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[患者さんの相談事例] 2010/07/02[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

今になって最初に言ったはずの治療内容を翻されるのは、納得できません。(42歳・女性)

 私には16歳と14歳の娘がいるのですが、歯並びが悪くて、5年前に矯正歯科を受診しました。じつは、私自身も矯正治療を受けた経験があるのですが、私の場合は数本の歯を抜いて歯並びを整えたのです。何の異常もない歯を抜いたことをとても後悔していて、娘たちには同じ思いをさせたくありませんでした。
 そこで、5年前に矯正歯科を受診した際に、「娘たちには抜歯せずに矯正していただきたいのですが」と歯科医に頼みました。すると、「診察しましたが、お二人とも抜歯せずに矯正が可能ですよ」と言われました。一番気になっていたことだったので、何度も抜歯しなくていいことを確認し、総額70万円ずつという費用を、前払いで1人40万円ずつ支払いました。その後、上の娘は受験と重なって、思うように受診できなかった時期もあったのですが、ずっと通い続けてきました。
 ところが先日、歯科医に説明があると呼ばれて行くと、「お二人とも同じ状況なので、上下2本ずつ抜歯して歯並びを調整しようと思います」と言われたのです。私が「あれだけ抜歯しないで矯正可能かどうか確認したのに、抜歯するとはどういうことですか!?」と聞くと、歯科医は「抜歯しないで矯正なんて、そんなこと言うはずないじゃないですか!!」と怒り出しました。そして「このまま抜かずにどうやって治療しろと言うのですか!」と怒鳴って逆ギレされてしまったのです。
 私が「抜歯しないのは一番の条件だったので、それならもう治療は結構です。お支払いした80万円のなかで、未治療分の費用を返してください」と言うと、「お金は一切返せません!!」と怒鳴られてしまいました。あれだけ確認したことなのに、いまになって言葉を翻したうえに怒鳴り散らすなんて、どうしても納得がいきません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ご自身が同じ治療を受け、つらい思いを経験しているだけに、「抜歯しないで矯正治療を受けさせたい」という親心だったのでしょう。それだけに、歯科医に確認し、「抜歯せずに矯正可能」と言われたことを明確に記憶されていたのだと思います。しかし、契約書のように矯正治療の条件を文書で交わしたわけでないとすれば、納得がいかないでしょうけれど、いまとなっては「言った」「言わない」の水掛け論になってしまいます。
 抜歯しないで矯正していく予定が、治療をしても思うように矯正できなかったのか、最初の抜歯しない想定が甘かったのかはわかりません。ただ、歯科医に対して不信感が芽生えてしまった以上、治療を継続するのも難しい状況のように思えました。
 途中で治療を中断する際の医療費のトラブルは少なくありません。しかし、個人的な契約なので、直接歯科医と交渉するしかありません。できれば冷静にもう一度話し合い、歯科医がどのような治療過程を方針として立てていたのか説明を受け、1人40万円の内訳の明細を明らかにしてもらうように交渉してみてはどうでしょうか。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 「抜歯せずに矯正」という患者側の希望を当初の治療方針としてカルテに書きとめていなかったのでしょうか。もし、途中で「これは抜歯しないで矯正することは無理だ」と判断したのであれば、理由とともに正直に説明して、今後の治療法を相談する姿勢が大切だと思います。
 また、患者側に苦情を訴えられたとしても、感情的になって怒鳴るのは得策とは思えません。冷静に、きちんと向き合って、できる限りの説明をする対応が不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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