専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

近畿大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

ウイルス性肝炎・肝癌の診断と治療において実績をあげている。特に肝癌におけるラジオ波焼灼療法を99年6月より全国に先駆けて取り入れ、10年1月までの10年6カ月の間に3,000例以上(東大に次いで国内第2位)の患者さんに施行し、良好な成績を収めている。5年の局所再発率は約6%と極めて低く、5年生存率も78%と極めて良好。また肝癌治療後の再発抑制治療により、再発率も低く制御している。また、肝癌の早期発見、早期診断、治療効果判定に造影超音波法を導入し、世界的に有名となったDefect Reperfusion法を用いて効率的な治療を行っている。肝発癌制御目的のインターフェロン治療やB型肝炎、C型肝炎に対する新しい抗ウイルス療法にも積極的に取り組んでいる。消化器領域では、当大学で開発したバイポーラ止血法やアルゴンプラズマ凝固療法、粘膜切除(EMR)、粘膜下剥離一括切除:ESD(500例以上)にて早期癌の低侵襲治療も多数行っている。その他、悪性胆道閉塞に対するステント挿入や、クローン病、潰瘍性大腸炎に対する白血球除去療法などの特殊治療を積極的に行っていることも大きな特徴である。また高性能の超音波内視鏡装置を用いて、食道・胃・胆膵疾患において精度の高い診断と治療を行っている。造影ハーモニック対応の超音波内視鏡装置も世界で初めて共同開発・実用化し、早期膵癌の診断と治療に実績をあげている。当消化器内科には全国レベルの学会の事務局が4つ設置され活動している。それらは日本肝癌研究会、日本造影エコー・ドプラ診断研究会、日本肝がん分子標的治療研究会、日本肝がん臨床研究機構などである。

症例数

消化器内科の1日平均外来数約250人。年間約30,000人。入院患者数1日平均約80人、年間総数は約2,500人で、その内訳は、肝臓疾患60%、上部消化管疾患15%、下部消化管疾患15%、胆道・膵疾患20%である。肝疾患の内訳は、約70%が肝細胞癌、20%が食道静脈瘤の治療(食道静脈結紮療法・硬化療法)、10%がその他の肝疾患と肝炎のインターフェロン治療である

★肝細胞癌では、ラジオ波焼灼療法(RFA)を積極的に行い、好成績を収めている。高度進行肝癌に対しても、皮下埋め込み式の動注化学療法や頻回動注化学療法、インターフェロン併用動注化学療法、ネクサバールなどの分子標的治療も積極的に導入し国内でNo.1の実績を上げている。また厚生労働省の肝癌治療の班研究の一環として新しい治療も行っている。肝癌の診断・治療においては、積極的に造影ハーモニック法やアンギオCTを取り入れ、効率的でかつ低侵襲な方法で治療効果をあげている

★慢性肝炎ではC型肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法、B型肝炎に対する核酸アナログ製剤(ラミブジン、アデフォビル、エンテカビルなど)治療なども積極的に行っている

★消化管疾患では、ヘリコバクター・ピロリの除菌治療も積極的に行い、胃癌発症の罹患率の低下を達成している。また難病である炎症性腸疾患に対しても、顆粒球除去療法や抗TNF-α治療を行うなど、特殊治療も行っている。早期胃癌や早期大腸癌に対する低侵襲治療(粘膜切除、ESDなど)も積極的に行うほか、超音波内視鏡を併用した生検および超音波造影法により精度の高い診断、および深達度評価による正確な治療方針の決定も行っている

★胆膵疾患では、乳頭切開や胆道ドレナージ、ステント挿入および胆管内超音波、膵管内超音波、超音波内視鏡下生検などにより、正確な深達度評価に基づく治療方針決定などを行っている

★放射線科、外科との緊密な連携および地域の医師との連絡により、患者さんの側に立った良い医療を行うことをモットーにして診療を行っている。

医療設備

超音波、カラードプラ装置、ハーモニック機能搭載装置 4台、CT(64列マルチスライス装置)、MRI 3台、核医学診断装置(SPECTを含む)、PET 3台、電子内視鏡、拡大内視鏡、超音波内視鏡(腔内超音波を含む)、血管造影(DSA)、血管造影下CT、顆粒球除去装置、アルゴンプラズマ装置、ESD用のITナイフ、体外衝撃波結石破砕装置、ラジオ波治療装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器・アレルギー内科

分野

呼吸器内科

特色

呼吸器・アレルギー領域全般の診療を行っている。病床数は29であり、4床の重症管理用ベッドを有する。症例の内訳は、気管支喘息、呼吸器感染症、慢性閉塞性肺疾患、慢性咳嗽、間質性肺炎、膠原病肺、肉芽腫性肺疾患、アレルギー性肺疾患、胸膜疾患、睡眠時無呼吸症候群、職業性肺疾患、肺血栓塞栓症、腫瘍、薬物アレルギー、ハチアレルギーなどであり、特に気管支喘息診療では西日本でも有数の施設である。我が国、特に関西地区においては呼吸器・アレルギーの専門科を持つ病院が少ないのが現状であり、当科に対する各病院、診療所からのニーズは非常に大きい。

症例数

08年度の年間新入院患者数は約600名、年間外来患者数は新患で約1,500名、再診で約27,000名である。主な新入院患者の疾患別内訳は、肺炎:約200名、慢性閉塞性肺疾患:約50名、間質性肺炎:約60名、睡眠時無呼吸症候群:約60名、自然気胸:約40名、喘息発作:約30名、肺癌:約100名などである。外来患者の内訳は(1月あたり)、喘息:約1,000名、慢性閉塞性肺疾患:約500名、他の呼吸器・アレルギー疾患患者数約1,000名であり、大学病院では西日本一の患者数で、今なお増加傾向にある。検査は、気管支内視鏡、経皮肺生検(エコー下、透視下、CTガイド下)、呼吸機能検査、気道過敏性検査、咳感受性検査、運動負荷テスト、アレルギーに対する皮膚テスト・負荷テスト、終夜睡眠ポリソムノグラフィーなどを行っている

気管支喘息の診断と治療=当科では気管支喘息診療を向上させるために長年にわたり積極的に取り組んでいる。診断や経過観察のために重要な呼吸機能検査(スパイロメトリー、気道可逆性検査、気道過敏性検査、気道抵抗検査、呼気中一酸化窒素測定など)はもちろんのこと、患者さんへの指導(疾患の説明、吸入ステロイド薬を中心とした薬物療法指導、喘息日記の記載指導、自己管理の指導など)を行い、ほとんどの患者さんで良好なコントロールを得ている。通院中の患者さんの喘息発作時には24時間で対応している

慢性咳嗽の診断と治療=最近増加している慢性的に咳嗽を認める患者さんに対し、鑑別診断のための画像検査、呼吸機能検査、気道過敏性検査、咳感受性検査などを行い、確定診断と適切な治療を行っている

慢性閉塞性肺疾患の診断と治療、包括的呼吸リハビリテーション=最近増加しつつある慢性閉塞性肺疾患患者さんに対しては呼吸機能検査や画像検査、さらには運動負荷テストを行い、適切な薬物療法や在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法を行っている、さらに当院の東本有司講師(リハビリテーション科)と協力して医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士などがチームを組み、包括的呼吸リハビリテーションを行い、患者さんのQOL(生活の質)の改善に取り組んでいる

肺炎の診断と治療=肺炎症例では迅速に喀痰グラム染色や尿中抗原検査を行い、常に病原菌の把握に努め、有効な抗菌薬の選択を行い治療している。また、他医療機関から紹介される重症肺炎症例は重症管理室で集中治療を行い救命に努めている

