[患者さんの相談事例] 2012/03/16[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

インフルエンザが心配なので追加で検査をお願いしたら、なぜか院長に怒られました。怒られるような行為でしょうか?(42歳・女性)

 1週間ぐらい前から咳が出て、時折息苦しさを感じるようになりました。以前から喘息発作が出ることがあり、息苦しさを覚えたときのために吸入薬出してもらっているのですが、使用してみてもすっきりしないので様子を見ていました。
 ところが次第に熱っぽく感じるようになり、体温を測ると37.2度でした。私の周りでインフルエンザが流行し、テレビでも「肺炎に注意!」という特集をやっていたのを見て心配になり、受診することにしました。喘息でかかっている病院のドクターとは曜日が合わなかったので、昨日の夕方、近くのクリニックに行きました。
 家事を済ませてから行ったので、私が受付を済ませたのは診療時間が終了する少し前でした。診察室に入り、「私は喘息があるのですが、以前、インフルエンザになったときに苦しい思いをしたので、早めに受診しました。咳も続くので、肺炎が心配なのです」と伝えました。すると、院長が怒り出し、「熱が37度ちょっとしかない微熱で、インフルエンザの検査をしたって意味がないじゃないか。こんな時間に来て、もう担当のスタッフもいないから、そもそも検査なんてできない。ほかにかかりつけ医がいるんだろう? なぜ、そこへ行かない。胸のレントゲンにしても、以前撮影した写真と比べないと意味がない!」とまくしたてるように言われました。そんなに私の行動が間違っていたのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 インフルエンザや肺炎を心配して受診したのに、いきなり怒鳴られたのでは、戸惑われたでしょうし、嫌な思いをなさったことと思います。
 なぜ、クリニックの院長が怒り出したのかはわかりませんが、もしかしたら患者のほうから「インフルエンザ」や「肺炎」と具体的な病気を指定し、それを調べるように指示してきたと受け止めたのかもしれません。最近は、若いドクターを中心に、患者の要望を聞くという教育がなされています。しかし、「どんな検査や治療が必要かを考えるのは医師の仕事だ」という思いが強いドクターの場合、その専門領域に患者が踏み込んでくることを快く思わないのだと思います。
 たしかに、症状から考えられる病気のなかには、専門家ではない患者には考えが及ばないものもあると思います。それだけに、受診した際は、まず具体的な自覚症状と経過、心配なことを伝え、よく相談する姿勢が大切です。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 診療時間ギリギリに受診し、インフルエンザらしき症状もないのに検査をしてくれと頼まれ、カチンときたのかもしれません。もし、そうだとしても、やはりいきなり怒鳴るというのはいかがなものでしょうか。インフルエンザを疑う症状ではないこと、この状態で検査しても意味がないこと、今後どういうことに気をつければいいかなど、冷静に伝えれば済むことだと思います。
 患者のなかにも、「待ち時間が長い」などと突然怒鳴り出す人がいます。医師にしても、患者にしても、“怒鳴る”というのは周りにいる人たちをも嫌な気持ちにさせます。たとえ腹が立つことがあっても、社会人として避けたい行動だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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