[患者さんの相談事例] 2013/10/04[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

副鼻腔炎の手術後、違和感を覚えて医師に伝えたのですが、はっきりした説明ないまま検査や薬を処方されました。(58歳・女性)

 私は20年近く副鼻腔炎で耳鼻科に通院しています。しばらくは落ち着いていたのですが、1年ぐらい前からかなり症状が悪化してきました。ドクターから「そろそろ手術をしたほうがいい」と言われていたので、半年前に思い切って手術を受けることにしました。
 手術の後は、2ヵ月薬を飲む必要があると言われ、指示通り薬を飲み続けました。ところが、その薬の服用が終了する2~3日前、強く鼻をかんだときに、指サックを輪切りにしたような異物が鼻から出てきたのです。気持ち悪くて、思わず異物は捨ててしまったのですが、つぎの受診の際にドクターにそのことを伝えました。すると、何も言わなかったのですが、明らかに戸惑った様子で、ドクターの顔色が変わるのがわかりました。
 そして、その日のうちに、何の理由も伝えられずCTを撮るように言われ、抗生剤や痛み止めが処方されました。私は「痛みがあるわけではないし、できるだけ余分な薬は飲みたくないので、薬は要りません」と言ったのですが、「そう言わず飲んでください」と強引に処方されました。仕方なく、CT検査を受け、出された薬も飲んだのですが、数日すると皮膚に湿疹が出てきたのです。耳鼻科のドクターにすぐに伝えたら、「湿疹は皮膚科に行ってください」と言うだけで、薬の影響であることを認めようとしませんでした。
 ドクターに不信感を抱いた私は、別の耳鼻科でいまの状態を診てもらいました。すると、奥のほうにまだ副鼻腔炎による膿が残っていると言われたのです。その耳鼻科医は手術をしたドクターのミスだとは言いませんでしたが、手術のやり方が悪かったからに違いありません。
 そもそも、指サックを輪切りにしたような異物が術後2ヵ月も鼻のなかにあったこと自体、ミスなのではないでしょうか。異物を捨ててしまったので、証拠がなくなってしまいましたが、ドクターの非を問うことはできるでしょうか。私は、十分治しきれなかった手術の費用を返してもらいたいし、今後必要となる医療費も出してもらいたいと思っています。どのように交渉すればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 お話を伺っていると、あまり丁寧に説明してくれないドクターのようで、何が起きたのかは想像するしかないご様子でした。ただ、患者さんも具体的に質問したり確認したりせず、ただ自分の思いを伝えるだけで、コミュニケーションが取れないまま不信感に陥ってしまっているようにも感じました。膿が残っているというだけで「ミス」と断定できませんし、非が明らかになっているわけではないのに手術費の返済や今後の治療費の請求をするのでは、交渉は成り立たないと思います。まずは冷静に説明を求め、情報の共有を図ることが大切ではないでしょうか。そのうえで、解決方法を話し合う姿勢が大切だと思います。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 術後に鼻から異物が出てきたと異常を訴える患者さんに対して、やはりドクターはもう少し丁寧に向き合うべきではないかと思います。異物が何であった可能性があるのか、CT検査は何の目的でおこない、その結果はどうだったのか。さらには、何のために薬を服用する必要があるのかなど、誠実に説明することが求められます。
 また、そもそも手術によって、どのぐらい副鼻腔炎の症状が改善できたのかも患者さんに伝えきれていないように思いました。まずは患者が状況を理解できるように、真摯な姿勢で説明することが不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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