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[患者さんの相談事例] 2010/03/26[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

過剰な治療行為に不信感を覚えました。請求された医療費は妥当なのでしょうか?(38歳・女性)

 小学6年生の息子が、学校の体育の授業中にボールが左手の親指に当たり、腫れあがりました。担任の先生が校医の整形外科医院に連れて行ってくれたところ、X線写真で親指の第一関節が骨折しているとわかりました。そのときは副木で固定し、包帯を巻いて帰ってきました。
 担任の先生から、「校医の先生から午後にお母さんともう一度受診するようにと連絡がありました。保険証を持参して、午後に息子さんと一緒に受診してください」と言われました。私はてっきり医療費の精算と骨折状態の説明だけだろうと思い、息子と医院に向かいました。
 呼ばれて診察室に入ると、校医でもある院長からいきなり「ギプスを巻きますから、型どりしましょう」と言われました。息子は以前にも同じような骨折をしたことがありますが、ギプスなんて大げさな固定はされませんでした。そのことを伝えると、院長は「学校での怪我だから、災害共済給付制度で医療費はみてもらえるんです。だからケチなことを言わず、できることをしておいたらいいんですよ」と言われ、とても嫌な気分になりました。私は別に費用を払うのが惜しくてギプスに疑問を感じたのではなく、日常生活に少しでも支障がないように動きやすい固定の方法がないのだろうかと思っただけなのです。でもそう言うわけにもいかず私が黙ってしまうと、院長は有無を言わせず型をとり、ギプスを巻いてしまいました。
 私は院長の強引なやり方に納得がいかず、別の病院にかわりたいのでX線写真を貸してもらいたいと申し出ました。すると、「じゃあ、紹介状を書きます。ただ、ウチはX線写真の貸し出しはしていないので、複製したものを買い取っていただきます。1枚1,200円支払ってください」と言われ、唖然としてしまいました。午前と午後2回の医療費とX線写真の買い取り料を合わせると5千円を超える請求で、なぜこんなに高いのだろうと疑問を覚えました。
 その日のうちに近くの病院の整形外科に息子を連れて行くと、「応急手当で使った副木で十分固定できるから、ギプスは外しましょう。動きにくいし、不潔になりますから」とギプスを取ってくれました。
 私は校医の院長に強い不信感を抱いています。請求された医療費も疑問なので、妥当かどうか調べてもらえますか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、制度で医療費がカバーされるからと、過剰な治療行為をされたのでは、納得いかない気持ちになるのは当然だと思います。疑問をそのままにせず、すぐに別の医療機関を受診したことで、動きやすい固定に変更することができてよかったと思います。ただ、後から受診した病院の医療費まで、災害共済給付制度で給付がおりるのかどうかは、確認が必要です。
 医療費の請求が高いと感じたとき、その明細について理解できないと不信感は高まるばかりです。この相談者には、支払った費用の領収書をCOMLにFAX送信してもらい、内訳を調べました。別の病院を受診すると申し出てX線写真を希望した際、院長が頼みもしないのに紹介状を書いたそうなのですが、それも“診療情報提供料”として請求されていて、相談者は「それも費用に入っていたのですか!?」と心外な様子でした。ただ、医療費のしくみなどを説明したところ、相談者は「校医に対する不信感は消えませんが、請求された費用の明細がわかったことで少し気持ちの整理ができました。紹介状も医療費として請求されていると知って驚きましたが、今後は医療費の明細にも注意を払いたいと思います」と述べて電話が切られました。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 やはり、制度の話を持ち出して「できることをすればいい」とか、「ケチなことを言わず」などという発言は、患者側に対して失礼なことだと思います。
 また、X線などの画像に関しては、一般的にも貸し出されることが多いだけに、複製の買い取りを強要されれば違和感も抱くでしょう。それに、医療費が災害共済給付制度でおりるからいいだろうとギプスを巻かれるのも医療費のムダづかい(四肢ギプス包帯手指及び手足片側490点・1点=10円)と受け取れます。
 患者側のコスト意識も高まってきているだけに、このような院長の態度は不信感を招きかねないと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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