[患者さんの相談事例] 2013/09/06[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

眼科医院でのレーシック手術後、院内処方された目薬の使用期限が切れていたのですが…。(38歳・男性)

 34歳の妻は子どものころから視力が弱く、メガネやコンタクトレンズで矯正してきました。3ヵ月ほど前、学生時代の友人が我が家を訪ねてきたのですが、そのときレーシック手術で視力がとてもよくなったという話を聞かされました。妻が「そんなによく見えるようになるなら、私も受けてみたい」と言い出したので、インターネットで調べ、レーシック手術を数多く手がけているクリニックを見つけて、手術を受けることにしました。
 実際にクリニックを受診すると、インターネットで見たときの印象より患者さんが少なくて驚きました。でも、受診する前に電話をかけたとき、予約の日時を入れられたので、「予約制だから待っている患者が少ないんだ」と受け止めました。
 その後、レーシック手術は無事済んだのですが、「術後の合併症としてドライアイがあるので処方された」と妻が持ち帰った目薬を何気なく見ていたら、使用期限が1年前に過ぎていることがわかったのです。驚いて、すぐに眼科クリニックに電話をかけて事情を話すと、ずいぶん長く保留にしたあと、同じ受付の人が出て「製薬会社に確認して、ご連絡します」と言われました。
 その後、眼科クリニックから電話があり、「ドライアイに対する効果が薄れている可能性はあるかもしれませんが、とくに害はないと思いますとのことです。ともかく、すぐに新しい目薬と交換しますので、いらしてください」と言われました。
 効果が薄れている云々の前に、使用期限が切れて1年以上も経ったものを患者に渡したことについては、何も触れられませんでした。薬の在庫管理はいったいどうなっているのでしょうか。そんなクリニックで手術を受けたこと自体が不安になってきているのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 確かに、医療機関における薬の在庫・品質管理は大切な仕事だと思います。今回、期限が切れていることがわかってから、やりとりをしたのが受付の方だけというのは、クリニックの責任ある対応とは言えません。クリニックの責任者は院長なので、希望されるならまずは時間をとってもらい、院長の説明を求めてみてはどうでしょうか。その際、できるだけ感情的にならず、冷静に向き合うことが大切です。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 直接体内に入れる点眼薬にもかかわらず、使用期限が切れて1年も経ったものを患者に渡してしまったことは大きな失態だと思います。在庫管理の仕方から、クリニック自体がどのような態勢なのだろうと不審に思われても致し方ないと思います。
 さらには、受付の職員に連絡だけさせるのではなく、責任ある立場の人がすぐに謝罪する必要があるのではないでしょうか。何か問題が生じた際の対応次第で、患者側の気持ちが納まるのか、あるいは不信感へと発展するのか二分されると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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