除などの縮小手術によって肺機能の温存やQOLの維持に努めている。近年増加している肺門型早期肺癌に対して、抗癌剤の気管支動脈内動注療法にて良好な成績を収めている。一方、中枢側進行癌に対する気管形成術や気管支形成術も積極的に行い、完全切除を目指すとともに肺機能の温存に努めており、気道狭窄による呼吸困難例には、レーザー治療や気道内ステント留置にて症状の緩和に努めている。手術後は、プロトコールにそって定期検査を行い、再発の早期発見に努めている。小細胞癌のI期は手術を行い術後に化学療法を行い、II期およびIII期は化学療法を行ったのちに、治療効果に応じて手術も行っている。非小細胞肺癌の手術成績(5年生存率:94~02年):IA期88%、IB期73%、IIA期67%、IIB期51%、IIIA期46%

転移性肺腫瘍=大腸癌、腎癌、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、骨肉腫などから肺に転移をおこしたものが手術の対象となりやすい。肺の転移個数は複数でも両側性であっても、切除可能と判断されれば積極的に切除を行っている。手術は肺機能温存のために、部分切除や区域切除が主体であり、胸腔鏡下手術を多く取り入れている。手術成績(5年生存率)は、原発巣が大腸癌の場合68%、腎癌51%、乳癌48%、骨軟部肉腫53%である

縦隔腫瘍=胸腺腫瘍(胸腺腫、胸腺癌)、胚細胞腫瘍、神経性腫瘍、先天性嚢腫などが手術適応となる主な疾患である。胸腺腫が最も多い疾患で、通常一期的手術を行っているが、周囲臓器への浸潤が強い症例では、化学療法や放射線治療を組み合わせた集学的治療も行っている

重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出術=従来、胸骨正中切開にて行っていたが、近年は胸腔鏡を用いた手術も取り入れ、手術侵襲の軽減を図っている

気胸=若年者にみられる自然気胸は、胸腔鏡による嚢胞切除術を第一選択として積極的に行い、入院期間の短縮と早期の社会復帰に努めている。高齢者に見られる肺気腫からの気胸に対しても、胸腔鏡下手術や胸腔ドレーンから胸膜癒着術などにより、できるだけQOLを維持できるように努めている

先端医療=肺癌をはじめとする種々の悪性腫瘍の診断と治療成績の向上のため、インフォームド・コンセントを十分に行った上で、微小転移検出や遺伝子解析および腫瘍免疫の基礎的臨床的研究を行っており、免疫治療に関しては、院内倫理委員会の承認を得て、臨床応用に着手している

★化学療法については、副作用を軽減した方法も考案し、外来での化学療法も積極的に行い、入院期間の短縮や生活の質(QOL)の向上を図っている。

医療設備

CT、MRI、DSA、核医学検査(骨シンチ、肺換気血流シンチ、Gaシンチなど)、超音波検査、気管支鏡検査、胸腔鏡、ヤグレーザー、放射線治療(リニアック)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

循環器内科・腎臓内科

分野

循環器科

特色

循環器内科・腎臓内科は、循環器疾患と腎疾患を専門に診る内科です。病棟では循環器疾患患者と腎疾患患者の診断と治療を行い、また同じ病棟に心臓外科の病棟を併設しており、心臓手術をうける患者様は、内科から外科へ、また外科から内科への転科は簡単に行える利点があります。腎疾患の治療は、腎センターが病院に併設されており、循環器・腎臓内科と共同で行っています。新規透析導入や他科入院中のバックアップ透析を含めて実績を伸ばし、さらには、循環器疾患の水分の調節にも積極的に関与し、心不全の治療にも良い成績をあげています。

症例数

心不全・心エコーグループ=心エコー検査(血管エコーを含む)を中心とした心血管疾患の診断と治療を行っています。特に弁膜症や冠動脈疾患や心筋症による心筋疾患を中心に診療を行い、慢性心不全や急性心不全の内科的な治療、外科的な治療の適応診断を行い、外科適応症例については心血管外科への円滑な橋渡しを行っています。心・血管エコー症例(2006年)は、経胸壁心エコー7,221例、経食道心エコー122例、頸動脈エコー1,242例、下肢動脈・静脈エコー688例、冠動脈エコー82例と多くの症例を実施してきております。最近、腎動脈エコー診断も行うようになりました。また、心不全治療は、これまでの急性期に対応した薬物治療、補助循環併用に加えて、運動療法を主体とした心臓リハビリテーションを準備中です

冠動脈疾患・動脈硬化グループ=冠動脈疾患治療グループは血行動態の評価が必要な循環器疾患(冠動脈疾患、弁膜症、肺高血圧症、心不全等)の心臓カテーテル検査を担当すると共に、冠動脈疾患である狭心症や急性心筋梗塞に対する冠動脈インターベンション治療を行っています。冠動脈インターベンション治療のほとんどがステントの植え込みによる血行再建になっていますが、その成功率は98%前後で推移しています。問題であった再狭窄も薬剤溶出性ステントの導入により10%未満に低下しています。急性心筋梗塞は救急部とも協力して24時間症例を受け入れる態勢を整えています。また、冠動脈疾患の危険因子である高脂血症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症)、高血圧症、最近注目されていますメタボリック症候群などの治療にあたっています。生活習慣病の治療は、食事や運動、日常生活活動性などの習慣の是正と薬物療法の組み合わせで治療を行います。また、家族性高コレステロール血症や難治性高コレステロール血症、高中性脂肪血症については、酵素欠損の診断やLDLアフェレシスなどの治療を積極的に取り入れています

