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[患者さんの相談事例] 2013/06/28[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

母が心房細動での発作時、「慎重投与」となっている薬を使われました。一命は取り留めたものの、予後が悪く、薬のせいではないかと疑っています。(59歳・女性)

 88歳の母は、以前から心臓が悪く、軽い不完全房室ブロック(刺激伝導障害)があると指摘されていました。不完全房室ブロックがあると、心臓発作や不整脈が生じた際、「慎重投与」の薬があるらしく、以前よりかかりつけ医から薬の種類や名前を教えてもらっていました。
 2ヵ月前の夜中、母の様子がおかしくなり、救急車を呼んで病院に運びました。心不全を起こしているとわかり、ICU(集中治療室)で治療を受けた結果、何とか症状は改善。ドクターから「2週間もすれば退院できます」と言われ、ホッとしていました。
 ところが、その3日後に母の心臓は心房細動を起こし、一時心停止をおこしてしまいました。病院から急変の連絡を受けて駆けつけると、一命を取りとめていましたが、その後の説明のなかで、心房細動に対して使われた薬が、かかりつけ医から聞いていた「慎重投与」の薬だとわかったのです。私が「慎重投与ということは、安易に使ってはいけないという意味ですよね? 母には不完全房室ブロックがあるとお伝えしてあったのに、なぜ使ったのですか」と尋ねたところ、その場にいた医師はいったん「たしかに安易に使うべきではありませんでした」と認めました。ところが、そのあとに循環器科の部長が出てきて、「心停止から回復させるためには必要な薬で、問題はありません」と否定されてしまいました。
 1ヵ月後、かかりつけ医のいる病院に転院したのですが、心臓の鼓動を打つリズムが一定せず、コントロールが困難な状態になっていると言われました。私は、安易に使われた薬が原因ではないかと思っています。ただ全身状態は落ち着いているため、「そろそろ転院を」と言われるのですが、提示される転院先はどこもひどい環境で、とても母を入院させる気持ちにはなれません。母は入院が長引き、少し認知症の症状も出始めました。生きる意欲すら失せてきているように見えます。こんなことになってしまったのも、安易な薬の使用が原因と思えてならないのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 大切にされてきたお母さんの病状が悪化し、気力までなくなってしまった姿を見るのはつらいことですね。ましてや、本来使うべきではない薬の投与があったとなれば、なおさらすべての原因はそこにあると思ってしまうのも無理もないことだと思います。
 心停止したときに、慎重投与の扱いになっている薬を使ったことがどれほど“問題”となるのかは、専門家の判断が必要になることだと思います。ただ、もともと心臓に病気があり、心不全を起こして倒れ、さらに心房細動で心停止したことは薬を使用する前に起きたことです。問題にするのであれば、薬といまの状態との因果関係を検証する必要があると思います。検証のためには、弁護士に依頼し費用も発生することになりますので、今後について冷静に考えることが大切です。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 この患者さんに対して注意しないといけない薬剤などは、カルテにあらかじめ記載されていることと思います。慎重投与でも、あえて使う必要があった薬であるなら、そのことをきちんと患者側に説明することが大切だと思います。
 もし、慎重投与であることに気づかず使用してしまったのであれば、それを正直に伝え、真摯に対応することが必要ではないでしょうか。いったん「安易に使うべきではなかった」と言っておきながら、「必要な薬で問題なかった」と態度を一変させたのでは、患者側が不信感を高める原因になることを多くの電話相談で実感させられています。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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