[患者さんの相談事例] 2013/12/20[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

信頼していたドクターから乱暴な言葉。謝罪はあったのですが、今後受診する気持ちになれません。(71歳・女性)

 1年ほど前から腰痛と手首の腱鞘炎がひどくなり、自宅近くにある整形外科クリニックにかかっています。そのクリニックの院長はとても親切で、優しくて、丁寧に診てくれます。痛みもすぐに楽になるので、神様のように思い、頼りにしていました。
 先日も急に腰痛がひどくなったので、受診しました。ところが、なぜか院長の機嫌が悪く、対応が乱暴なのです。痛み止めの注射をしてくれたので、「また痛くなったら、お願いします」と言ったら、「私はこの地域の患者を診るためにクリニックを開設したわけではないんだ。私は本来、膝の専門家で、全国から患者がやってくるんですよ。だから、腰痛の注射なんか、ほんとうはやりたくてやっているわけじゃない!」と言われ、びっくりしてしまいました。私がひるみながらも「では、もう診てもらえないのですか…?」と聞くと、それには返事はありませんでしたが、信頼していただけに、ショックを受けました。
 その院長は、たしかに膝の専門家らしく、最近何度かテレビに出ているのを見たことがありました。有名になると、人柄まで変わってしまうのかと思うと、がっかりしました。でも、家に帰ってしばらく経つと怒りがおさまらなくなってきて、保健所に電話して「指導をしてほしい」と伝えてみたのです。保健所は「指導はできませんけれど、このような訴えが届いていますとお伝えすることはできます。よろしいですか」と言って、すぐにクリニックに連絡をしてくれたようです。保健所から折り返し電話がかかってきて、「クリニックにあなたの苦情を伝えたところ、院長が『忙しかったので、つい。患者さんには申し訳ないと思っています』とおっしゃっていました」と言ってくれました。でも、私はがっかりした気持ちのほうが強くて、もうそのクリニックを受診する気持ちにはなれません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 せっかく信頼できるドクターと巡り合えたと思われていたのに、残念ですね。信頼していればしているほど、違った姿を見せられると落胆はより大きくなるのだと思います。
 ただ、保健所からの連絡で対応が悪かったことを誠実に認められたようですから、いまごろ院長も反省しているかもしれません。別の整形外科のあてがあれば別ですが、もし冷静になって“治療”ということを優先すれば、割り切って受診されることも一つの選択だと思います。そのときは、お互いに“大人の対応”をされることを願っています。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 いくら忙しくても、何の非もない患者さんに当たり散らすというのは、やはりあってはならない対応だと思います。保健所からの連絡で冷静さを取り戻されたのだと思いますが、そうであれば、できればひとこと、患者さんに謝意を伝えるのも、今後の信頼関係の構築のために大切な姿勢ではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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