睡眠時無呼吸症候群の診断と治療=睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対しては終夜睡眠ポリソムノグラフィーにて確定診断後、持続陽圧呼吸(CPAP)や院内の歯科口腔外科と協力して口腔内スプリントなどを積極的に導入し、良好な成績を上げている

間質性肺炎の診断と治療=時に確定診断に苦慮することのある間質性肺炎症例に対し、当院外科協力のもと、外科的に肺組織を採取し、精度の高い診断に努めている

アレルギー疾患に対する免疫療法=ハチアレルギーの患者さんに対して、免疫療法(減感作療法)を行い、症状の緩和、アナフィラキシーショックの予防を行っている。また、ハチアレルギーや食物アレルギー、薬剤アレルギーの患者さんにエピネフリン自己注射キットを処方し、アナフィラキシーショックによる死亡の回避に努めている。

医療設備

CT、MRI、超音波検査、核医学検査、PET、PET-CT、気管支内視鏡、呼吸機能検査、ポリソムノグラフィー、リニアックなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

外科(呼吸器外科グループ)

分野

呼吸器外科

特色

肺癌、転移性肺腫瘍、悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍など胸部悪性腫瘍の手術による根治治療を行っている。診断・治療方針は腫瘍内科、放射線科、脳外科、呼吸器内科、リハビリテーション科など多診療科と連携し定期的カンファレンスを行い決定している。根治切除のための手術の方法は当科において個々の患者さんの疾患の進行度合、併存疾患など全身状態をとらえ、常に無理、無駄がなくかつ、確実に根治切除ができる手術計画をたてている。そのため手術術式は選択的肺区域切除手術から多臓器拡大合併切除まで多種多様な手術を行っている

★また、呼吸器外科では多科・多職種によるチーム医療体制にて術前から術後までの全身管理を行い、高齢、低肺機能、心機能障害など重い併存疾患を有する胸部悪性腫瘍の患者さんにも積極的根治手術を可能にしている。特に呼吸器リハビリテーションは胸部の手術患者さん全員に行い、術後合併症の減少や在院日数の短縮など術後経過の改善が認められている

★肺癌再発や転移性肺腫瘍に対しても積極的に切除を行っている。また、近年の診断装置の発展に伴い比較的よく発見される1cm以下の極小病変に対してはCTガイドマーキングの後、切除確定診断を行い、引き続き根治切除を行っている。

症例数

2009年1月から12月の総手術件数は17歳~86歳の230例であった。内訳は、肺癌156例、転移性肺腫瘍21例、悪性胸膜中皮腫3例、縦隔腫瘍16例などであり、胸部悪性疾患手術が190例と大半である。肺癌手術の定型的な根治肺葉切除+リンパ節郭清手術には全例完全鏡視下肺悪性腫瘍手術か、ハイブリッド胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術を行っている。進行例や拡大切除の際には必要に応じ直視下の開胸手術を行っている。悪性胸膜中皮腫には胸膜肺全摘手術を行い、術後は化学療法を追加し再発予防を行っている。転移性肺腫瘍では肺部分切除を基本としているが、病変により肺葉切除も行っており、再発を繰り返す場合でも複数回の切除を行っている。胸腺腫では重症筋無力症を合併していることが多く、胸骨縦切開により拡大胸腺摘出術を標準術式としている。その他の縦隔腫瘍も積極的に根治切除を行っている

治療成績=術後合併症は発生頻度が1.9%であった。肺癌術後5年生存率はIa期81%、Ib期72%、IIa期59%、IIb期50%、IIIa期25%である。Ib期以降の肺癌手術患者さんや、その他の胸部悪性腫瘍手術患者さんでは術後化学療法を腫瘍内科と連携して行い再発防止治療を行っている。手術後の通院経過観察は3カ月間隔である。また、6カ月毎にCT、PET検査等にて全身の転移再発チェックを行い、不幸にも再発した場合でも早期に発見し治療できるように通院診療計画を立てている

セカンドオピニオン=他施設への診療情報提供、他施設からのセカンドオピニオン受け入れを行っている。

医療設備

胸腔鏡手術装置、PET-CT、CT、MRI、シンチグラムなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

<理念>臨床、研究、教育の3つの柱に力を注ぎ、多くの若者の参集を得て、優秀な人材を世に輩出し、叫ばれて久しい医療崩壊をくい止める、これが当教室の目標である。<基本姿勢>病への不安を抱えた患者さんの気持ちを十分に理解し、現在の病状と将来の治療方針について十分な説明に努めること。そして、病を克服しようとする患者さんの勇気に応えるため全力を尽くすこと。<治療分野>病床数はCCU 6床を含む52床で、心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患、心房細動、心室頻拍などの不整脈疾患、拡張型心筋症や肥大型心筋症などの心筋疾患、先天性心疾患、急性大動脈解離などの大動脈疾患、うっ血性心不全、急性肺血栓塞栓症などの肺循環障害などすべての循環器疾患に対するエキスパートを揃えている。94年には高度先進医療を行う特定機能病院として厚生省から認定され、09年6月には日本医療機能評価機構から施設認定を受けた。循環器関連で施設認定を受けているものに経皮的冠動脈形成術(高速回転式経皮的経管アテレクトミーカテーテルによるもの)、経皮的中隔心筋焼灼術、心室同期療法(CRT)植込み術、植込み型除細動器(ICD)植込み術、補助人工心臓などがあり、最先端の医療技術を地域に提供する重要な役割を担っている。

症例数

主な非侵襲的検査として09年に心臓エコーを6,191例、末梢血管エコーを1,599例、運動負荷心エコーを297例、経食道エコーを113例、心臓核医学検査を508例(運動負荷心臓核医学検査336例、薬物負荷心臓核医学検査114例)に施行している

★虚血性心疾患の中でも緊急性の高い急性冠症候群はCCUで管理を行い、09年のCCU入院患者は263人で、急性心筋梗塞に対する緊急経皮的冠動脈形成術(PCI)を53例に、不安定狭心症に対する緊急PCIを53例に行い、成功率は99%である。虚血性心疾患の治療は、薬物療法とPCI、冠動脈大動脈バイパス手術、生活習慣の改善指導などを個々の患者の病態に合わせて選択している。虚血性心疾患の診断、治療の中で冠動脈造影検査、経皮的冠動脈形成術(PCI)の果たす役割は大きく、09年における冠動脈造影は707例に行われ、そのうち353例にPCIを施行した。冠動脈病態の把握、治療の適応や結果の評価に血管内エコー、血管内視鏡、光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)などの画像診断装置を用いている

★不整脈に関しては、あらゆる頻拍性不整脈を対象として積極的にカテーテルアブレーションを行い、特に心房細動症例数が増加している。09年のアブレーション治療数は103例で成功率は96.1%である。永久ペースメーカー植え込み術を39例に行い、植え込み型除細動器(ICD)の植込み術を19例、CRTを5例に行っている

★超重症な急性心不全に対しては、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、経皮的人工心肺補助装置(PCPS)などの補助循環や血液透析を積極的に適用し、救命率が飛躍的に改善している

★肺動脈血栓塞栓症に対しては、院内でガイドラインを作成し、その予防に関しては循環器内科が中心で取り組み、実績をあげている

★その他としては、当院リハビリテーション科と連携し、クリニカルパスに従い、循環器疾患に対する運動リハビリテーションも積極的に行っている。慢性心不全に対しては、CRTの施設認定を受け、施行している。

医療設備

CCU 6床、心臓カテーテル装置2台、心臓核医学診断装置3台、心臓超音波ドプラ装置6台、CT 3台(64列CTを1台含む)、MRI 3台、PET(陽電子断層撮影)3台(CT付き1台を含む)。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

