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[患者さんの相談事例] 2011/06/03[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

検査のために入院し、急変して亡くなった父、しっかりとした説明が欲しいです。(39歳・女性)

 67歳の父は、たまたま受けた健康診断で便に血液が混じっているとわかり、大腸ファイバー(内視鏡)検査を受けるように勧められました。念のために前日から入院し、翌日検査の予定でした。
 私にとって最愛の父なので、便に血液が混じっていると聞いて、私は不安で仕方ありませんでした。そこで、ドクターに頼んで、一晩付き添うことにしたのです。ところが、夜10時過ぎにナースから「お父さんは大部屋ですし、検査入院ぐらいで泊まりこんでもらっては困ります。ほかの患者さんにも迷惑なので、帰ってください」と言われたのです。そこで、仕方なく帰宅しました。
 ところが翌朝、7時ごろに病院から電話があり、「お父さんが危篤なので、すぐに来てください」と言われました。驚いて病院に駆けつけると、父は心肺停止状態ということで、心臓マッサージを受けていました。ドクターは「30分間心臓マッサージをしても蘇生しない場合は死亡とみなします」とすでに諦めムードでした。私は「何とか生き返らせてください」と必死で頼んだのですが、10分ほどすると、「もう蘇生は無理だと思います。残念ですが、諦めてください」と言われました。それでもなお、「お願いです! マッサージを続けてください。父を生き返らせてください」と頼み込みました。すると、少し離れたところで見ていたナースが別のナースに向かって、「いい加減、しつこいね」と言っているのが聞こえたのです。その言葉に、私は「この病院はまったく信頼できない」ととても腹立たしい思いになりました。結局、父はそのまま亡くなってしまいました。
 検査のために入院しただけなのに、なぜ死亡しないといけないのか、私はまったく納得できませんでした。そこで、検査入院した病院に説明を求めたのです。しかし、担当者として出てきた医事課の職員にはまったく誠実さが見られず、詳細な説明もありません。どのような状態で急変したのか、誰が発見したのか、何もわからないのです。どうすれば事実を知ることができるのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、この状況で急変して亡くなられ、ドクターやナースから何の説明もないのでは、納得できないお気持ちになられるのも当然だと思います。また、急変に動揺し、「何とか生き返ってほしい」と願う家族の気持ちに対して、聞こえよがしに言った「いい加減、しつこいね」というナースの言葉は、あまりにも配慮がないように思いました。
 どこまで詳細な記録が残っているのかわかりませんが、説明を求めても対応してもらえないのであれば、カルテや看護記録の開示を求めて状況を把握するしかありません。また、その記録を第三者の専門家に見てもらい、何が起こったのか検証してもらうとすれば弁護士に依頼する必要も出てきます。まずは、経済的、時間的なエネルギーをどこまでかけて、どのような手段を用いるか、お気持ちを整理してみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 「いい加減、しつこいね」と言ったナースは、もしかしたら、検査入院に一晩付き添いたいと申し出ていた娘さんへの批判的な気持ちがあったのかもしれません。しかし、それでも言っていいことと、悪いことがあることは、状況を考えれば明らかだと思います。
 この方のように、大腸ファイバーのための検査入院で亡くなられた場合、家族が「何が起こったのかを知りたい」と思うのは当然の気持ちだと思います。やはり病院からわかる範囲で誠実に状況を説明し、精一杯真摯に対応する態度が不可欠です。また、このような急変で、病院としても原因をはかりかねる場合はその旨を伝えて、原因を追究するための手段(解剖など)を提案することも大切だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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