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[患者さんの相談事例] 2010/12/17[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

これまで認知症なんて他人事だと思っていただけに、とても受け入れられないのですが…。(66歳・女性)

 自営業の夫は、65歳を過ぎた昨年から物忘れがひどくなり、自分で認知症ではないかと疑うようになりました。1年前に自ら望んでかかりつけのクリニックの院長に検査してもらったのですが、異常はないと診断されました。
 しかし、最近になって専門外の仕事を引き受けたことでパニックになり、ちょっとしたミスも認知症だからではないかと疑うようになりました。そのうえ、後頭部に痛みを感じるらしく、「去年より物忘れがひどくなっている。いよいよ本格的に認知症になってきているのではないか」と言います。そして昨日、今度は別の内科医院を受診しました。
 医院では、3つの単語を聞いて覚えておくように言われ、途中で別の会話を交わした後に、しばらく経って覚えた単語を聞かれたようです。ところが、夫は3つの内、2つしか思い出せなかったらしいのです。それ以外にどのような検査をしたのか夫は言わないのですが、「先生から『もしかしたら認知症になっているかもしれません。MRIを撮れる病院を紹介するから、脳の状態を見てみましょう。結果を説明するときは、奥さんと一緒に来てください』と言われた」とだけ言って、落ち込んだ様子で話そうとしません。
 検査は2週間後で、その翌日が説明だそうです。夫を見ていても、年齢に伴う物忘れ程度で、とても認知症だなんて思えません。これまで認知症なんて他人事だと思っていただけに、とても受け入れられないのですが……。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 まだ認知症と診断されたわけではなく、奥様はどのような検査がおこなわれたのかも具体的にわからないようでした。ドクターの「もしかしたら認知症になっているかもしれない」という言葉に、ご夫婦ともに落ち込んでしまったのでしょう。不安な気持ちになられるのは当然のことだと思います。
 ただ、まだ結果が出たわけではありません。いまは、結果を聞くときのために、準備をすることが大切です。たとえば、どんな検査をおこなって、その結果はどうだったのか。もし仮に認知症だと診断されたとしても、どういうタイプで、程度はどのぐらいなのか。また、治療方法としてはどのような方法があるのかなど、確認したいことをメモに書き出しておきましょう。メモを作るときは余白をたっぷり取っておくと、ドクターから聞いた内容を書き込むことができます。後から確認できるように、ドクターの説明内容は書き留めることをお勧めします。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 病気かもしれないと言われたとき、検査の結果が出るまでの間ほど患者・家族にとって不安な時期はありません。もちろん、気休めの言葉がほしいわけではありませんが、結果を待つ患者さんに十分配慮した言葉かけは必要だと思います。
 さらに、説明のときは、口頭だけでは理解につながらないことも多々あります。とくに、病気だと事実を知らされたときは、その後の説明が記憶にとどまらなくなりがちです。可能な範囲で文書を利用した説明の努力などをしていただければと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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