腎臓・膠原病内科

分野

腎臓内科

特色

関西の腎疾患治療および血液浄化療法の導入・管理の中心的施設。原発性腎疾患をはじめ、高血圧症、糖尿病、膠原病、心・肺疾患など種々の基礎疾患を持つ腎臓病の治療経験が豊富。腎不全の発生をいかに回避するかに重点を置き、メタボリックシンドロームの予防を始めとした全身管理とともにQuality of Life(生活の質)を重視した医療を心掛ける。腎不全症例に対して血液透析、腹膜透析、血液濾過など種々の血液浄化療法を行う。日本腎臓学会、日本透析医学会認定施設。

症例数

大阪府、和歌山県下の病院、診療所との連携を軸に近隣在住の症例の診療にあたる。健康診断で初めて指摘された血尿・蛋白尿から末期腎不全の管理に至る全ての腎疾患を対象とし、また、脱水症、浮腫、高血圧症あるいは電解質・酸塩基平衡異常などの諸問題に対応

★年間症例数は、急性および慢性糸球体腎炎 (280)、ネフローゼ症候群 (60)、IgA腎症およびシェーンライン・ヘノッホ紫斑病 (120)、糖尿病性腎症 (100)、急性・慢性腎不全 (110)、間質性腎炎 (20)など。入院・外来合わせて年間約1,500例(うち2割は入院例)。その他に急速進行性糸球体腎炎、感染性腎炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎などの膠原病による腎障害、血栓性血小板減少性紫斑病/溶血性尿毒症性症候群、家族性高コレステロール血症、薬物中毒、エンドトキシンショック等の診断・治療を行う。腎疾患の診断にエコーガイド下で積極的に経皮的腎生検を行い、治療の適性化に努める。国内外の最先端の治療法を取り入れ、エビデンスに基づく医療 (EBM) を心掛ける。また、副腎皮質ステロイド薬ならびに新しい免疫抑制薬の副作用の監視下の使用を推進している。地域医療の一環として医師会での講演会、保健所の医療相談会などに参加

★主な研究内容はネフローゼ症候群、急速進行性糸球体腎炎あるいは腎不全の病態および治療法の研究で、具体的には①種々の免疫抑制薬による治療法の検討 (シクロフォスファミド、シクロスポリン、タクロリムスほか)②腹膜機能に及ぼすサイトカインの影響 (TGF-β、HGF) および腹膜中皮細胞機能に及ぼすTGF-βの作用③全身性エリテマトーデスで見られる腎機能障害発生機序の解明④新しい免疫調節薬 (スタチン、レチノイン酸治験、タミバロテン治験ほか) による腎炎の治療法の開発⑤難治性高血圧症の病態・治療法の検討など。

医療設備

血液透析・血液濾過装置、血漿交換療法装置、免疫吸着療法装置、PET装置 (悪性腫瘍、炎症性病変の診断)、CT装置 (高感度HRCTを含む)、MRI装置、アイソトープ検査 (悪性腫瘍、炎症性病変、骨病変の診断)、骨密度測定装置、心臓・腹部超音波検査機器 (弁膜症、肺高血圧症、末梢動静脈血栓症の診断ほか)、指尖脈波測定機器 (レイノー現象、閉塞性動脈硬化症の診断) など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

形成外科

分野

形成外科

特色

①顕微鏡下にて微小血管を縫合する技術を駆使し、切断四肢(指)再接着を中心とした手の外科、②癌(乳房・頭頸部・食道)切除後の組織再建、③顔面外傷、④血管奇形、と言った4つの柱のチーム医療で患者の治療に取り組んでいることが当科の最大の特徴である。また先天異常(小耳症、口唇・口蓋裂、四肢)の治療も積極的に行っている。そして、骨髄炎、難治性潰瘍、熱傷、瘢痕拘縮およびケロイド、眼瞼下垂症・眼瞼内反症など、形成外科領域の全疾患において幅広く診療を行っている。

症例数

2009年の年間外来新患数約1,432人、外来手術件数219人、入院患者総数620人、中央手術室での手術件数671件である

★切断四肢(指)再接着術は、年間100例を超え、全国における四肢(指)再接着センターの一大拠点として認識されている

★顔面外傷センターとしての役割も大きく、顔面骨観血的整復術は年間110例を超えている

★腫瘍切除後の再建では外科、耳鼻科などの腫瘍外科医との連携体制を強化している。外科との連携においては、食道癌切除後の遊離空腸移植術・有茎腸管移植術を用いた食道再建を年間約20例、乳癌切除後の広背筋・腹直筋を用いた乳房再建を、年間約30例行っている。また耳鼻科との連携においては、口腔・咽頭癌切除後の再建を年間約30例行っている

★血管奇形は、血管腫を中心とした患者が年間約50例外来を受診し、放射線科医とのチーム医療で患者の治療にあたっている

★高度先端技術として再生医療に注目し、これまで集積した基礎技術を最大限に導入し、現在、眼窩骨折などの骨再建に再生医学を積極的に取り入れている。また、3次元レーザー形状解析装置を導入した術前、術後の客観的な乳房形状評価を行うことで、理想的な乳房再建を目指している

★コンピューター解析装置を導入した頭頸部再建後の嚥下機能評価を行い、機能的再建の向上に役立てている。

医療設備

CT、MRI、PET、レーザーライトスキャン、サーモグラフィー、炭酸ガスレーザー、ロングパルスヤグレーザー、カラードプラ、顕微鏡など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

①教室には内視鏡技術認定医3人・臨床細胞診専門医4人・婦人科腫瘍専門医3人・周産期新生児専門医1人の各種専門医がおり、専門疾患治療はすべて専門医が主に担当している。②婦人科腫瘍は子宮筋腫・良性卵巣腫瘍には全例内視鏡手術を原則としており、婦人科悪性腫瘍についても子宮体癌を主として一定条件を満たす症例には積極的に内視鏡手術を行っている。③初期子宮頸癌に対しては、超音波メスやレーザーを用いた頸部円錐切除、初期子宮体癌についても一定条件を満たす症例には高容量黄体ホルモン治療を行い、妊孕能温存が考慮された治療を行っている。④広汎子宮全摘術については術後排尿機能温存のため原則的に骨盤神経温存手術を適用している。⑤進行卵巣癌については内視鏡下診断を積極的に採用し、術後全身状態の維持と早期化学療法治療の適応に努めている。また、化学療法・放射線治療についても排卵抑制剤の併用や卵巣放射線照射野外固定などにより妊孕能温存に努めている。⑥婦人科癌の診断には附属病院に併設されているPET(Positron Emission Tomography:陽電子放出型断層撮影装置)を積極的に応用し、放射線科診断医と共同し早期発見に努めている。⑦化学療法は一定条件を満たした例については通院治療センターにおける外来通院化学療法を行っている。⑧婦人科腫瘍治療においては、全例腫瘍治療班・内視鏡手術班・不妊症治療班の合同検討から術後QOL(Quality of Life:生活の質)の維持が考慮された治療方針の決定が行われている。⑨手術症例については全例術前に深部静脈血栓症のスクリーニングを行い、術後肺塞栓の予防を行っている。⑩専門外来として不妊症外来・更年期外来(コスモス外来)を設置して外来専門治療を行っている。コスモス外来においては外来診療室に骨密度測定のDEXAを専有しており、全身状態が把握された更年期治療を行っている。⑪子宮内膜症の診断・治療には、新規薬剤を用いた保存治療や内視鏡手術による低浸襲性治療など総合的な治療を適用している。⑫性同一性障害や性発生発育異常についても泌尿器科およびメンタルヘルス科と共同で治療を行っている。⑬内視鏡治療および癌治療に関する外来セカンド・オピニオンについても積極的に受け入れており、治療ガイドラインのみならず教室における治療成績も参考に相談に応じている。ただし受診される方が急増しているため、セカンド・オピニオン目的にて受診される場合は前医からの紹介状(診療情報提供書)および画像を含む検査成績の持参をお願いしている。⑭新規薬剤の展開を目的とした臨床試験の実施にも積極的であり、所属する専門医はすべて国内外の臨床試験実施組織の中心的なメンバーとして活躍しており、院内倫理審査委員会の承認が得られた倫理的・科学的な臨床試験も積極的に行っている。⑮教室では、これまでに日本受精着床学会、日本婦人科腫瘍学会、日本婦人科内視鏡学会等の実践的な学会を主催してきたが、07年は国際婦人科内視鏡学会を主催し、世界レベルでの先進技術の習得に努めている。

