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[患者さんの相談事例] 2012/09/21[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

母親が腹痛に。一過性のものだと診断されたものの、原因がわからない不安からセカンドオピニオンを受けたのですが…。(44歳・女性)

 72歳の母が先日、腹痛を訴えました。以前から、高血圧で診てもらっているかかりつけ医がいるので、薬との関係もあるかもしれないと思い、私が付き添ってクリニックを受診しました。
 クリニックでは超音波検査をしてくれたのですが、「お腹にカゲがありますね。水か腫瘍かはっきりしないのですが、たぶん大したことはないと思います。紹介状を書きますから、念のためCT検査ができる医療機関で検査を受けてきてください」と言われました。翌日、紹介状を持って市民病院を受診したところ、腹水が溜まっていると指摘されました。けれどもドクターは「一過性のものでしょう。心配しなくてもだいじょうぶだと思いますので、1週間後にもう一度受診してください」と呑気なことを言います。腹水と言えば、がんの末期症状と聞いたことがあるので、私は心配でなりませんでした。
 母は処方された薬を飲み、4~5日すると「痛みはほとんど消えた」とホッとした様子でした。しかし、私は気になって仕方がなかったので、再診するように言われた1週間後、別の病院に母を連れていきました。その病院では、1週間前に市民病院を受診したことや腹水を指摘されたことは伝えず、最初に出ていた症状を“いまの症状”のようにして伝えて診てもらったのです。
 腹部の痛みという訴えに、その病院でも超音波検査とCT検査をしてくれました。すると、ドクターが「何の異常も見当たりませんが……。ほかに症状はありませんか」と母にさまざまな質問をしました。すっかり症状が治まっている母は戸惑い、「私が大げさに痛いと言ったから娘が心配して病院に連れてきたんです。すみません」と消え入るような声で言い、逃げるように診察室から出て行ってしまいました。
 しかし、一度は腹水が溜まっていると言われたのに、そんなに簡単に消えるものでしょうか。腹水があるという診立てが間違っていたのか、今回のドクターが見落としたのか、どう判断すればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、「腹水が溜まっている」と言われれば「悪い病気ではないか」と心配になると思います。ただ、腹水の原因のすべてががんとは限らないそうですから、ドクターが「一過性のもの」と判断したことを考えると、何か別の原因で腹水が溜まっていたのかもしれません。ましてや、腹水が溜まっていると言われてから1週間経っていますから、改善したとも考えられます。
 できれば、診察を受けたときに、ドクターが一過性で心配しなくてもいいと判断した理由や根拠、腹水の分量がどれぐらいで、それが多いのか少ないのか説明を求めていれば、1週間後の変化も理解できたかもしれません。
 また、せめてもう1度、同じ医療機関を受診して変化を診てもらえば、1度目に得られなかった詳しい説明を求めることができたのではないかと思います。別の医療機関を選んだとしても、正直に1週間前の状況を伝えていれば、つぎのドクターから得られる情報もより詳しくなったでしょう。セカンドオピニオンを求める場合は、まずファーストオピニオンをしっかりと聞いておくことが大切です。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 最初に受診したかかりつけ医は「大したことはないと思う」と言い、翌日に撮ったCT画像を見たドクターも「一過性のものでしょう。心配しなくてもいい」と言ったそうです。ドクターがそのように言うからには、何か根拠があってでしょう。しかし、この相談者が受けた説明のように、ドクターは“結論”だけを説明し、なぜそう思ったのかの解説が抜けがちです。そのようなことが原因で情報の共有化が図れないこともありますので、ぜひ思考過程を患者に説明するようにしていただきたいと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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