[患者さんの相談事例] 2012/06/15[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

医師とうまくコミュニケーションが取れず症状が悪化。自分の伝え方が悪いのかと悩んでいます。(38歳・女性)

 半年ぐらい前から鼻が詰まるようになり、3ヵ月前に耳鼻咽喉科クリニックを受診しました。検査の結果、副鼻腔炎と診断され、以来2週間ごとに通院しています。
 4月下旬に受診した際、薬が連休中になくなることが心配で、少し多めに薬を出してもらおうと思っていました。ところが、ドクターから「最近、調子はいいですか?」と聞かれ、思わず「はい」と答えたところ、早々に診察が終わってしまい、薬のことを切り出すことができませんでした。
 受診後、クリニックから出された処方せんを持って薬局に行ったのですが、それまで3種類だった薬が1種類に減らされていました。どうやら、調子を聞かれたときの私の返事が、「すっかりよくなった」とドクターに取られてしまったようでした。仕方なく、そのまま1種類の薬を飲むことにしました。
 ところが連休に入ったあたりから鼻水が止まらなくなり、そのうえ目までかすんできたのです。日に日に症状が悪化したので、連休明けにすぐクリニックに駆けつけました。ドクターは簡単に診察した後、「膿が溜まっているかどうかはわかりませんが、とりあえず薬をスプレーしておきましょう」と言って、鼻のなかに消毒液と薬をスプレーしました。しかし、ますます鼻水が止まらなくなり、目のかすみも悪化して焦点が合わなくなってしまったのです。更には抵抗力まで落ちたのか、カンジダ症にも感染してしまいました。
 その後もクリニックにはかかっていますが、つぎつぎに症状を訴える私がうっとうしいのか、ドクターの態度が目に見えて冷たくなっているように思えます。私が何か間違っているのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 症状が悪化していることは事実なのですから、それを伝えることが間違っているとは思えません。症状が悪化しているときは、誰しも優しく接してもらいたいものです。ドクターとのコミュニケーションに悩む患者さんは多いのですが、ろくに話も聴いてもらえないとおろおろしてしまうのは当然だと思います。
 調子に変化がないときに「調子はいいですか?」と聞かれると、「はい」と答えてしまうと思います。今後は、もう少し詳しく「薬を飲んでいれば変化はありません」と答えてみてはいかがでしょうか。また、伝えたいことや質問内容は忘れないようにメモして持っていくこともお勧めします。「聞き忘れがあってはいけないので、メモを持ってきました」とドクターに言うだけでも、質問があるという意思表示になります。
 それに、クリニックで処方せんを受け取った段階で処方された薬の内容を確認したり、薬局で薬が減っていることがわかった段階で薬剤師に相談したりすれば、症状の悪化も防げたかもしれません。遠慮せずに早い段階で相談することも大切です。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 多くの患者の診察をするには、一人ひとりにかける時間は限られてくると思います。しかし、やはり薬を減らしたときは、「調子がいいなら、3種類出している薬を1種類に減らしましょうか」とひとこと患者に声をかけることは必要ではないでしょうか。
 多くの患者は、ドクターが思っている以上にドクターの言動に一喜一憂しています。患者が話しやすい態度で接していただき、できるだけ温かい態度を心がけるようにしてもらいたいものです。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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