症例数

治療症例数は、内視鏡手術例数300例、子宮筋腫の内視鏡手術施行率は全症例の90%、良性卵巣腫瘍の内視鏡手術施行率は全症例の97%。悪性腫瘍は子宮頸癌80例、子宮体癌50例、卵巣癌40例。不妊症治療は体外受精・胚移植60例。分娩件数400例

月~金の午前9時~午後2時。土の午前9時~11時。星合教授=月・木、塩田准教授=火・金、渡部准教授=水・土。不妊外来(予約)=月・水・木・土、コスモス外来(予約)=火。受診には紹介状持参が望ましいが、紹介状なしでも受診可能である。

医療設備

PET、CT、MRI他、大学病院として診療に必要とされる先進機器はすべて設置されている。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

あらゆる眼疾患に対し、それぞれの専門スタッフによる診断および治療が一貫して行える診療体制を整えている。75年に開院以来、南大阪の中枢的病院の役割を果たしており、他施設からの紹介患者も多い。また全身管理の必要な眼疾患では、大学病院の特徴を生かし、他科との連携も十分行われている。

症例数

09年の初診患者数は4,673人、再診患者延べ数は66,370人、手術件数は1,634件である

★角膜外来では、すべての前眼部疾患に対応できることを特徴としており、角膜ヘルペス、アカントアメーバ角膜炎などに対する最新の診療治療、円錐角膜に対する新しいコンタクトレンズ処方、遷延性角膜上皮障害に対するフィブロネクチン、EGF点眼治療を行っている。近視、乱視のLASIKも関連施設で行っている。角膜移植はアメリカのアイバンクと連携し、輸入角膜による移植も行っている。スチーブンス・ジョンソン症候群などの難治例には羊膜移植や人工角膜手術(本邦では当院のみ施行可)、ドライアイに関しては涙点プラグ、血清点眼治療なども行っている

★白内障手術は年間約1,000件で、超音波手術が98%、水晶体嚢外摘出術が2%を占め、ほぼ全例に眼内レンズが挿入されている。松本教授以下助教以上のスタッフのほとんどが白内障手術を行い、全例で安定した術後成績を得ている。網膜剥離、感染などの合併が多いアトピー性皮膚炎に伴った白内障に対しても、皮膚科と密接な連携、術前術後の徹底的な管理体制のもとで、眼内レンズ挿入を早い時期から行っており、良好な成績を得ている

★緑内障は、その病型や進行度に応じて各種薬物治療、レーザー治療、各種手術治療を行っている。特に視野検査に関しては最新の各種自動視野計や熟練した視能訓練士によるゴールドマン視野計を駆使して早期診断、経過観察を行い、疾患の進行防止に努めている。またOCTを始めとする各種画像解析装置にて詳細な構造的評価を行っている。さらに、緑内障は一生涯疾患と共に過ごす心構えが必要となる慢性疾患であるため、個々の患者の背景に十分気を配り、病状を説明し、個別に適切なアドバイスを行うことが非常に重要と考えている

★網膜硝子体手術も年間350例以上。硝子体手術では25Gシステムによる低侵襲かつ安全な治療を心がけている。網膜剥離に対しては、経強膜的手法、硝子体手術にて対応。特に緊急性を要する症例に対しては、緊急入院の上、直ちに手術を行える体制を整えている。黄斑円孔、黄斑前膜に対しても、視野検査、変視症検査をはじめとする詳細な視機能評価、OCTをはじめとする形態学的評価のもと、硝子体手術にて対応している。糖尿病網膜症に関しても、蛍光眼底検査、網膜電図などの電気生理学的検査ならびに内分泌内科による適切な糖尿病管理のもとで光凝固、硝子体手術を行っている。加齢黄斑変性に関しても各種抗VEGF抗体の硝子体内注、光線力学療法にて対応している

★ぶどう膜外来では、三大ぶどう膜炎とされるサルコイドーシス、ベーチェット病、原田病をはじめとする各種ぶどう膜疾患の診断、治療を行っている。さらに若年性ぶどう膜炎についても積極的に原因検索を試み、腎疾患や膠原病に合併するぶどう膜炎に関して、小児科との連携を保ちながら診療を行っている

★斜視弱視の治療の目的は、視力の向上、眼位の矯正および両眼視機能の獲得にある。当科では医師と8人の視能訓練士が連携して弱視斜視専門外来を担当し、弱視に対して屈折矯正、遮蔽治療を、また小児の斜視や成人の麻痺性斜視に対して、手術とあわせて視能訓練も積極的に行っている

★神経眼科疾患は、近畿大学堺病院中尾雄三教授(専門医)を中心に、脳神経外科、神経内科との密接な連携のうえ診療にあたっている。

医療設備

角膜形状解析装置、各種OCT装置、各種SLO装置、前眼部・後眼部超音波解析装置、各種自動視野計、各種網膜電図装置、前房フレアーセル測定装置、各種レーザー凝固装置、超音波乳化吸引装置、硝子体手術装置など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

患者様を第一に考えて、大学病院ならではの特色ある医療を、あたたかい心をもって行うことを目標としている。皮膚科疾患としては、まず一般的な湿疹・皮膚炎群、じんま疹、足爪白癬やざ瘡などの感染症には、症状に対応した治療方法を選択している。さらに、後述するように11種類の専門外来を開設しており、それぞれに専門の医師を配置している。乾癬やアトピー外来では光線治療を交えた入院治療が特色である。光老化(シミ)・レーザー・女性外来(美容皮膚)ではレーザーなどの最先端医療機器を用意している。比較的難治な白斑・脱毛症に対しては紫外線治療を中心に行っている。皮膚悪性腫瘍や重症薬疹についても積極的に取り組んでおり、地域の病院や開業医師との連携を密接に行っている。膠原病や糖尿病のフットケアなどは当院内科の協力を得て、患者様のQOL(生活の質)向上を図っている。

症例数

1日の平均外来患者数約150人、入院患者数25~30人、年間手術件数は中央手術室で約320例、皮膚科外来で1,200例(生検を含む)である

★専門外来は、乾癬外来、アトピー外来、光老化(シミ)外来、レーザー外来、腫瘍外来、白斑・脱毛症外来、膠原病外来、糖尿病フットケア外来、女性外来(美容皮膚)、男性型脱毛症外来、パッチテスト外来があり、いずれも週1~2回の診療で、約5~10人

★乾癬外来では、症状に応じて外用療法、光線療法(外用PUVA、内服PUVA、ナローバンドUVB)、レチノイド内服、免疫抑制剤内服を行っている。重症の場合は入院治療をする。乾癬患者友の会と連携している