肺高血圧グループ=エコノミークラス症候群などの肺血栓塞栓症と原発性肺高血圧症、膠原病による肺高血圧症、先天性心疾患などの肺動脈性肺高血圧症を対象にしています。いずれも心・血管エコーや肺血流シンチ、心臓カテーテル法などによる診断とボセンタンなどの先進的な薬物療法を行って実績を上げてきています

不整脈グループ=心電図異常の診断から種々の不整脈疾患(心房細動や上室性不整脈、洞不全症候群や房室ブロック等の徐脈性不整脈、心室頻拍・心室細動等の頻脈性不整脈)の診断と治療、更には失神発作や心臓突然死のリスク評価や心不全患者に対する非薬物治療まで含めた広範な分野を取り扱っています。得意とする分野は、徐脈性不整脈に対するペーシング治療、上室性頻脈性不整脈に対するカテーテル心筋焼灼術、致死性不整脈に対する植込み型除細動器(ICD)治療、難治性心不全患者に対する心室再同期治療(CRT-D)です。また、失神の原因精査・診断・治療では、国内では最も進んだ施設の一つです

腎臓グループ=内科的腎疾患の診断、治療を専門的に行っています。腎炎、ネフローゼ症候群に対し、腎生検などの精査により的確な診断を行い、医学的根拠に基づいた治療を心がけています。腎炎のみならず糖尿病・膠原病・高血圧などの全身性疾患から続発した腎不全に対し、進展予防を目的に保存的治療を行っています。残念ながら末期腎不全に至った患者様に対しては腎センタースタッフと協力し、血液透析療法や腹膜透析療法の開始を行い、より良い社会復帰を目標にしています。

医療設備

ICU・CCU、心臓カテーテル装置、心臓超音波エコードプラ装置、電気生理学検査用80チャンネルポリコーダ、エルゴメーター、トレッドミル、ホルター心電図、CT、IABP、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)など。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

大学附属病院および北九州近隣の拠点病院として、尿路悪性腫瘍・尿路性器悪性腫瘍・尿路結石症・尿路性器感染症・下部尿路障害・女性泌尿器科疾患・泌尿器科救急疾患と幅広い領域の診断・治療を行っている。2002年に当教室で作成した泌尿器科領域各疾患の標準的治療指針であるレジデントマニュアルに改訂を重ね、これを基準に治療方針を決定することで、患者にエビデンスに基づいた医療の提供を行い、レジデント・学生教育にも活用している。外来診療を月曜日から金曜日まで毎日行い、学内・近隣病院からのコンサルトに対応できるような診療体制を取っている。入院診療ではクリニカルパスを利用しながら、在院日数の短縮に努め、年間平均が11日前後である。

症例数

2008年度の年間外来新患患者数は1,013人であり、1日の平均外来受診者数は60.6人であった。入院患者は延べ734人で主な疾患は尿路性器悪性腫瘍であった。年間の手術件数は449件(体外衝撃波治療ESWLや外来手術をのぞく)であった

副腎腫瘍=ホルモン産生による高血圧などの原因となることが多く、Cushing症候群や原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などに対し主に鏡視下手術を行っている

悪性腫瘍=悪性腫瘍に対しては開腹手術・体腔鏡手術・内視鏡手術などの手術療法を中心に、放射線療法、化学療法などを組み合わせた集学的治療を行っている

腎細胞癌=腫瘍径が4.0cm以下であれば腎部分切除術を第一選択としている。腫瘍径4.0-7.0cmの腫瘍し対しては鏡視下手術、それ以上の腫瘍に対しては開腹による根治的腎摘徐術を行っている。ソラフェニブやスニチニブといった分子標的薬やインターフェロンαやインターロイキン2による免疫療法も行っている

腎盂尿管癌=非浸潤癌では鏡視下手術、浸潤癌では開腹手術および全身化学療法を行っている

膀胱癌=85%が表在性であり経尿道的膀胱腫瘍切除および術後膀胱内抗癌剤注入療法を行っている。浸潤癌では膀胱全摘術および尿路変更術を標準としている。転移巣を伴う場合には全身化学療法を行っている

前立腺癌=診断として腫瘍マーカーPSA高値の症例に対して前立腺生検を行い確定診断を行っている。前立腺癌と診断された場合、各種画像診断にて臨床病期を決定し、限局癌で75歳以下であれば根治的前立腺全摘術を標準治療としている。また2009年10月中には永久挿入密封小線源による治療を導入する予定である。手術方法以外としては原体照射法による放射線療法を施行している。前立腺被膜浸潤以上の前立腺癌では内分泌療法や放射新療法、内分泌抵抗性前立腺癌の場合、化学療法を行っている

下部尿路障害=前立腺肥大症、過活動膀胱に対しては症状スコアによる自覚症状と、尿流測定・残尿測定などによる他覚所見を確認し、薬物治療を第一選択で行っている。薬物治療による臨床効果がない前立腺肥大症に対しては経尿道的前立腺切除術を行っている。神経障害に基づく下部尿路障害の患者に対しては、尿流動態検査を行い詳細な下部尿路機能の評価を行い、原疾患・ADL・家庭環境・本人の希望に基づいた排尿管理方法を提示している

女性泌尿器科=骨盤臓器脱・腹圧性尿失禁など女性特有の泌尿器科疾患に対しても婦人科と協力し、根治手術を行っている

尿路性器感染症=急性膀胱炎から、腎盂腎炎や精巣上体炎などの入院加療を要する中等から重症尿路感染症症例の診断・治療を行っている。外科的処置を要する重症尿路感染症については、近隣諸施設より多数紹介いただいている。性感染症については近隣の泌尿器科・婦人科・皮膚科クリニックと1997年より共同研究を行っている

