患者相談事例‐39「何の説明もなく診察に同席した女性、その態度がとても気になります」
[患者さんの相談事例] 2011/04/15[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
態度の悪い同席者、反省して謝ってもらわないと気が済みません。(41歳・男性)
40歳の妻は、骨盤の奥深くに良性腫瘍ができています。かなり強い痛みがあり、日常はほとんど寝たきりで、トイレにも這って行くような状態です。小学生以下の子どもが3人いるのですが、家事がまったくできないことをいつも嘆いています。2年前からある病院の整形外科にかかっているのですが、主治医からは「腫瘍の部位から考えて、手術をすれば間違いなく神経を触ることになります。そうすると、麻痺やしびれが残ってしまうので、手術をするのは難しいのです。何とか薬で痛みを緩和していくしかありません」と言われています。さまざまな薬を試してくださったのですが、なかなか痛みのコントロールができません。そこで、大学病院の麻酔科のペインクリニックを紹介され、有効な方法を相談するように言われました。
妻を伴って、先日、大学病院に行ってきました。麻酔科の診察室に入っていくと、担当医の後ろに、白衣を着た女性が座っていました。誰だろうと気になったのですが、名札もつけていなかったので、ドクターかどうかもわかりませんでした。
担当医はまず紹介状を丹念に読み、妻を診察してくれました。そして、持参したMRIやPETの画像を見て、詳しい説明が始まりました。ところが、担当医の後ろにいる女性が生あくびを繰り返したかと思うと、踏ん反り返るような姿勢になり、居眠りを始めたのです。その態度が気になって、担当医の説明が頭に入りませんでした。しかし、担当医は女性の態度に気づいていないようで、淡々と説明が続きました。
私も妻も、その女性の態度に気分が悪くなりました。学生や研修医が勉強のために同席しているのならメモでもとると思うのですが、ペンもノートも持っていませんでした。とても失礼なその態度に、妻は「もうあんな病院には二度と行きたくない」と憤っています。担当医は詳しく説明してくれましたが、これまで出してもらっている薬と同じ薬の提示しかなかったので、それならいままでお世話になった病院で出してもらうことができます。私も妻と同様、二度と大学病院に妻を受診させるつもりはありません。
ただ、その女性がどういう立場なのかが気になることと、自分の態度を反省して謝ってもらわないと気が済みません。どうしたらいいのでしょうか。

病院では、学生や研修医などが勉強のために診察室に同席することがあります。本来、そのような場合、同席について患者の同意を得たうえで、きちんと紹介するのが礼儀だと思います。しかし、実際には同意はおろか、紹介すらない医療機関が少なくないのです。それだけでも問題だと思いますが、このように態度の悪い同席は言語道断だと思います。また最近は、治験などを受ける場合は、治験コーディネーター(CRC)が診察時に同席することもあります。薬剤師や看護師が兼務している場合が多いので、自己紹介や役割の説明がなければ、患者にとってその存在は不可解だと思います。
勇気が必要なことですが、診察するドクターや介助する看護師以外のスタッフが同席していれば、「こちらはどなたですか?」と一言尋ねてみてはどうでしょうか。また、診察内容や症状によっては、同席に拒否感が生じることもあるでしょう。そのようなときは、思い切って断ることも大切です。後々トラウマとして残るよりは、その場で勇気を出すほうが身のためだと思います。

今回の相談は、たまたま大学病院でのできごとでしたが、最近は地域医療の研修で研修医が開業医のもとに出向くこともありますので、どこででも起きる問題だと思います。やはり、学生や研修医を診察の場に同席させるときは、「同席が嫌な場合は断っていい」ことを前提にして患者の同意を得、診察室ではきちんと紹介することが最低限のマナーだと思います。
この相談者の場合は、後日、同席していた白衣の女性は大学病院に異動してきたばかりの麻酔科医であることがわかりました。自分の外来患者がいなかったので、先輩の診察場面を勉強のために見ようと同席したらしいのです。それならば、その旨断り、緊張感を持って勉強してもらいたいものです。疲れていたり、眠気があったりするならば、自ら退席して失礼のないようにするのが当然の判断ではないでしょうか。
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NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
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