★アトピー外来は、アトピー性皮膚炎の原因検索をし、治療のみならず予防対策の指導も行っている。治療はステロイドや免疫抑制剤の外用、紫外線療法を行い、重症の場合は入院治療によって良好な成績を得ている

★光老化(シミ)外来は、紫外線によって生じる皮膚悪性腫瘍や、色素性病変(シミ)の診断・治療・予防に特化した外来で、大学病院では唯一の専門外来である

★レーザー外来では、母斑や腫瘍に対してレーザー治療を行っている。豊富な臨床経験(年間約1,000例)をもとに、症状に応じたレーザーの種類やパラメーターを選択して治療効果の向上を図っている

★腫瘍外来では、種々の皮膚悪性腫瘍(年間約100例)に対して、診断・治療・経過観察を行っている。特に形成外科的手技を会得した専門医師が高度な手術を行っている

★白斑・脱毛症外来では、尋常性白斑と円形脱毛症の診断と治療を専門的に行っている。病型や症状に応じて、適切な外用療法や紫外線療法を行って治療効果をあげている

★膠原病外来では、皮膚科領域の膠原病の診断と治療に時間をかけている

★糖尿病フットケア外来では、当院代謝内科の協力を得て、糖尿病患者のフットケアに当たっている。特に糖尿病性壊疽、潰瘍、白癬などの治療と予防に力を入れている

★女性外来(美容皮膚)は、女性の専門医師による女性のスキンケアを目的とした外来である。化粧品のトラブル、色素性病変(シミ)、ざ瘡(ニキビ)の診断・治療に特化している

★男性型脱毛症外来では、新規に開発された男性型脱毛症の内服薬を用いて治療に当たっている

★パッチテスト外来は、薬剤アレルギーや接触性皮膚炎の原因検索を行っている。

医療設備

PUVA全身照射装置、NB-UVB全身照射装置、炭酸ガスレーザー、Qスイッチ・ルビーレーザー、Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー、色素レーザー、半導体レーザー、デルマトスコープなどを完備している。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

内分泌・代謝・糖尿病内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

糖尿病、高脂血症、痛風・高尿酸血症などの代謝疾患および甲状腺疾患、副腎疾患、下垂体疾患、性腺機能障害などの内分泌・代謝・糖尿病分野の診療を行っている。糖尿病に関しては、細小血管症および大血管症の進展をできる限り予防するために、正常に近い血糖コントロールを実現することを明確な目標として診療にあたっている。当院通院中の糖尿病患者の約10%が1型糖尿病であるが、自己抗体測定、残存内因性インスリン分泌能の評価、HLAのタイピングの結果などをもとに、1型糖尿病の病態を正確に把握し、適切なインスリン治療を行っている。甲状腺疾患に関しては、自己免疫性甲状腺疾患を有する患者について、他の自己免疫疾患の合併の有無、1型糖尿病の合併の有無を積極的に精査している。また、エコー下吸引細胞診による甲状腺疾患の診断、経皮的エタノール注入療法(PEIT)も行っている。多数の糖尿病専門医・指導医と内分泌代謝科専門医・指導医を擁し、日本糖尿病学会糖尿病研修施設、日本内分泌学会専門医認定教育施設、日本甲状腺学会認定専門医施設および日本肥満学会認定肥満症認定病院に認定されている。

症例数

現在、定期的に通院中の糖尿病患者は約3,000人、甲状腺疾患約2,000人、他の内分泌疾患(下垂体、副腎、副甲状腺疾患など)約500人、高脂血症、痛風など他の代謝疾患を多数診療している。当科では下記の診療を行い、大学病院として高度な診断と治療を実行している

★糖尿病の心血管合併症を30%抑制するための厚生労働省戦略的アウトカム研究(J-/DOIT3)への参画

★膵島自己抗体測定とHLAタイピングを用いた1型糖尿病の診断

★外来でのインスリン導入

糖尿病教育入院の実施=11日間の標準コースと5日間の短期コースを行い、社会的ニーズに応えている

★外来および病棟における管理栄養士による栄養指導

★妊娠糖尿病の厳重な血糖管理

★周術期糖尿病の管理

★糖尿病合併症予防のため強化インスリン療法の積極的導入

★各々の病態に応じた経口糖尿病治療薬の選択

★糖尿病腎症進展予防のためレニン・アンギオテンシン系抑制薬の早期からの使用

★末梢神経伝達速度、心電図R-/R間隔変動測定による糖尿病神経症の診断

★PWV(脈波伝播速度)、ABI(下腿・上腕血圧比)、頸動脈超音波検査を用いた動脈硬化症の診断と早期の予防薬投与

★眼科と連携した糖尿病網膜症の評価と治療

★皮膚科と連携したフットケアの実施

★メタボリック症候群に関する情報提供および診断と治療

★動脈硬化学会ガイドラインに基づいた脂質異常の改善

★副腎疾患など二次性高血圧症の診断と治療

★内分泌試験を駆使した内分泌疾患の正確な診断

★末端肥大症の補助的内科的治療(ソマトスタチンアナログ)

★クッシング病、クッシング症候群の内科的補助療法(ミトタン、トリロスタン)

★成人成長ホルモン欠損症の診断と治療

★バセドウ病のほとんどに抗甲状腺剤治療を行うが、必要に応じ甲状腺ホルモン剤との併用療法を行う

★バセドウ病眼症に対するステロイドパルス療法

★カラードプラ超音波装置を用いた甲状腺機能障害の鑑別診断

★超音波ガイド下針生検による甲状腺腫瘍の診断

★甲状腺嚢胞、腫瘍に対する超音波ガイド下エタノール注入療法

★甲状腺癌の集学的治療(放射性ヨード療法を含む)

★副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍による高カルシウム血症の診断と治療

★多腺性内分泌腺腫症、家族性甲状腺髄様癌の遺伝子診断

★性腺機能障害に対するLH-RH間歇持続療法

★内分泌疾患は手術療法を要するものがあり、内分泌外科、耳鼻咽喉科、脳神経外科および泌尿器科と連携し、最善の治療法を選択している。

医療設備

神経伝達速度測定器、CVR-R測定器、Form ABI、カラードプラ超音波診断装置、CT、MRIなど、詳細は病院ホームページ参照。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

腎臓・膠原病内科

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

関西の膠原病および腎疾患治療センターの一つ。従来、両者は別個の疾患として扱われてきたが、症状、原因、病態生理、治療法に多くの共通点があるため、当科ではそれぞれの専門家が集まって情報を共有し集学的治療にあたる。全身管理を重要視し、合併症(感染症、多臓器不全、播種性血管内凝固症候群、間質性肺炎、肺高血圧症など多彩)を伴う膠原病と、膠原病、糖尿病、心肺疾患などの基礎疾患を持つ腎障害の治療経験が豊富。Quality of Life(生活の質)の向上を目指す医療を心掛ける。膠原病の経過中に妊娠、出産を経験することも多く、産前産後の指導と治療に尽力する。日本リウマチ学会、日本アレルギー学会、日本腎臓学会、日本透析医学会の各認定施設。

症例数

大阪府、和歌山県下のリウマチ・膠原病および腎臓内科・透析医療施設との病診連携を軸に診療を展開

★対象は全身性エリテマトーデス(SLE)(年間症例数 150)、関節リウマチ(200)、多発性筋炎/皮膚筋炎(30)、強皮症(40)、シェーグレン症候群(80)、慢性糸球体腎炎(240)、ネフローゼ症候群(60)、IgA腎症(100)を中心に入院・外来合わせて年間約1,500例、その2割は入院症例。この他に混合性結合組織病(MCTD)、成人スティル病、ベーチェット病、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症、大動脈炎症候群、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病・橋本病)、急性・慢性腎不全、糖尿病性腎症、間質性腎炎等の診断・治療を行っている

