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[患者さんの相談事例] 2011/06/17[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

急性中耳炎の処置中に症状が急変しました。ドクターの判断に疑問が残ります。(35歳・女性)

 生後10ヵ月の次女が、3日前、火がついたかのように泣き、いつもとは様子が違いました。しばらくすると、左耳から膿のような耳だれが出てきて、熱も38度近くありました。驚いてすぐに近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診したところ、急性中耳炎と診断され、「耳の奥に膿がたまっていて、鼓膜を押して膨らんでいます。鼓膜を切開して膿を出しましょう。小さなお子さんの場合、切開しても炎症が治まれば穴はすぐに閉じるからだいじょうぶです」と説明されました。そして、その日の午後に処置を受けることになったのです。
 ドクターは左耳の鼓膜を切開する処置をした後、「ちょっと血の止まり具合が悪いなぁ」とひとりごとのように言っていました。私が心配していると、「右耳の耳垢もひどいですね。左耳の止血を待っている間に、右耳の処置もしておきましょう」と治療を始めた途端、付き添っていた看護師が「先生、この子、心停止しています!」と叫んだのです。その言葉に私は動転して、その後のことをよく覚えていないのですが、ともかく処置室が騒然とし、すぐに救急車が呼ばれて、近くの市民病院に搬送されました。2日経ったいまも、次女は集中治療室で治療を受けていて、蘇生はできたけれど、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こしていると言われています。
 救急車に同乗してくれたクリニックのドクターは、病院に到着して蘇生できたことを確認すると、私に「おそらく複雑な原因が重なったのだと思います。処置に使用した薬物が原因とは考えられません」と言いました。病院のドクターは「いまの段階で原因を特定することはできないので……」と慎重に言葉を濁します。
 私は、処置中に起きた急変なので、やはり何か治療が影響して心停止になったのではないかと思うのです。鼓膜を切開したあと、血が止まりにくいとつぶやいていたことも気になります。そもそも、生後10ヵ月の小さな子どもに対して、一度に両耳の処置をしようとしたこと自体、問題なのではないでしょうか。もっと慎重に、片耳ずつ治療をしてくれていれば、こんな事態にならなかったのではないかと納得できない気持ちでいっぱいです。それだけに、クリニックのドクターの言葉は言い逃れのように聞こえてなりませんでした。
 病院のドクターからは、「蘇生はできたけれど、心臓が止まっていた影響がどれぐらい残るかは、まだ何とも言えません。いまはまず肺炎を治めることに全力を尽くしますが、小さな子どもさんだけに、予断を許しません」と言われています。もし、障害が残ったり、いのちを落としたりするようなことがあれば、悔やんでも悔やみきれません。この先、何かあったときのために、どのようなことができるか知っておきたいのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 急性中耳炎の処置を受けている最中に心停止するなんて、どれほど驚き、ショックを受けられたことでしょう。いまなお集中治療室で予断を許さない状態だと聞かされれば、心配で胸が引き裂かれるような気持ちだと思います。ともかくいまは、治療が功を奏して回復することを祈るよりほかありません。
 今後のことについては、ある程度の結果が出てからでないと動きようがないと思いますが、まずは病院のドクターから経過や治療方法、検査結果などの説明を詳しく受けて、それをメモに残しておくことが大切だと思います。
 ただ、生後10ヵ月の子どもの両耳を同時に処置したことや、そのときの方法が妥当だったかどうかについては、お子さんのカルテや検査結果などの記録を第三者の専門医に見てもらって意見を求め、検証することが必要になってきます。そのためには、一般的に弁護士を仲介する必要があるため、経済的な負担も生じます。また、検証したからといって、必ず明確な原因が判明するわけでもありません。
 一方、法的解決をまったく考えないのであれば、耳鼻咽喉科クリニックのドクターと直接話し合うという方法も考えられます。ただし、クリニックのドクターが話し合いを拒否したり、「責任は一切ない」と非を認めない場合も考えられます。それだけに、どのような方法を選択するのか、ご家族でじっくり話し合うことが大切だと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 “急変”というのは、医療者にとっても予想外で、何が原因なのかわからないことが多いと思います。それなのに、救急搬送した段階で「複雑な原因が重なった。処置に使用した薬剤が原因ではない」と説明するのは、責任逃れのように患者側には聞こえてしまい、不信感の原因になりがちだと思います。
 やはり、わからないことはわからないと伝え、ともに心配しつつ、一緒に原因が判明するのを待つという真摯な姿勢が必要ではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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