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[患者さんの相談事例] 2011/09/30[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

卵子の凍結保存延長の返答せず放置してしまいました。その後来た凍結保存料金は払うべきでしょうか?(42歳・女性)

 私は28歳で結婚したのですが、なかなか子どもに恵まれず、8年前から不妊治療を受けていました。そして5年前、体外受精に備えて、不妊治療を受けていたクリニックで卵子の凍結保存をしました。ところが3年前に乳がんが見つかり、「もしかしたら、不妊治療で受けていたホルモン注射が原因ではないだろうか」と不安になって、不妊治療は中断しました。
 乳がんの手術を受けた半年後、不妊治療のクリニックから「凍結中の卵子をどうしますか?」という問い合わせの手紙が届きました。年間維持費が3万円とあったのですが、判断がつきかね、また乳がんのことで頭がいっぱいでそれどころじゃなかったこともあり、何の返事もしないまま放置してしまいました。私が不妊治療を受けていたと知った乳がんの主治医から、「妊娠すると乳がんには悪影響を及ぼす可能性が高いので、お勧めはできない」と言われたことも、不妊治療への関心が低くなった理由でした。
 そうしたところ、先日、クリニックからまた手紙が届いたのです。そこには、2年間の凍結保存料金として6万円と、今後の凍結希望の場合はさらに3万円と書かれていました。その間、何の連絡もなかったのに、勝手に凍結保存して費用を請求するなんて、納得できません。
 改めて凍結保存をしたときの書類を見ると、「契約期間から90日経過しても患者からの連絡がない場合や、年齢等で妊娠は不可能であると医師が判断した場合は破棄する」と書かれていました。私の場合も、契約を継続すると言っていないわけですから、90日で契約は切れているのだと思います。このまま連絡せず、放置しておいてもだいじょうぶでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに乳がんを発症し、治療中であれば、そのことで頭がいっぱいになっていても仕方がないかもしれません。しかし、落ち着いた段階で、「乳がんになったので、妊娠することは望ましくないと言われている」とクリニックに伝え、凍結保存している卵子の破棄など意思表示することは必要だったでしょう。それだけに、今回はできれば放置せず、クリニックと連絡をとって契約期間から90日経過しているので、契約が切れていることにならないか確認したり、事情を説明したりすることが必要ではないかと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 不妊治療は非常に高額な費用が発生するだけに、費用についての事前説明や一貫したシステムが欠かせないと思います。また、手紙を送って何の連絡もない患者に対しては電話で確認するなど、きめ細やかな対応が必要ではないでしょうか。
 とくに、この相談者のように、連絡があったときに病気を抱えていたりすると、判断に迷う場合もあると思います。自分からは迷ってアプローチできない場合でも、クリニックから連絡があれば「じつは乳がんで……」と打ち明けることもできたでしょう。手紙だけの連絡だと「届いていない」「送ったはず」と水掛け論に発展することもあるだけに、金銭が絡む問題は丁寧な対応が望まれると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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