★治療面では、種々の先端医療を取入れ、エビデンスを基盤にした治療(EBM)を心掛ける。副腎皮質ステロイド薬ならびに新しい免疫抑制薬、抗リウマチ薬、生物学的製剤の副作用の監視下での使用を推進。また、特殊な治療法である血漿交換療法、免疫吸着療法、白血球除去療法(LCAP・GCAP)による治療も手掛ける。地域医療の一環として医師会の講演会、保健所の医療相談会などにも参加

★主な臨床研究のテーマは ①SLEの腎機能障害の機序の解明と治療法の検討②種々の免疫抑制薬による治療法の検討(メトトレキサート、シクロフォスファミド、シクロスポリン、タクロリムス、ミゾリビンほか)③生物学的製剤(抗TNF-a抗体、TNF-a受容体製剤、抗IL-6受容体抗体)による治療法の検討④新しい免疫調節薬(スタチン、レチノイン酸治験、タミバロテン治験ほか)による治療法の開発⑤膠原病性肺高血圧症の治療法など。

医療設備

血漿交換療法装置、免疫吸着療法装置、白血球除去療法装置、血液透析装置、PET装置(悪性腫瘍、炎症性病変の診断)、CT装置(高感度HRCTを含む)、MRI装置、アイソトープ検査(悪性腫瘍、炎症性病変、骨病変、肺換気・血流異常の診断)、骨密度測定装置、サーモグラフィー(レイノー現象の診断)、心臓・腹部超音波検査機器(弁膜症、肺高血圧症、末梢動静脈血栓症の診断ほか)、負荷心エコー検査、末梢血管エコー検査、指尖脈波測定機器(レイノー現象、閉塞性動脈硬化症の診断)など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

神経内科

分野

神経内科

特色

幅広く神経内科領域の疾患の診断・治療を行っている。ギラン・バレー症候群をはじめとする免疫性神経疾患および末梢神経障害が教授の専門領域である。

症例数

神経内科の年間入院数は約360人である。平均入院期間は約20日。入院患者の診断名は、神経内科領域の多岐にわたっている。最も多いのは脳血管障害であるが、パーキンソン病、パーキンソン病関連疾患、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症などの神経変性疾患、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)などの神経免疫疾患、各種髄膜炎、脳炎にも多数の治療実績がある

★入院診療に関しては、教授回診、症例検討会を通じて、スタッフ一同で討論し、診断・治療方針を検討している。また、他科との連携や様々な職種との連携によるチーム医療の実践にも力を入れている。放射線科とは日常診療でのCT、MRI検査などの迅速な施行だけでなく、症例検討会に放射線科医を招き検討している。同様に脳神経外科とも定期的なカンファレンスを実施している。神経生理検査(末梢神経伝導検査、脳波、聴性誘発電位など)については、中央臨床検査部神経生理部門と連携の上、診断技術の向上に努めている。また、回診・検討会には、リハビリテーション部の作業療法士も参加しており、急性期から理学療法、作業療法にも配慮した治療を行っている

★外来患者は、初診患者数が250~300人/月、再診患者数1,500人/月である。外来患者は、上記入院患者の外来での継続診療のほか、片頭痛、てんかんなどの機能性脳疾患が多い。専門外来としては、ボツリヌス治療外来を設けている。髙田講師が中心となり、眼瞼けいれん症、片側顔面けいれん症、痙性斜頸等の治療に良好な成績を収めている。近年は、Evidence based medicine(EBM:根拠に基づいた医療)の考え方があらゆる医療分野に浸透しており、神経疾患も例外ではない。日本神経学会およびその関連学会でも、各種疾患の診療ガイドラインを提唱している。しかし、大学病院という性格上、数の少ないまれな疾患の治療に当たることも少なくなく、その場合は、ケースごとにきめ細かい対応が必要となる

★急性期脳血管障害では、早期診断に努め、必要に応じて、CT、MRI、MRAなどの画像診断を迅速に行う。脳梗塞の治療では抗血小板薬、抗凝固薬、活性酸素除去薬、抗脳浮腫薬などが中心となる。このほかにも、この領域では、脳神経外科との連携が重要であり、病態に応じては脳神経外科に治療を依頼する場合もある

★パーキンソン病・パーキンソン症候群においては、病初期に確実な診断を行うことが重要である。治療については、できるだけ長期にわたって、患者さんの日常生活が良好(Quality of Life:QOLの維持)に保てるよう、投薬内容の工夫をしている。また、脳神経外科と連携して、深部脳刺激術などの外科的療法による治療も行っている

★ギラン・バレー症候群やCIDPなどの末梢神経疾患では、当科の特色である抗糖脂質抗体の測定により、的確な診断を心がけている。治療面ではガンマグロブリン大量療法や血漿交換療法などを積極的に取り入れている

★多発性硬化症についても、急性期のステロイド治療、再発予防のためのインターフェロン治療などのほか、研究を通じて得た知見を患者さんの治療に生かすべく、鋭意努力している

★筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症などは、残念ながら根治療法のない疾患ではあるが、遺伝子診断を含む正確な診断に留意し、患者さんの希望に応じた医療・介護サービスが受けられるよう努力している。なお、どの疾患においても神経疾患は、地域医療機関との連携が重要で、地域医療連携室やソーシャルワーカーとともに、幅広い病診連携を心がけている。

医療設備

CT、MRI、MRA、SPECT、頸動脈エコー、心エコー、自律神経機能検査(CASS)、脳波、末梢神経伝導検査、針筋電図、誘発電位など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

メンタルヘルス科

分野

精神科

特色

基本的に総合病院精神医学が主であり、外来医療と院内コンサルテーション・リエゾン精神医学に重点をおく。院内他科との協力の下に、身体疾患に基づく精神症状の治療を行う。入院は、一般病床のため自己責任に基づいて入院できる患者を対象とし、非精神病圏の患者を中心とする。院内は全面禁煙である。03年より院内標榜を精神神経科より、メンタルヘルス科に変更している。白川部長は、気分障害(うつ病、躁うつ病)の診断と治療、合理的薬物療法の開発と実践を専門にしている。

症例数

★外来:09年度の初診患者数は1日約5人、再診患者数は1日約120人、専門外来:児童思春期外来(予約のみ)、リエゾン外来(院内向け)など

★入院:ベッド数23床、DPC(包括評価)の適用を受ける。気分障害圏、神経症圏、ストレス関連障害などの患者が多い。薬物療法・環境調整を中心とした治療を行う。他科との連携を重視したリエゾン精神医学の比重も大きい。救命救急センターと連携し自殺企図患者の集中的治療、フォローも行う。一般病床のため精神科救急患者は受け入れていない

外来診療=月~土(土は初診のみ)。初診受付は月~金の午前8時30分~11時30分(紹介状ありの場合)、8時30分~午後2時(紹介状なしの場合)、土曜8時30分~11時。紹介医の予約依頼の連絡と紹介状がある場合は、地域連携室を通じて初診予約が可能である。専門外来と再診は初診医の振り分けにより予約制となる。

医療設備

MRI、CT、PET、SPECT、光トポグラフィ、脳波、各種心理検査など、ほとんどの検査が可能。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

乳腺・内分泌外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

乳腺、甲状腺、副腎疾患を中心に診療を行っている。乳腺外科、放射線科、形成外科、病理、検査技師、看護師が参加した乳腺カンファレンスにて乳癌の治療法を検討し、チーム全体で共通した認識の下にオーダーメイド治療を行っている。また術前・術後に心理調査を行い、心理的介入を必要とする患者に対して心療内科との連携で精神的ケアを含めたチーム医療を実践している。

