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[患者さんの相談事例] 2011/08/26[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

間違った治療行為をしておきながら、4,000円ぐらいの返金をしぶるなんて信じられません。(37歳・女性)

 夫が蒸し暑い車庫のなかで作業をしていて気分が悪くなり、39度の高熱を出してぐったりしたので、近くの内科医院を受診しました。熱中症と診断され、「Mという名前の解熱剤の注射を打っておきます」と言われました。すると、注射を打って間もなく、夫の顔面が蒼白になり、呼吸まで苦しそうになりました。ドクターは慌てて血圧を測り、「大変だ、血圧も低下している! すぐに救急車で病院に運びます」と叫んで救急車を呼びました。そして、私が救急車に同乗して、夫を病院に運んだのです。
 運び込まれた病院では、すぐに診察がおこなわれました。そして、夫の腕に注射の痕があるのを見て、ドクターから「何の注射を受けましたか?」と聞かれました。私は覚えていたMという薬の名前をドクターに伝えると、ドクターは意外そうな表情で「Mですか? 熱中症で使う薬ではないんですが……。おそらくMを打ったことで、ショック状態になったのだと思います。Mは比較的ショックを起こしやすい薬なんです。どうしても必要な方に注射して、ショックが起きるのは予想できないから仕方ないのですが、熱中症で使ったというのは誤った対応だと思います」と言われました。ただ、病院で迅速に治療してもらったお陰で、夫は数日の入院で済むと言われ、ホッとしました。
 夫がだいじょうぶとわかって安堵し、ようやく落ち着いて考えることができるようになりました。すると、ドクターから「誤った対応」と聞かされた内科医院の治療に対して、納得いかない気持ちが高まってきました。それに、慌てて救急車を呼んだ緊急事態にもかかわらず、受付のスタッフからは約4,000円の医療費を請求され、救急車を待つ間に支払ったのです。
 納得できない気持ちになった私は、内科医院に行って「病院のドクターから、熱中症でMという注射を使うのは誤った対応だと聞かされました。とても納得いかないので、せめてお支払いした4,000円は返してください」と訴えました。すると、ドクターは居直るような態度になり、「医療費を返してほしいのなら、裁判にでも訴えたらどうですか? そうすれば賠償保険もおりるので、返してあげますよ」と言われたのです。4,000円ほどのことで裁判を起こせなんて……。 お願いする弁護士費用のほうが高くなるに決まっています。間違った治療行為をしておきながら、4,000円ぐらいの返金をしぶるなんて信じられません。考えてみれば、病院の入院費も内科医院で支払ってほしいと要求してもいいぐらいですよね。どうすればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、4,000円の費用をめぐって裁判を起こすというのは非現実的でしょう。「4,000円ぐらいの返金をしぶるなんて……」というお気持ちもわかります。
 ただ、考えてみれば、突然「あなたの対応は誤っていた。返金してほしい」と言われたことで、ドクターも動揺し、思わず居直ってしまったのかもしれません。それだけに、もう一度「冷静に話し合いたい」と持ちかけ、なぜMという薬を使ったのか、そのことが誤った対応という病院のドクターの意見についてどう思うのかなど意見を聞いたうえで、話し合ってみるのも一つの方法ではないでしょうか。もし、内科医院のドクターが薬の判断を誤ったと認めたのなら、入院費についても交渉してみることはできるかもしれません。いずれにしても、一方的に責める態度ではなく、冷静に、相手の話にも耳を傾ける姿勢で交渉することが大切だと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 熱中症にMという薬を注射したことについては、私たちCOMLに正誤の判断ができる問題ではありません。ただ、相談をお聴きしている限りでは、内科医院のドクターの態度は、たしかに誠実さが感じられませんでした。
 また、何か考えがあってMという薬を使ったのなら、それをきちんと説明する姿勢が大切だと思います。しかし、もし不適切な薬の選択だったのなら、真摯に非を認めて詫びることも必要ではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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