患者相談事例-100「ファーストオピニオンとセカンドオピニオンで医師の意見が違います。どちらを信じれば良いですか?」
[患者さんの相談事例] 2013/10/25[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
ファーストオピニオンとセカンドオピニオンで医師の意見が違います。どちらを信じれば良いですか?(67歳・男性)
私は2年ほど前からからだがだるく、横になっていても辛い状態が続いていました。同時に、胃の調子も悪かったので、それが原因かと思って、胃の検査と治療を受けてきました。
ところが約3か月前、足がむくみ始め、そのうち全身にむくみが拡がってしまいました。いつも胃を診てもらっているドクターに相談したところ、循環器科を紹介されて診察を受けました。検査で詳しく調べた結果、大動脈弁の働きが悪くなっているため、血液の逆流が起きていて、全身に水が溜まっているのだとわかりました。むくみを取る薬が処方され、ドクターから「むくみを解消するには、大動脈弁の置換手術以外に方法はありません。人工弁と生体弁の選択肢があり、この文書に詳しく違いが書いてあります。よく読んでおいてください」と言われ、説明文書が渡されました。そのドクターは必要最低限の説明しかしないのかと思うほど言葉少なで、勧められた手術を積極的に受けたいという気持ちにはなれませんでした。
そこで、ある大学病院の心臓血管外科を受診してみたのです。すると、「服用している薬の効果が出て、むくみは出ていませんね。血液の逆流もさほどひどくないし、いまは水が溜まっていません。3か月ごとに検査をして様子を見ることで十分だと思います」と言われました。そのドクターは、心臓の模型を使いながらとてもわかりやすく説明してくれ、私の質問にも丁寧に答えてくれました。私はすっかり満足し、手術を受けなくていいという判断に、気持ちが晴れ晴れする思いでした。
ところが帰宅後よく考えてみると、しばらく様子を見たとしても、最終的には手術を受けないといけないのだろうかと新たな疑問が湧いてきたのです。もし手術を受けるのだとしたら、できるだけ若いときのほうがいいのではとも思い始めました。でも「様子を見る」と言ってくれたドクターに、いまさら手術の話を切り出すこともできず、悩んでいます。どちらのドクターの意見を選択すればいいのでしょうか。

セカンドオピニオンのドクターの意見がファーストオピニオンのドクターと異なる場合、迷いが生じることはよくあります。どちらかが正しいというわけではなく、見解の相違という問題の場合も多く、最終的には患者自身が決めるしかありません。今回の場合、セカンドオピニオン先の心臓血管外科医は十分に説明し、質問に答えてくれるドクターとのことでした。それならば、遠慮せず疑問に思っていることを素直に打ち明け、今後手術が必要になる可能性はあるのか、それはどのような判断基準なのか、年齢制限はあるのかなど、率直に質問してみてはどうでしょうか。

このご相談の場合は、患者さんがどちらの治療方法を選ぶかの迷いで、どちらかの医療機関に問題があるというわけではありません。ただ、患者は一度説明を受けていったん納得しても、時間を経て新たな疑問を抱いたり、不安になったりしがちです。そのような思いで再度質問をしてきた場合は、患者の気持ちを受け止めて対応していただきたいと思います。
この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・

NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
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