症例数

08年度手術施行初発乳癌は230例、再発乳癌は13例、乳房温存率は72%。乳房温存適応外症例では術前化学療法を行い、腫瘍縮小効果が認められれば温存手術を、あるいは広範囲乳腺部分切除後に広背筋による乳房再建を行っている。乳房温存施行率だけでなく、症例ごとの温存乳房の整容性を重視している。腫瘍が大きく温存乳房の整容性が危惧される症例では、術前に乳房体積を計測し温存乳房修復に遊離真皮脂肪弁充填を行い、良好な乳房整容性が得られている。MD-CTと超音波検査による腋窩リンパ節評価から、08年度センチネルリンパ節生検は86例(37%)に施行。70歳以上で画像診断にて腋窩リンパ節転移陰性と診断される症例に対して、腋窩リンパ節非郭清を実践している。術後は看護師、薬剤師を交えたチーム医療で、術後治療だけでなく術後ケアも行っている。再発乳癌は患者QOLを重視した治療を標準的治療としているが、再発状況に応じて治癒を目指した積極的な治療も行っている。10年生存率は、I期94%、II期83%である。

医療設備

MMG、US、マンモトーム(X線ガイド下、USガイド下)、CT、MRI、PET、リニアック、ガンマナイフ。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

高度先端総合医療センターPET診断部門

分野

放射線科

特色

当PET(陽電子断層撮影)診断部門は05年10月に近畿大学医学部附属病院構内に開設された。愛称をアタラクシア(Ataraxia、ラテン語で心の安らぎを意味する)と言い、受診される方が寛いで検査を受けられるように、緑や木目を基調に上質な温かい空間を創りあげ、その中にPET-CTをはじめ最新の設備を配置している。医学部附属病院、地域医療機関と緊密に連携をとってPET診療を行い、CT、MRIなど他の画像検査を含めて癌、脳、心臓などの総合的な画像診断を実施している。また数種類のPET検診コースを設定しており、とりわけ1泊2日の総合検診であるVIPコースは受診された方の満足度が高い。検診では結果説明を後日丁寧に実施しており、万が一疾患が見つかった場合は、すぐに医学部附属病院などの医療機関を紹介している。医学部附属病院の中央放射線部では核医学を担当し、形態画像と代謝・機能画像を融合して的確な診断を行っている。

症例数

2009年の癌あるいはその疑いのある方を対象にした診療は3,000件余り。検診・自由診療は500件余りで、自覚症状のない比較的早期の癌が発見され、医学部附属病院や地域医療機関で速やかな治療が実施されている。附属病院中央放射線部では腫瘍、脳、心臓などの核医学検査を年間合計約4,500件実施している。また、ゼヴァリン、ストロンチウム-89のアイソトープ治療も実施している。

医療設備

サイクロトロン、PET薬剤合成装置4台、PET装置2台、PET-CT装置。安静室(待機室)ブース15基、回復室ブース8基、個室1室。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

放射線腫瘍科

分野

放射線科

特色

放射線科は05年から、放射線治療を担当する放射線腫瘍科と、画像診断およびIVRを担当する放射線診断科に分かれた。05年に高精度放射線治療システムが導入され、強度変調放射線療法(IMRT)、脳および体幹部の定位放射線治療、小線源治療、PET-CTシミュレーションなどあらゆる最新放射線治療に対応できるわが国でも有数の放射線治療センターである。日本放射線腫瘍学会認定放射線治療施設、日本医学放射線学会放射線科専門医修練機関。

症例数

08年度には841症例に放射線治療を行った。このうち13例は翼状片などの良性疾患に対する放射線治療であるが、残りはすべて悪性腫瘍である。悪性腫瘍の放射線療法においては、CTシミュレーションあるいはPET-CTシミュレーションを用いた3次元治療計画を行い、高精度放射線療法を行っている。また、64列のMD-CTを用いた呼吸同期治療計画と呼吸同期照射法の4次元放射線治療法の研究も行っている

★強度変調放射線療法(IMRT)は、頭頸部腫瘍、脳腫瘍、頸部食道癌、あるいは前立腺癌などに対して実施している。IMRTでは癌の局所に線量を集中し、周辺の正常組織への線量を少なくし、治療成績の向上と放射線障害の軽減が図れる。近畿大学では00年よりIMRTを開始し、すでに脳腫瘍・頭頸部腫瘍350例以上にIMRTを実施した。IMRTで治療した上咽頭腫瘍31例の5年生存率は半数が4期症例であるにもかかわらず83%と良好であり、多くの症例で唾液腺障害の軽減が達成できている。局所進行頸部食道癌には化学放射線療法にIMRTを併用し、5年生存率35%である。前立腺癌に対しても05年からIMRTを開始し、これまで90例以上に実施した。また、転移性脳腫瘍や早期肺癌に定位放射線治療(ピンポイント照射)を行っている。I期非小細胞肺癌には、48Gy/4回の照射を外来で行っている

小線源治療=体内に放射線同位元素を挿入する小線源治療は、表在食道癌および子宮癌に対しては、192イリジウム高線量率小線源治療装置を用いた腔内照射を、舌癌など頭頸部腫瘍に対しては、組織内照射を行っている。125ヨード前立腺癌永久挿入密封小線源治療は05年より開始し、早期前立腺癌年間30例以上に実施している

★肺癌、食道癌、頭頸部腫瘍の08年度の当科新患数はそれぞれ170例、70例、110例である。この大半の症例に対して化学放射線療法を行っている。特に肺癌、食道癌では全国レベルの多施設臨床試験に積極的に参加している。III期非小細胞肺癌には新しい抗癌剤と放射線療法の併用や、加速過分割照射併用の化学放射線療法を行っている。限局型小細胞肺癌では、加速過分割照射併用の化学放射線療法によって5年生存率25%である。表在食道癌には、化学放射線療法あるいは腔内照射併用放射線療法によって手術成績に匹敵する生存率が得られている。切除不能局所進行食道癌でも化学放射線療法により5年生存率は20%程度である

★乳癌は年間新患数200例で、このうち約120例は乳房温存療法であり、そのほか乳房切除後の症例に対しては胸壁と頸部リンパ節への術後照射を行っている。近畿大学でのI期およびII期乳癌の10年生存率は、それぞれ90%および75%である

★近畿大学医学部放射線腫瘍科の診療実績、研究業績、先進医療の詳細は教室のホームページ(http://www.med.kindai.ac.jp/radio/index.html)に掲載されている。

医療設備

IMRT・定位放射線治療対応リニアック2台、192イリジウム高線量率小線源治療装置、125ヨード前立腺癌永久挿入密封小線源治療装置、CTシミュレーター2台(4列および64列MDCT)、PET-CTシミュレーター、X線シミュレーター、外照射治療計画装置3台、定位放射線治療計画装置、小線源治療計画装置2台など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

腫瘍内科

分野

癌化学療法

特色

癌に対する薬物療法(抗癌剤治療)が急速に進歩し多様化する中、わが国においても欧米と同様にメディカルオンコロジーと呼ばれる癌薬物療法を専門に行う診療科と専門医師の必要性が叫ばれている。この社会的需要に呼応して、現在では多くの大学病院や基幹病院に腫瘍内科あるいは臨床腫瘍科が創設されつつある