小児泌尿器科=小児包茎治療では少量ステロイド軟膏塗布による治療を第一選択としている。停留精巣・非触知精巣では腹腔鏡による精巣の検査および固定術を施行している

尿路結石症=体外衝撃波による外来での日帰り手術を行っており、年間約130件行っている。体外衝撃波による破砕不良例、結石の位置や大きさによっては入院による鏡視下手術を選択している

先進医療=頻尿・蓄尿時の膀胱部痛を主症状とする間質性膀胱炎に対して、水圧拡張手術を行っている。

医療設備

体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)、軟性膀胱鏡、尿流動態検査装置、3D-CT, MRI、原体照射放射線治療装置、永久挿入密封小線源(2009年中に導入予定)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

リハビリテーション科

分野

リハビリテーション科

特色

リハビリテーション専門医が疾病や障害の診断をして治療、訓練、指導、助言、調整などを行う。対象疾患は脳卒中や脊髄損傷、切断、ポリオ後症候群やスモンなどの神経筋疾患、外傷性脳損傷による高次脳機能障害(記憶障害や遂行機能障害)、嚥下障害など様々で、高次脳機能障害の専門的評価に基づく包括的診療(高次脳機能障害支援コーディネーター勤務)、重度脳卒中患者を対象とした上肢および下肢のロボットを用いた訓練、ポリオ後症候群の診断・治療、カーボンを用いた軽量な装具をはじめとする義肢装具の専門的処方など、より専門的で進歩的な治療に取り組んでいる。特に治療用ロボットによる重度障害を対象とした上肢および下肢の訓練は当科における大きな特色である。高次脳機能障害を持った方向けに集団訓練として数カ月単位で行われる『社会復帰準備のためのリハビリテーション学級』を通じて、社会技能訓練を行っている。長期にわたる入院治療が必要な症例に対しては、まず専門的な障害の評価や訓練の導入を行い、その後近隣の教育関連病院と連携して治療を継続して行っている。外来通院が必要な患者さんにも近隣の病院やクリニックと連携をとって治療にあたる。また血友病による関節障害の診療も当科の特色のひとつである。

症例数

08年のリハビリ科入院患者総数は約70人、外来受診および通院患者延べ人数は約39,000人であり、主な疾患は、脳卒中、頭部外傷(高次脳機能障害)、切断および脊髄損傷、等である。リハビリ科入院患者さんに対しては、リハビリ医の診察、教授・病棟医長・指導医の回診、スタッフが揃った会議のもとで、疾病と障害の診断、訓練を含む治療計画を立案し、それに基づいて午前・午後にわたって充分な量の理学療法・作業療法・言語聴覚療法などの訓練を行い、機能回復や日常生活動作・応用的活動の改善を試み、自宅復帰、社会復帰、可能であれば職業復帰を目指す。

医療設備

MRI、CT、NIRS脳機能検査、NIRS酸素モニター、上肢および下肢訓練ロボット、各種神経生理学的検査(筋電図、脳波、誘発電位)、嚥下機能評価(嚥下造影や喉頭食道ファイバースコープ)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

形成外科

分野

形成外科

特色

2005年に皮膚科より独立し病院診療科となった。それまでの皮膚科診療班時代から症例が多かった皮膚悪性腫瘍切除の再建や色素レーザーによる血管腫治療に加え、鼻骨、頬骨骨折を含む顔面外傷や多指(趾)症等の外表性先天異常治療、加齢に伴う腱膜性眼瞼下垂等の分野が増加している。さらに最近増加している糖尿病や血管閉塞性疾患に伴う難治性下肢潰瘍に対しては皮膚潅流圧計を導入し、適切な血流評価のもとに治療を行っている。本治療は院内外の循環器科、血管外科とのタイアップを行いできるだけ下肢を救済するいわゆる救肢を目指した治療を行っている。2008年より炭酸ガスレーザーを導入し、特に顔面のホクロ(色素性母斑)等の小さい良性腫瘍に対して従来のメスによる切除による治療に比べてより少ない瘢痕を目指して治療を行っている。当院の炭酸ガスレーザーはコンピュータースキャナー装置を有しており、通常の炭酸ガスレーザー手術よりさらに瘢痕形成が少ない治療を可能としている。またレーザー治療に関する相談も受けており、当院に設置していないレーザー治療が必要な場合は関連施設での治療や設置のある施設を紹介している。さらに顕微鏡による血管吻合や筋皮弁等の手技を用いて、院内の耳鼻科、消化器外科、口腔外科等による咽頭癌や食道癌手術における頚部再建や食道再建治療等他科支援手術も行っている。

症例数

2008年の手術実績は入院161件、外来157件の計318件であった。内訳は皮膚良性腫瘍150件、悪性腫瘍43件、瘢痕、潰瘍治療33件、顔面外傷(骨折を含む)22件、先天異常13件の順でありここ数年は大きな変動なく推移している。この手術件数に加え前述の他科支援手術を年間15例行った。色素レーザー治療は週に延べ20例以上行っている。外来における炭酸ガスレーザー治療も月5-10例行っている。

医療設備

病院:MRI、CT、DSA、リニアック。形成外科:色素レーザー、スキャナー付き炭酸ガスレーザー、皮膚潅流圧計。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

小児科

分野

小児医療

特色

病棟は小児病棟として小児科(27床)と小児外科系(7床)が一体となり運営している。そのほかにNICU(9床)、GCU(6床)が設置されており在胎21週、398gで出生した超低出生体重児を育てた実績を持つ。特定機能病院の中で、小児の高度先進医療体制を整備しているほか、本院に付置されている北部九州血友病センターの中核として就学、就職の援助を含めた血友病患者のトータルケアを実践している。

