患者相談事例‐25「継続してかかっているのに、なぜ初診料を請求されるの?」
[患者さんの相談事例] 2010/09/24[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
継続的な診察だったのに、初診扱いになっていたなんて、納得できません。(45歳・女性)
私はアレルギー性鼻炎のため、職場の近くにある耳鼻咽喉科クリニックに通院しています。ずっと点鼻薬を出してもらっているのですが、ドクターから「症状が落ち着いていたら、朝晩の点鼻を1回に減らすなど、自分で調整してもいいですよ」と言われていました。そこで、今年の春は鼻炎が軽かったので、1日1回の点鼻で過ごすことができました。
点鼻回数を減らしたため、1回の受診で5本処方してもらっている点鼻薬がなくなったのは、前回の受診から4~5か月経ったころでした。そのクリニックは夜8時まで診察しているので、仕事を終えた7時ごろ、クリニックに行きました。いつものように診察券と保険証を受付に提出したところ、「前回の受診から少し期間が経ちましたので、今日の症状をお書きください」と用紙を渡されました。点鼻薬を出してもらいにきただけだったので、症状と言われても困ったのですが、「時折、鼻の粘膜がかゆくなる」と書いて提出しました。
診察室では、ドクターから「その後、お変わりないですか?」と聞かれて、いつものように診察があり、いつものように5本の点鼻薬を出してくださることになりました。
そして、会計を済ませたのですが、そのとき「医療費の明細書を発行できますが、ご入り用ですか?」と聞かれました。医療費の明細なんて見たこともなかったので、関心が湧き受け取ってきました。領収証と一緒に手渡された明細書を帰宅してからじっくり見てみたのですが、何と初診料が請求されていたのです。明らかに継続的な診察だったのに、初診扱いになっていたなんて、納得できません。それに、「夜間・早朝等加算」という50点の請求もあり、時間内に行っているのに、なぜこんな請求をされないといけないのでしょうか? 雰囲気がいいクリニックで、遅くまでやっているから気に入っていたのに、急に「金儲け主義なのだろうか」と不信感を覚え始めました。このようなクリニックはかえたほうがいいのでしょうか。

何の説明もなければ、「継続してかかっているのに、なぜ初診料を請求されるの?」と不審に思われたお気持ちはわかります。しかし、そのクリニックは金儲け主義でも、不正請求でもありません。厚生労働省は、患者さんが任意に診療を中止した場合、同じ病気や同じ症状でかかっても1ヵ月以上経過していれば初診料を請求しても構わないと定めています。ただ、慢性疾患で明らかに同一の病気と推定される場合は、再診扱いになります。
このようなきまりを受けて、数ヵ月後に予約を入れている場合は、慢性疾患で通っているとみなして再診扱いにし、予約がなく3ヵ月以上経過していれば初診とみなす医療機関が一般的のようです。
また、“夜間・早朝等加算”は2008年に導入された診療報酬点数で、18時以降や早朝8時以前に通常の診療をおこなっているクリニックにかかった場合、受付時間が18時以降(8時まで)であれば50点加算されます。これは、病院の夜間救急外来などに患者が殺到するのを防ぐため、夕方以降もクリニックが通常の診察をした場合に認められている点数なのです。18時以降に診察が始まっても、受付を18時までに済ませれば加算されることがありません。
医療費の明細書が発行されるようになり、これまで抱かなかった疑問もわいてしまうことがあるかもしれません。しかし、自分の払っている医療費の中身を知るいい機会なので、しっかりと見て、疑問点は質問して解消することが大切です。

医療費の明細書が発行されるようになって、COMLに届く医療費の相談も増えつつあります。その多くは、見たこともない項目に「いったい何の費用が請求されているのか?」との疑問です。医療費の明細書の発行とともに、患者が疑問点を気軽に質問できるような雰囲気づくりや取り組みが欠かせないと思います。
この相談者の場合は、受付の段階で症状を書いてもらった際、「前回の診察から○ヵ月経過したので、今日は初診扱いにさせていただきます。1ヵ月以上空けば初診扱いにできるのですが、当院では、間が△ヵ月以上空いた場合は、初診とみなすことにさせていただいているのです」といった言葉が添えられていれば、医療費の明細書を見ても不信感は抱かなかったと思います。医療機関側にとっての“当たり前”は、患者の当たり前にはなりません。ひとこと添える配慮が必要だと思います。
この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・

NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
- この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。