★当科は、わが国で最初に開設された本格的な腫瘍内科であり02年に発足した。肺癌、大腸癌、胃癌、食道癌、乳癌、胆管胆嚢癌、膵臓癌、頭頸部癌、原発不明癌など様々な進行固形癌を対象に、EBM(根拠に基づく医療)を掲げ、個々の症例において最良とされる標準的治療法を実施している。実際の治療はがん薬物療法専門医(日本臨床腫瘍学会認定)を中心に腫瘍内科治療カンファレンスにおいて決定される。さらに放射線治療、手術療法が必要とされる症例に関しては腫瘍内科、放射線科、外科、脳神経外科などの合同カンファレンスで検討し、チームとして最良の治療法を提供する体制をとっている

★進行癌治療において最も重要とされるQOL(生活の質)の改善を目指し、04年に開設された通院治療センターで外来通院の抗癌剤治療が行われている。その件数は当科で加療する患者数の増加を反映し、腫瘍内科だけで月約250件、全体で700件以上。同センターでの治療は抗癌剤治療に精通した専門医による副作用管理のもとに行われており、多くの患者さんが日常生活を送りながら治療を受けている

★入院患者については、外科、メンタルヘルス科、麻酔科、ホスピス認定看護師からなるがんライフサポートチーム(緩和ケアチーム)が協力して癌疼痛管理、在宅での介護などについてきめ細かいサポートを行っている

★現在最良とされる抗癌剤治療を提供していくとともに、さらに優れた治療法の開発を目指し多くの臨床試験を実施し、新しい治療法の開発に取り組んでいる。また、未承認の新規抗癌剤の治験を施設の倫理委員会承認のもと、適格症例に関しては十分な説明と患者同意を前提に実施している。

症例数

1日平均外来患者数は約60人、入院数は44~50人で、内訳は肺癌が40%、消化器癌(大腸癌、胃癌、食道癌、膵臓癌)が40%、その他の癌が20%で平均在院日数は14日程度。年間患者数は、肺癌、約250例、消化器癌が約250例、乳癌30例、その他60例である

肺癌=早期肺癌で手術適応となる症例は当院外科で手術し、術後化学療法の適応となる症例に対しては抗癌剤治療を腫瘍内科で施行している。切除不能の進行癌で局所にとどまっているIII期には放射線科と連携し放射線治療と抗癌剤治療との併用療法で根治を目指す。遠隔転移を伴うIV期の肺癌に対してはQOL改善を最重要課題とし、標準的治療とされるプラチナ製剤を含む抗癌剤治療を実施。再発症例に対しても患者さんの全身状態を考慮し抗癌剤治療の可能性を検討する。分子標的治療薬の使用経験も豊富で、イレッサによる治療効果が期待される症例には積極的に投与している

大腸癌=再発遠隔転移を伴う進行・再発大腸癌患者に対しては標準的治療とされるオキザリプラチン、イリノテカン、5FUを中心とした抗癌剤治療およびアバスチン、アービタックスなどを外来通院で実施している

胃癌=進行胃癌に対する初回治療において、TS-1+シスプラチンを中心とした化学療法を実施。再発症例に関してはイリノテカン、ドセタキセル、パクリタキセルなどの抗癌剤投与を検討する

食道癌=切除不能局所進行癌に関しては、放射線科と連携し放射線治療と抗癌剤治療との併用療法にて根治を狙う。遠隔転移を伴う場合は、姑息的放射線治療、5FU、シスプラチンを中心とした抗癌剤治療を行う。その他、乳癌、膵癌、肉腫などには標準的化学療法を実施している。

医療設備

PET、CT、MRI。転移性脳腫瘍、早期肺癌などの定位放射線照射も実施している。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

麻酔科・ペインクリニック

分野

ペインクリニック

特色

患者さん一人ひとりに適した治療を選択することで、個々の自然治癒力を高め、総合的に心身の痛みを緩和して、Quality of Lifeを向上させることを目指している。様々な原因による痛み、シビレ、こり、麻痺などに対しては神経ブロック、薬物の投与が根幹治療となるが、東洋医学的な治療を併用していることが特色である。また、神経内科や整形外科、脳神経外科、精神科などの院内各科との連携による集学的医療に取り組み、治療成績の向上を図っている。近隣の中核病院からの診療依頼も多く、外来担当医による症例検討会を随時行っている。

症例数

年間の新患数は700人。1日の外来患者数は約100人

★主な対象患者は、帯状疱疹による痛み、交感神経系の異常による痛み(複合性局所疼痛症候群)、脳血管障害後の痛み、幻肢痛、種々の血流障害による痛み、がん性疼痛、関節リウマチ、頭痛、三叉神経痛、顔面神経麻痺、顔面けいれん、突発性難聴、耳鳴症、花粉症、網膜動静脈閉塞症、頸肩上肢痛、五十肩、肩こり、腰下肢痛、変形性膝関節痛であり、その他にも自律神経失調症、更年期障害、月経困難症なども扱う

★初診時には、ドラッグチェンジテスト(バルビツレート、ケタミン、リドカイン、モルヒネ、フェントラミンといった薬物)による痛みの成因の検索、心理テストなどを行い、治療方針を決定している

★外来での治療は、痛みを伝える神経や交感神経系の遮断を目的として、種々の神経ブロック療法、トリガーポイント注射を選択することが多い。これらを繰り返して行うことで、局所の血流を改善し、筋肉の緊張異常を和らげて、痛みの原因となる発痛物質を洗い流す。その他、非侵襲的なイオントフォレーシス、SSP治療、レーザー治療も行っている。また、日本東洋医学会研修指定施設であることから鍼灸治療、漢方薬の投与も積極的に行っている。顔面神経麻痺、突発性難聴、花粉症、網膜動脈閉塞症、網膜色素変性症などの耳鼻咽頭科、眼科と関連する疾患に対しては星状神経節ブロックを第一選択としている。治療に抵抗性を示す耳鳴症には、独自に考案した外耳道イオントフォレーシス療法を施行している

★入院による治療では、硬膜外カテーテル留置による持続硬膜外ブロックの施行頻度が高い。その他、X線透視下での神経ブロックの施行件数も多く、特に三叉神経痛に対するガッセリー神経節ブロック、血流障害による痛みでの胸部ないしは腰部交感神経節ブロック、腹部内臓の癌の痛みに対する腹腔神経叢ブロック、頸椎ならびに腰椎椎間板ヘルニアに対する椎間板内加圧注入により良好な治療効果を得ている。なお、最近では、独自に開発したカテーテルによる硬膜外腔からの神経根ブロック(施行時の痛みが軽減される)を行っている

★種々の難治性の痛みに対しては、痛みの伝達経路の中枢である脊髄を電気的に刺激して除痛を図る方法(経皮的植え込み脊髄電気刺激療法:PISCES)を行っており、その施行実績は国内で第一位である。なお、このPISCESは、腰椎多数回手術症例での腰下肢痛、脊髄不全損傷後痛、幻肢痛で有効率が高いことを確認している

★持続硬膜外ブロックのためのアクセスを植え込む手術を積極的に行っているが、これにより患者さん自身が自宅で薬液を追加注入し、継続的に痛みをコントロールすることが可能となる。従って、特に末期癌患者さんに本治療法を施行する意義は大きいと考えている

★さらに、最近話題となっている脳脊髄液減少症に対しては、脳槽シンチグラフィによりリークを確認の上、自己血硬膜外パッチを積極的に行っている。

医療設備

外来の処置ベッド数は15台。入院ベッド数は10床。即時入院は不可能であり、1カ月近く入院をお待ち頂くことがある。外来の治療機器としてはキセノン光線治療器、直線偏光近赤外線治療器、SSP、局所静脈内交感神経遮断用機器、イオントフォレーサー、測定機器ではニューロメーター、サーモグラフィ、発汗計、血流計など。病院内にはPET、MRI、CT、シンチグラフィ、DEXA装置などの設備を有する。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

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