症例数

2008年度の外来新患患者数は1,398人で、1日平均通院患者数は59.4人であった。年間入院患者数は561人で、1日平均入院患者数は30.4人であった。またこれ以外に、小児病棟であるため他科との併診の入院患者も多い。対象はすべての小児疾患に及ぶが、血液・腫瘍、内分泌・代謝、肝・消化器、腎・泌尿器、神経領域の慢性難治性疾患が多い。また超低出生体重児や重篤な疾患に罹患した新生児の入院が多く、退院後のフォローアップ外来に多くの時間を費やしている

感染症・予防接種・免疫=感染症は、一般的な小児感染症から、重症感染症、難治性感染症、基礎疾患をベースに発症した感染症、母子感染、新生児感染症まで幅広く診療している。予防接種外来(電話での予約制、093-691-7316)は、基礎疾患を有する子どもや海外渡航前の子どもへの予防接種に対応しており、福岡県の予防接種センターとしても機能している。免疫疾患は、周期性発熱等の自己炎症疾患、易感染性、自己免疫疾患を中心に診療を行っている

神経・筋=北九州内外の先生方から2008年253人の患者さんをご紹介いただいている(2008年度はてんかん102人、発達障害51人、頭痛27人、末梢神経・筋疾患14人、神経免疫疾患2人、その他26人)。紹介患者は大幅に増える傾向にあり、最近は発達障害児の紹介数が多く、当院神経精神科や北九州就学支援組織との合同カンファレンスを行っている。発達二次検診は北九州、行京、遠賀中間地区で行っており、早期からの発達障害児への関わりを実践している。外来では毎月約200人の患児をフォローアップしており、神経患者新患外来を水、金の2日に増やしている。入院患者(てんかん患者の評価および薬物・外科治療、重度障害児の健康評価、急性神経疾患の治療) は常に5-7人を診療している。神経内科との脳波判読会、神経放射線カンファレンス等、他科との交流も盛んに行っている

内分泌・糖尿病・肥満=●内分泌疾患:下垂体疾患(汎下垂体機能低下症、成長ホルモン分泌不全症、尿崩症など)、甲状腺疾患(クレチン症、バセドウ病など)、性腺系疾患、副腎疾患、骨、Ca代謝異常症、性分化異常症などの小児内分泌疾患の全分野で、北九州地区では唯一複数の専門医が在籍する施設として最新の専門医療を提供している。また、新生児マススクリーニング対象疾患の治療管理を行っている。●代謝性疾患 :肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、高脂血症などの代謝性疾患の診療を行っている。特に肥満児童に対する生活習慣指導、メタボリックシンドローム対策、高脂血症治療などは全国の小児科医だけでなく生活習慣病の各専門分野でも知られている

血液・腫瘍=血液疾患全般および悪性固形腫瘍を主な対象疾患としており、とくに出血性疾患、血栓性素因、造血器腫瘍の診療に精力的に取り組んでいる。毎週木曜日の午後に血液・腫瘍外来を設けている。●悪性腫瘍:白血病、悪性リンパ腫、神経芽細胞腫などの診断および治療を行っている。小児病棟には無菌室を2床設置し、血縁者間の同種骨髄移植、同種末梢血幹細胞移植、臍帯血移植が可能である。●出血性疾患・血栓性素因:血友病に代表される出血性疾患のトータルケアに重点を置いている。具体的には、1984年に院内に北部九州血友病センターを開設し、月1回開催される血友病総合外来を基盤として、多科連携による診療を行っている。現在、当センターには、成人を含め300人以上の先天性出血性疾患の患者さんが登録されている

新生児=当院産科や近隣の医療機関と緊密に連携しながら、未熟児・新生児の治療を行っている。極低出生体重児(出生体重1,500g未満)や超低出生体重児(出生体重1,000g未満)の入院も多く、その治療成績は最先端のレベルにある。NO療法や透析療法、重症仮死児に対する低体温療法なども取り入れて、幅広い治療を実践しているのが特徴である。NICUを退院した後は、専門外来でフォローアップを行い、発育・発達などの医学的な評価と、よりよい発達のためのサポートを行っている。また、その他にも、乳児健診を中心とした養育相談なども行っており、新生児・乳児を幅広く診療している

肝・消化器グループ=肝臓領域ではB型肝炎(母子・父子感染予防、慢性肝炎の診療)、C型肝炎(母子感染の相談、慢性肝炎の診療)、その他のウイルス性肝疾患、代謝性肝疾患(ウイルソン病、シトリン欠損症)、先天性肝胆道系疾患等の診療を行っている。消化管領域では慢性反復性の下痢・便秘・腹痛、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)等の診療を行っている

腎臓・泌尿器疾患=ネフローゼ症候群、IgA腎症などの慢性糸球体疾患や慢性腎不全、先天性尿路奇形、夜尿症などの診療を行っている

アレルギー=気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどの治療を行っている。また肺機能や運動負荷試験などの呼吸機能検査や食物負荷試験などを積極的に行っている

循環器=学校検診と胎児・先天性心疾患のスクリーニング、内科的不整脈の診断、治療を行っている。

医療設備

小児一般病棟総数34床(小児科27床、小児外科系7床)、NICU(9床)、GCU(6床)。小児一般病棟に無菌室(2床)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

