患者相談事例-101「説明が不十分な上に、対応も不快なクリニック。どこに言えば改善指導してもらえますか?」
[患者さんの相談事例] 2013/11/15[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
説明が不十分な上に、対応も不快なクリニック。どこに言えば改善指導してもらえますか?(54歳・男性)
私は数日前から喉がいがらっぽく、気になったので近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診しました。初めて行ったクリニックだったのですが、診察室に呼び入れられると、医師がニコリともせず無表情のまま「どうしました?」と聞くので、症状を伝えました。すると、何の声がけもなく、いきなり鼻から内視鏡を入れられたのです。そして「喉にポリープがあります。薬を出しておきます」とだけボソッと言って、診察が終わりました。
診察室を出ると看護師が「こちらへ」と言うので、ついて行くと、「ネブライザー喉用」と張り紙がある前に座らされました。そして「終わったら会計を済ませてお帰りください」と言って、どこかへ行ってしまったのです。私はそれまでネブライザーを使ったことがなかったので戸惑ったのですが、隣に喉のネブライザーを使っている人がいたので、見よう見真似で受けることができました。医師も看護師も説明が不十分だし、態度が悪いことに腹が立って仕方ありませんでした。そのうえ、そのクリニックは院内処方で、頼んでもいないのに2種類の薬が一包化されていたのです。そのため、いったい何の薬なのかもわからずじまいでした。
翌日、喉のいがらっぽさはさらに悪化しました。私は不信感でいっぱいになり、別の耳鼻咽喉科にかわることにしました。そこで、クリニックに電話をかけて、「昨日処方された薬の名前を教えてください」と頼むと、電話に出た受付の職員らしき女性が「カルテ開示をお望みでしたら、情報開示請求書を出していただくことになっています」と木で鼻を括ったような返事をします。私が「誰もカルテを開示してくれなんて言っていません。薬の名前を知りたいだけです」と言うと、「そのような個人情報はお電話では受けつけしかねます」と言われました。
そもそも、薬を処方した段階で、どんな薬なのか情報提供すべきではないのですか。このような対応をするクリニックはきちんと指導すべきだと思うのですが、どこへ言っていけばいいのでしょうか。

たしかに、ポリープがあると言われても、放置していいのか、それがいがらっぽさにどう影響しているのか、きちんと説明してもらわないと理解できません。また、出された薬がポリープにどう働きかけるのかも疑問だと思います。看護師にしても、せめて「ネブライザーを過去に吸入されたことはありますか?」と確認する必要があると思いました。早い段階で見切りをつけて別の耳鼻咽喉科にかわるというのは、患者にできる有効な手段だと思います。ただ、できれば診察室で「もう少し詳しく説明していただけますか?」、看護師に「ちょっと待ってください。ネブライザーの使い方がわかりません」、薬を渡されたときに「薬の名前や効能を知りたいのですが」と踏み込んで聞くことができれば良かったのではないかと思います。それすらできない雰囲気であったのだと思いますが、せっかく受診したのですから、わからないことを持ち帰らないように患者も努力をしたいものです。
ただ、このような医療者の言動については、残念ながら指導できる第三者機関はありません。直接患者さんからクリニックに苦情や改善の必要性を伝えるしかないのです。

患者対応に力を入れる医療機関が増えてきたなかで、まだまだこのような旧態依然の医療機関があります。とくに診療所の場合、院長の姿勢が見事にスタッフに伝わりがちです。大きな病院を中心に患者対応や接遇に取り組み、改善が進んでいるだけに、医療機関の患者対応にも二極化が進んできているような気がします。
丁寧な説明や対応は言うまでもありませんが、問い合わせに対しても、患者が何を求めているかにしっかり耳を傾けたうえで、的を射た対応をすることが大切だと思います。
この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・

NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
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