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[患者さんの相談事例] 2014/01/17[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

薬を飲んでも一向に改善しない喉の詰まり。“がん”ではないかと心配なのですが、医師は気のせいと言います。
(63歳・女性)

 半年ほど前から、何かを食べると喉にひっかかりを感じるようになり、水やお茶を飲んでも詰まっている感じがとれませんでした。そこで近くの耳鼻咽喉科を受診して症状を伝えると、すぐに内視鏡検査になり、その結果、逆流性食道炎と診断されました。
 ドクターから胃酸の分泌を抑える薬が処方されて、飲み始めました。ところが、薬を飲んでも一向に症状が改善しないのです。私は心配になって、ドクターに「薬が効かないということは、じつは逆流性食道炎ではなく、がんなのではないでしょうか」と聞いたのですが、「気のせいだよ」と取り合ってくれませんでした。
 でも、私は不安で仕方がなく、受診するたびに「がんかどうか、検査をしてください」とお願いしていました。すると、ドクターから心療内科を受診するように言われ、紹介状を渡されました。言われるままに心療内科を受診し、不安を訴えました。心療内科で「耳鼻咽喉科でしっかり診てもらっているのに、そこまで不安を感じるのなら薬で和らげましょう」と言われ、抗不安薬が処方されました。しかし、出された抗不安薬を2週間飲んでも、がんの不安が解消することもなければ、喉のひっかかりが改善することもありませんでした。
 そのうち、逆流性食道炎として出されている薬が飲みにくくなってきて、何度か薬を飲まずに過ごしているうちに、胃酸があがってくるようになりました。ある夜、とうとう嘔吐が止まらなくなったため、近くの病院の救急外来を受診しました。そのときに、これまでのいきさつを話したところ、救急外来のドクターから、「あなたの飲んでいる薬より飲みやすい薬がありますよ」という話を聞いたのです。2日後に、いつもの耳鼻咽喉科を受診するのですが、救急外来で聞いた話を伝えて、薬を変えてほしいと希望していいものでしょうか。最近では、私が何か聞こうとしても、ドクターはパソコンを見て私の顔を見ようともしないので、言い出しにくいなと迷っているのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 一度「がんではないか」という不安が生じると、気になって仕方がなくなることはあると思います。それを「気のせい」「心の問題」で解決しようとされているので、根本的な不安の解消につながっていないのではないかと思いました。
 まず、がんへの不安については、ドクターが大丈夫と思っている根拠をお聞きになってみてはどうでしょうか。たとえば「内視鏡検査をして、がんを疑うような変化は見当たらなかった」といった理由があって、問題ないと判断されているのだと思います。漠然と「だいじょうぶ」ではなく、なぜだいじょうぶと思っているのか理由を聞くことによって、少しは安心できるのではないでしょうか。
 また、逆流性食道炎の別の薬については、これまでの薬が飲みにくいこと、飲み飛ばしてしまうことがでてきたこと、症状が悪化して救急外来を受診したことを正直に伝え、そこで聞いた話として別の薬のことを相談されることは一向に差し支えないと思います。「薬を変えてください」というより「別の薬は私にはどうなんでしょうか」と相談する姿勢が大切だと思います。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 ドクターから見れば、「こんな状態で、がんであるはずがない」と思われても、一度疑いを持った患者のなかには、どんどん不安を募らせていく人がいます。それだけに、漠然とした言葉で否定するのではなく、なぜ心配ないのか理由を説明していただくことが不可欠ではないかと思います。
 また、パソコンから目を離さなかったり、患者の顔を見なかったりするのは、関係性を遮断されているメッセージとしか受け取ることができません。やはり患者と向き合うプロとして、それだけは避けるべきではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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