眼科

分野

眼科

特色

当大学の目的は産業医の養成と産業医学の発展にあるが、北九州地区の基幹および教育病院としての立場から眼科疾患すべてを対象とした幅広い診療を行っている。分かりやすい説明と医学の進歩に対応した診療技術が提供できるように心掛けている。産業医学の眼科部門として、当科の眼の外傷、救急医療は強力である。その他、緑内障、網膜硝子体疾患、白内障、斜視・弱視や未熟児網膜症などの小児眼疾患、角膜疾患、ぶどう膜疾患、視神経疾患など眼疾患一般の診療を幅広く行っている。中でも緑内障、網膜硝子体疾患には力を注いでいる。

症例数

2008年の外来患者数は1日平均91.6人(紹介率82.3%)で年間手術件数は684件である。まず、緑内障の分野では、年間手術件数は115件であり、視野障害の進行程度、目標眼圧、年齢などに応じて、線維柱帯切除術や線維柱帯切開術を選択している。また、複数回症例などの手術療法が効きにくい難治性の緑内障に対して羊膜を使用した線維柱帯切除術を行い、治療成績の向上を図っている。また、緑内障治療薬に関する臨床治検も行い緑内障診療の進歩に貢献している。白内障の分野では、年間手術件数は300件であり、主に水晶体超音波乳化吸引術+眼内レンズ挿入術を行っている。大学病院の特殊性からコントロール不良な糖尿病、心臓疾患、人工透析、精神疾患、全身麻酔など入院治療が必要な紹介患者が多くなっている。また、さらに緑内障合併症例では積極的に極小切開白内障手術を行っている。網膜硝子体の分野では、年間手術件数は181件であり、内訳は硝子体手術が156件で網膜剥離バックル手術が25件である。硝子体手術の内訳は、網膜剥離37件、糖尿病網膜症47件、黄斑円孔14件、黄斑上膜12件、増殖性硝子体網膜症14件、網膜静脈閉塞症2件、その他の硝子体手術30件である。観血的手術療法以外では、加齢黄斑変性に対し最新の機械を使用して診断、治療法方針の検討を行い、主に光線力学療法(PDT)および抗VEGF単独治療、両者併用療法を行っている。その他の年間手術件数は、斜視34件例である。角膜移植に関しては、産業医大アイバンクを設置して角膜移植の推進を図ると共に、角膜移植を積極的に行っている。

医療設備

23Gシステム硝子体手術装置、超音波白内障手術装置、マルチカラーレーザー光凝固装置、光線力学療法(PDT)、YAGレーザー、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography: OCT)、網膜造影検査器機(Heidelberg Retina Angiograph(HRA)2)、自動視野計、角膜形状解析装置、角膜内皮細胞測定装置、その他眼科用専用機器。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

口腔癌の診断と治療。特に進展癌の治療においては、先駆的な役割を果たしてきた。また、顔面骨骨折治療では本邦ではじめてミニプレートを導入し、普及に努めてきた。

症例数

外来の年間初診患者数は年間約2,500名で、治療としては、抜歯困難症例の抜歯、顎関節症、難治性の口腔粘膜疾患、全身疾患を有する患者の歯科治療や観血的処置、インプラント、歯槽骨造成術を行っている。入院患者は年間約100名で、悪性腫瘍、炎症や外傷が多い

★悪性腫瘍の治療は、早期癌に対しては手術を主体に治療をしており、進行癌には放射線・化学療法を加えた集学的治療を行っている。特に進行癌においては、放射線科と協力した超選択的動注化学療法に高気圧酸素治療後の放射線照射を併用し、生存率の明らかな向上を得ている。また、手術に際しては、できる限り切除範囲を縮小して、口腔・顎・顔面の形態、機能温存を図り、必要に応じて皮膚科形成グループと合同で欠損部を再建している。過去20年間の根治治療(194名)後の5年生存率は75%、stage別5年生存率は、stage I89%、II73%、III90%、IV57%である

★顔面骨骨折の治療では、ミニプレートによる固定で顎間固定を行わず、早期より食事摂取可能とし、できるだけ早い社会復帰を図っている。また、下顎関節突起骨折に対しては観血的手術を行わずに、下顎骨の牽引と開口訓練を主体とした治療で良好な機能回復が得られている

★その他、良性腫瘍、顎骨嚢胞、歯性上顎洞炎、重症歯性感染症などの治療を行っている。

医療設備

CT、MRI、超音波装置、血管造影、放射線治療、温熱治療装置、レーザー装置。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

第1内科(内分泌代謝・糖尿病内科)

分野

糖尿病内分泌内科

特色

当グループでは、下垂体・甲状腺・副腎などのホルモンの異常で起こる内分泌疾患と、糖尿病を中心とした代謝疾患の診療を担当している。第1内科は内科全般にわたる他グループを擁しており、他疾患を合併した場合においても各分野の専門医と協力して総合的に対応できるという特色をもつ。また、先駆的治療を精力的に遂行しており、国内の多くの学会で高い評価を得ている。また、当施設は、日本内分泌学会認定施設であるばかりでなく、日本糖尿病学会認定施設でもあり、糖尿病指導医の下で患者さんのニーズにあった最先端の医療が提供出来るように心掛けている。

