[患者さんの相談事例] 2013/08/09[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

カルテの取り違えで、本来、必要ない処置をされました。大丈夫と言われ対処してもらいましたが、医師の対応に釈然としません。(46歳・女性)

 先日、近くにある婦人科クリニックで子宮がん検診を受けました。その結果を聞きに行ったときのことです。ナースにフルネームで呼ばれて、確かに私だと確認して診察室に入りました。
 椅子に腰かけるなり、ドクターから「その後、痛みはどうですか?」と聞かれ、変な質問をされるなと思いながらも、「痛みはありませんが…」と答えました。すると「検査の結果ですけれど、カンジダ菌が出ていますね。お薬を入れますから、内診台にお願いします」と促されました。私は過去にカンジダ菌に感染したことがあり、そのとき、おりものも少し多かったため、「またカンジダ菌が出たんだ」と疑いもせずに処置を受けました。
 その後、再び診察室でドクターと向きあったのですが、「では、次回もう一度薬を入れますので、受付で予約を入れて帰ってください」と診察を済まされそうになりました。そこで、「今日は子宮がん検診の結果を聞きに伺ったのですが、結果はどうだったんでしょうか」と尋ねてみると、ドクターは、「前に話しませんでしたか?」と言いながら、何か慌てた様子でカルテを確認しました。すると、ほかの患者さんとカルテを取り違えていたことがわかったのです。すぐに「すみません、別の患者さんと間違えてしまって…」と言われたので、「では、私はカンジダ菌に感染していなかったのですか? 何でもないのに薬を入れてしまって、大丈夫なんでしょうか?」と聞くと、「大丈夫だと思いますが、念のため洗浄しましょうか?」と言われたので、すぐに洗浄してもらいました。
 その後、私の本来のカルテを見て、子宮がん検診は何の異常もなかったことを説明してもらったのですが、何だか釈然としない気持ちです。洗浄はしてもらいましたが、ある程度薬の成分は吸収されていたと思うのです。それに、私が言うまで洗浄をしようと積極的に言われませんでした。そこはクリニックで、ドクターは一人しかいないので、このような苦情をどこに言っていけばいいのかわかりません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 確かに、痛みを聞かれた段階で違和感を覚えたとしても、まさか「どなたか別の方と間違っていませんか?」と確認することはできないと思います。そればかりか、診察を終えようとするドクターに子宮がん検診のことを確認したからこそ、別の患者さんのカルテを見ていることが判明したのですから、あなたの指摘がなかったらわからずじまいになっていた可能性があります。
 何の異常もなかったのに薬を入れたことは、やはりご心配だと思います。少なくとも「この先何日ぐらい、どんな症状に気をつけていればいいですか?」と確認しておかれてはどうでしょうか。また、ドクターの対応については、残念ながら指導するような権限が認められている第三者機関はありません。それだけに、どのような対応に不安を感じたのかや、釈然としない気持ちは直接クリニックのドクターに伝えるしかありません。できれば、「患者の思いとして、今後の患者さんのためにも役立ててもらいたいので」と、冷静に思いをお伝えになってみてはどうでしょう。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 薬を入れたあとに患者の間違いに気づき、動転されたのかもしれませんが、「大丈夫」だけでは、患者の安心は得られません。やはり患者に言われる前に洗浄を提案し、念のために考えられる副作用を伝えておくべきではないでしょうか。ともかく、何か問題が生じた際は、迅速な初期対応と逃げ腰ではない対応、二転三転しない一貫した態度が不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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