[患者さんの相談事例] 2013/09/20[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

入院時、一晩だけという話で個室に入ったのに、結局退院まで個室に。請求された差額ベッド料に納得できません。(53歳・男性)

 82歳の父が夜中に発熱と呼吸困難を訴えたので、近くの救急外来のある病院にタクシーで連れて行きました。診察を受けた結果、肺炎の疑いということで、とりあえず入院することになりました。
 診察してくれたドクターから「今日のところは大部屋に空きベッドがないので、一晩だけ個室に入ってください。明日には差額ベッド料がかからない4人部屋に移っていただけますので」と言われました。その後、病棟から迎えに来てくれた看護師も、「個室しか空いていなくてすみません。明朝、看護師長と相談して、必ず大部屋に移っていただきますね」と言うので、一晩だけならと思い、同意書にサインして個室に入院しました。
 ところが翌日、看護師長が現れ「大部屋を希望されているそうですが、現在満床なんです。空き次第移っていただきますので、もうしばらくこの病室を使用してください」と言われ、結局、退院するまで10日間個室でした。
 退院するときに渡された請求書には、1日1万円で10万円と消費税の金額がありました。何やら詐欺に遭った気分だったので、差額ベッド料だけは支払わずに帰って来ました。再度請求されたら、支払わないといけないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 夜中に対応したドクターやナースが明確に「明日4人部屋に移ることが可能」と言ったから同意書にサインされたということなので、ご納得いかない気持ちはもっともだと思います。
 まずは病院にそのようなやりとりが入院時にあったことを伝え、10日分の請求に納得がいかない気持ちを伝えて交渉なさってみてはどうでしょうか。また、入院時に対応したドクターやナースも、何か根拠があって伝えたことなのかもしれませんので、その辺りも明確にしてほしいと希望されてみてはどうでしょうか。空きベッドがない場合は、基本的に同意書にサインすれば契約したことになりますが、今回は、口頭とはいえ翌朝移動の確約があったというご事情があります。そのあたりを冷静に伝えてみてください。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 差額ベッド料のなかでも、もっともトラブルに発展しがちなのが、夜間に入院となり、空きベッドがないことを理由に差額ベッド料の必要な病室に入院した場合です。同意書を得たとしても、今回のように「翌朝には4人部屋への移動が可能」と伝えたのなら、そのことを申し送りし、医療者間で情報の共有をすることが不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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