症例数

★内分泌疾患:内分泌専門外来への定期受診患者数は約400人で、下垂体腫瘍や尿崩症などの下垂体疾患、バセドウ病や橋本病などの甲状腺疾患、クッシング症候群や原発性アルドステロン症などの副腎疾患といった内分泌疾患全体を対象にしている。医学的根拠と問題点に立脚した診療、患者さんの立場に立ち心のこもった診療を心掛け、診断から治療に至るまで、外来および入院での幅広い専門的診療を行っている。外来診療では、甲状腺腫の穿刺吸引細胞診を常時施行し、悪性腫瘍の鑑別を行っている。外科治療の必要な患者さんには、本学第1外科および別府野口病院と連携し適切に対応している。また、その他の専門外来として骨粗鬆症外来と肥満外来を開設している。骨粗鬆症外来では、血液・尿検査や画像検査により患者さん個々の病態を解析し、医学的根拠に基づいた最新で最適の治療を行っている。肥満外来では、ホルモン異常に由来する肥満と単純性肥満との鑑別診断を的確に行い、適切な生活指導・治療を行うことで、将来的な生活習慣病発症の予防や進展阻止、患者さん個々の生活の質の向上を目指している。一方、入院診療においては、詳細なホルモン負荷試験や様々な画像検査を行い、的確な診断と最善の治療を常に提供している

★糖尿病:糖尿病専門外来への定期受診患者数は約900人で、2型糖尿病患者様が多数を占めるが、1型糖尿病患者様も約10%含まれており、内服治療あるいはインスリン治療により病態にあった適切な治療を提供している。現在進行中である国家プロジェクトの『糖尿病予防のための戦略研究』(J-DOIT3)では、全国81の糖尿病専門施設の中でトップの症例登録数である。また、教育入院を行う一方、重症の糖尿病性慢性合併症を有する患者さんのケアも他科との協力体制の下にきめ細かく行っている。糖尿病性網膜症については当院眼科および近隣の眼科医院とも十分な病診連携がなされている。糖尿病性腎症については、透析導入前から当院第2内科(腎グループ)と連携しつつ最適な治療を目指している。一方、非常に頻度の高い神経障害については、当院神経内科との連携で様々な症状に対し詳細な検索も可能である。さらに、動脈硬化症として重要な虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳血管障害についても、当院第2内科(循環器グループ)、神経内科、脳外科との協力体制で治療にあたっている。糖尿病診療においてはチーム医療が非常に重要であるが、当院では糖尿病療養指導士の資格を有する看護師、栄養士も積極的に医療に参加しており、日常診療での糖尿病療養中の方々の支援を心掛けている。糖尿病患者会「希望の丘糖友会」(随時入会可能)も活動しており、地域の患者会の集まり「北九州糖尿病懇話会」の一員として種々の行事に参加する一方、地域医療連携の場として「一糖会」を定期的に開催し毎回約400人の参加者がある。また、糖尿病療養指導士育成においても研修会を開くなど様々な状況で協力しており、コメディカルのスタッフと共に個々の患者さんのニーズにあった医療を提供できるよう日々努力している。状態の安定した患者さんは、当科の医師が出張外来あるいは派遣されている、通院に負担のかからない地域の医療機関を紹介し、大学と同レベルの継続医療が受けられるよう配慮することにより、地域医療にも貢献している。

医療設備

特定機能病院としてあらゆる設備を有する。超音波検査、CT、MRI、各種シンチグラフィ、脳血流測定装置(SPECT)、骨密度測定装置(DEXA)、血管造影、神経生理機能検査など。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

化学療法センター・血液科

分野

血液内科

特色

手術・放射線に加え、悪性腫瘍に対する薬物療法の重要性は明らかで、米国ではすでに多くの化学療法の専門医が育成されている。日本では年間約30万人が「がん」で亡くなり、その半数が化学療法を必要としたと仮定すると年間15万人が対象となる。しかし、日本では専門医は不足し、「良質で安全な治療」が確立されているとは言い難く、治療成績の病院間格差が是正されると毎年数万人の救命になると試算される。新規の抗がん剤が次々に開発されている現状を考えると、大学病院に化学療法の専門集団が存在すべきであり、当科は良質の化学療法を提供する。当科は2005年に開設された新しい診療科であり、当院における腫瘍内科・血液内科を担当し、画像・血液像から細胞抗原や遺伝子検査の総合的判断に基づき、悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫・骨髄異形成症候群などの血液がんや進行がんの化学療法、無顆粒球症・貧血・紫斑病などの血球異常を診療しており、無菌室およびクリーンベッドを備え高度医療の体制を整えている。また、当科の特徴は「がん化学療法看護認定看護師」や「がん専門薬剤師」を含む看護師・薬剤師などのコメディカルスタッフとの連携にて質の高いチーム医療を心がけている点である。

症例数

当科の特徴は、外来化学療法センター25床の化学療法専用のベッドを有し、それらをフル稼働させ月間延べ数百例の化学療法を行っていることである。センターには抗がん剤専任の医師・看護師・薬剤師が配置され、抗がん剤の必要性・副作用をわかりやすい文書にまとめ説明し、安全管理・適正なインフォームド・コンセントに努めている。また、長時間の外来点滴に対応するためには、ベッド・リクライニングチェアに加え書籍・BGMやテレビなどが完備されている。一方、入院では無菌室・クリーンベッドを用いて重症例に対応し、入院・外来の切れ目のない治療を展開している。現在の一日平均外来患者数は約40例、月間新患数は約60例、骨髄穿刺月間約40例に達し、現在多くの患者さまに信頼をされている。また、セカンドオピニオンも受け付けている

★当科の具体的な治療内容は日本臨床腫瘍学会・日本がん治療学会・日本血液学会・日本細胞移植学会・米国血液学会・米国臨床腫瘍学会・日本骨髄腫研究会などのEBMに基づいており、代表的治療を下に列記する

代表的治療=①造血器悪性腫瘍および進行がんに対する、多剤併用寛解導入療法・地固め療法・維持療法・サルベージ療法・アジュバンド療法・ネオアジュバンド療法②高リスク造血器腫瘍に対する、同種骨髄移植・同種末梢血幹細胞移植・同種臍帯血移植・自家末梢血幹細胞移植③乳がん・再生不良性貧血・紫斑病・溶血性貧血に対する、ホルモン療法④分子標的薬=悪性リンパ腫―リツキサン、多発性骨髄腫―ベルケード・サレド、慢性骨髄性白血病・急性リンパ性白血病―グリベック・ダサチニブ・ニロチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、急性骨髄性白血病―マイロターグ、大腸がん―アバスチン・アービタックス、乳がん―ハーセプチン⑤G-CSF・制吐剤・抗生剤などの支持療法

対象疾患=①化学療法の有効ながん(大腸・胃・乳腺・肺など)②造血器悪性腫瘍(白血病、悪性リンパ腫、成人T細胞性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)③血球異常(重症貧血、紫斑病)

当科カンファレンス=血液・腫瘍カンファレンス、白血病スライドカンファレンス、移植カンファレンス

当院の認定状況=がん診療連携拠点病院、日本臨床腫瘍学会認定研修施設、日本がん治療認定医機構認定研修施設、日本血液学会研修施設

当科の認定状況=Japan Clinical Oncology Group (JCOG)、日本骨髄バンク採取・移植、日本臍帯血バンク。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

膠原病リウマチ内科(第1内科)

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

関節リウマチ・膠原病の診療において、軽症~最重症まで幅広く診療する。特に治療抵抗性症例、難治性病態(膠原病に起因する間質性肺炎、肺高血圧症、中枢神経症状、皮膚潰瘍など)の最新治療による克服や、膠原病治療における合併症(ステロイド性骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、感染症など)の抑止に積極的に取り組んでいる。http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/1nai/pdf/col-ra-chiryoshishin7.pdfにて『当科における膠原病疾患・リウマチ性疾患診療指針 第7版』として公開してEBMに基づく診療の基本としている。

症例数

★2008年度膠原病リウマチ内科入院患者は関節リウマチ約410名、全身性エリテマトーデス96名、強皮症31名、多発性筋炎・皮膚筋炎22名、血管炎症候群32名、ベーチェット病20名、混合性結合組織病15名、シェーグレン症候群13名、強直性脊椎炎22名、成人スティル病6名、キャスルマン病6名、抗リン脂質抗体症候群、後天性免疫不全症候群など計720名。また、外来には関節リウマチ約1,200名、全身エリテマトーデス約250名など多くの患者さんが定期的に当科外来へ通院している。また、患者さんの通院の利便性などに配慮し、当科にて治療方針を決定し、症状が安定した患者さんには北九州市、下関市、直方市の基幹病院(当科ホームページに掲載)において、当科の膠原病リウマチ専門医が非常勤として膠原病・リウマチ出張外来を開設し、継続診療するシステムを構築している

★各症例の診断、疾患活動性、重症度分類、障害臓器、合併症を明確にし、それらに基づいて、各症例毎に最も適切な短期的および長期的治療計画を立案することを第一義とする。特に、入院症例に関しては複数主治医性とし、毎週のグループおよび講座でのカンファレンスで十分な討議がなされる

★治療方針の決定においても同様に、慎重な討議がなされる。エビデンスに基づいた治療方針が基本であるが、『当科における膠原病疾患・リウマチ性疾患診療指針』は当科のホームページにて公開している。関節リウマチの薬物療法に関しては、根本療法としての抗リウマチ薬DMARDと対症療法としての抗炎症薬NSAIDの2本立てを基本とし、1割以上の症例で無治療寛解への導入が成功している。さらには、関節リウマチに対する抗サイトカイン療法として2003年7月にキメラ型抗TNFα抗体(インフリキシマブ)が保険収載され、2005年4月には可溶性TNF受容体Ig(エタネルセプト)、2008年4月抗IL-6受容体抗体トシリズマブ、同年7月から完全ヒト抗TNFα抗体アダリムマブが次々と保険収載された。これらの薬剤の全ての導入成績は全国上位である

★関節リウマチ以外の全身性エリテマトーデスや血管炎症候群を含む膠原病諸疾患に関しても、ステロイド薬の適応を慎重に考慮したうえで決定する。即ち全例においてステロイド薬を使用するわけではなく、また、使用する場合には充分な初期治療を施行する。将来的な寛解導入やステロイド維持量の最小化は、初期治療に依存する。殊に、治療抵抗性症例や膠原病に起因する間質性肺炎、肺高血圧症、中枢神経症状、糸球体腎炎、溶血発作、血栓性血小板減少性紫斑病、皮膚潰瘍・壊疽などの難治性病態に対しては、エビデンスに基づいた免疫抑制療法、血漿交換療法、免疫吸着療法などの最新治療を駆使している

★難治性リウマチ・膠原病疾患に対する多数の臨床試験を行い、通常の保険診療では改善させえない患者の病態克服に寄与してきた。関節リウマチに対する、CTL4-Ig(アバタセプト)、完全ヒト抗TNFα抗体ゴリムマブの継続治験をはじめ、抗CD20抗体オクレリズマブ、Jak3阻害剤(CP650550)などの治験が現在進行中で、極めて高い治療実績をあげている。また、重篤な臓器合併症をきたした全身性エリテマトーデスに対する抗CD20抗体による新規治療法に関しても現在第II、III相試験展開中である

★合併症対策にも力を注いでいる。ステロイド誘発性骨粗鬆症には、薬物による一次、二次予防を先駆的に施行している。また、ステロイドや免疫抑制剤の重篤な合併症であるニューモシスチス肺炎などの日和見感染症対策として、PCRを用いたDNA診断を導入して早期発見・治療を実践している

★リウマチ・膠原病領域の厚生労働省科学研究活動において、田中教授を班長とする厚生労働科学研究「関節リウマチの関節破壊ゼロを目指す治療指針の確立、及び根治・修復療法の開発に関する研究」をはじめ、「関節リウマチ寛解導入法体系化に関する研究」「関節リウマチの生命予後からみた至適医療の確立に関する臨床研究」「膠原病の生命予後規定因子である合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究」「免疫疾患の病因・病態解析とその制御戦略へのアプローチ」「自己免疫疾患に関する調査研究」「特発性大腿骨頭壊死症の予防と治療の標準化を目的とした総合研究」などに参画。常に基礎的解析による病態解明とその臨床応用(治療法開発、難治性病態の克服を念頭に、活動的に膠原病診療に携わっている

★膠原病友の会、並びに日本リウマチ友の会、ベーチェット病友の会などの患者さんの団体に賛助会員などとして参画し、患者さんのニーズにあった医療を提供できるよう努力している。

医療設備

CT、MRI、血管造影、核医学検査、血漿交換療法、免疫吸着療法。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

神経内科・心療内科

分野

神経内科

特色

脳、脊髄、末梢神経、筋肉の障害によって起こる様々な病気に対して診療を行っている。脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科などとも連携した総合的な治療をしている。同科内に心療内科(林晴男講師、米良貴嗣助教)が併設されており、心身医学的なアプローチも行っている。福岡県重症神経難病ネットワークの準拠点病院であり、神経難病の患者さんには福祉サービスの紹介や在宅介護へのアドバイスなども行っている。日本神経学会教育施設。

症例数

外来患者数は年間約26,000人、入院患者数は年間15,000人(病床数41)

★神経内科での診察は、様々な症状の経過や随伴する症状などを十分に聞くことから始まり、十分な経験を持った医師が特殊な診察器具を用いて入念な診察を行っていくため、時間に余裕をもって受診することが望ましい。十分な診察により症状の原因となる病気を類推し、必要に応じて電気生理学的検査(脳波、末梢神経伝導検査、体性感覚誘発電位、磁気刺激による運動誘発電位など)、画像検査(単純X線、CT、MRI、脳血流シンチグラフィなど)、病理学的検査(筋生検、末梢神経生検など)、脳脊髄液検査、遺伝子解析を中心とした検査を行っている。外来診療は神経内科一般のほかに脳卒中、パーキンソン病、てんかん、頭痛、物忘れ、高次脳機能障害、ふるえ、しびれ、麻痺、顔面けいれん、痙性斜頸に関しては専門外来を設けており、専門の医師が診療にあたっている

てんかん=難治性部分てんかんに対して長時間ビデオ脳波モニタリングを行っており、必要に応じて硬膜下電極留置によるモニタリングも行い、正確な焦点の同定と周辺皮質機能局在の検索に努めている。脳神経外科との協力で積極的にてんかん焦点の外科的切除を行い、良好な治療成績をあげている

頭痛=頭痛専用の問診票を用いて病歴を聴取し、頭痛の原因疾患の同定に役立てている。トリプタン製剤の使用により片頭痛の苦痛は著しく軽減している

脳卒中=発症急性期は拡散強調像を含めた画像診断により早期診断を行い、病態に応じた治療を迅速に行っている。慢性期には再発防止に重点を置き、抗血小板薬などの薬物治療や生活習慣病を予防するための生活指導を中心とする定期的な経過観察を行っている

パーキンソン病=専門医の診察により確実な診断を行い、適切な治療薬の選択・調整を行っている。症状に応じた抗パーキンソン病薬の調整には医師の知識や経験を必要とするため、熟練した医師が診療・指導にあたっている

多発性硬化症=各種の大脳誘発電位やMRIによる病態・病変分布の把握を行っている。再発急性期におけるステロイドパルス療法や再発予防のためのインターフェロンβ投与などを積極的に行っている

認知症=神経精神科とともに物忘れ外来を設けており、認知症の原因疾患の診断を適切に行い、その症状や病期に応じた治療を行っている。認知症の原因疾患は多岐にわたるため、多方面からの診断・病態把握に努めている

高次脳機能障害=失語・失行・失認といった高次脳機能障害の病態把握には入念な診察が必要となるため、時間をかけて十分な診察や検査を行っている。リハビリテーション科との連携により、早期より言語療法や作業療法を行っている

ふるえ=手のふるえなどの不随意運動は様々な病態に伴って生じ、病態により性状が異なる。表面筋電図をはじめとした検査で病態の把握に努め、治療に結びつけている

顔面けいれん・痙性斜頸・書痙=けいれん筋に対するA型ボツリヌス毒素(BTX)局所注入療法を多くの患者さんに施行しており、良好な治療成績をあげている。痙性斜頸に対しては自律訓練法やバイオフィードバック法の併用も行っている。BTXの適応外疾患に対してはMAB(muscle afferent block)療法も試みている

神経難病支援=筋萎縮性側索硬化症をはじめとする神経難病に関しては、十分な精査を行い、診断や病状の把握に努めている。福岡県重症神経難病ネットワークの準拠点病院となっており、入院施設の紹介や在宅介護へのアドバイスなども行っている。人工呼吸器や胃瘻を装着した患者さんの在宅支援に力を入れている。

医療設備

長時間ビデオ脳波モニタリング、大脳誘発電位(視覚誘発電位、聴性脳幹誘発電位、体性感覚誘発電位、経頭蓋磁気刺激法による運動誘発電位など)、末梢神経伝導検査、針筋電図、MRI、CT、脳血管撮影装置、脳血流シンチグラフィ(SPECT)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

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