[患者さんの相談事例] 2014/01/31[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

前回の注射後に膝が腫れたことを伝えたのですが、医師は大した説明もせずにまた同じ処置をしようとします。
(50歳・女性)

  80歳の母親が両膝の痛みを訴え、これまで平気で歩けていた距離も、途中で何度も休憩しないと歩けないぐらいになってきました。そこで、整形外科クリニックに私が付き添って受診しました。
 症状を聞かれた母が膝の痛みを伝えている途中なのに、ドクターは「膝の痛みですね。じゃあ、今からすぐに膝のX線を撮りましょう」と母の話を遮るように検査を促しました。
 言われるままにX線写真を撮影し、再び診察室に呼び入れられました。すると「膝に水が溜まっているから痛いのでしょう。水を抜いて、ヒアルロン酸の注射をすれば楽になりますよ」と、流れ作業のように水が抜かれ、注射が打たれました。なぜヒアルロン酸がいいのか理由を聞きたかったのですが、質問する余地がないぐらい慌ただしい対応でした。
 しかしその翌日、母は膝の周辺が腫れて、歩けなくなってしまったのです。インターネットで調べると、ヒアルロン酸の注射で膝が腫れることもあると知り、ドクターから事前の説明がなかったことに不信感を抱きました。
 1週間後の受診のときに膝が腫れたことを伝えたのですが、ドクターは前回と同じように「水を抜いて、ヒアルロン酸の注射」と言います。私が「注射をしたから膝が腫れたのではないのですか?」と聞くと、ドクターは「ヒアルロン酸が悪さをすることはないよ」とぶっきら棒に言うのです。「では、膝が腫れた原因は何なんですか?」と問うと、「そんな話をするなら、今日の診察はもう終わり」と言って、診察室から出て行ってしまいました。こんな対応に、どうしても納得がいきません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 お話を伺うと、乱暴な診察だと感じます。やはり、医療機関を選ぶのも患者としては大切なことなので、質問したのにきちんと向き合って応えてもらえなかったり、理由や根拠を明らかにせずに治療を勧められたりした場合には、別の医療機関を選択することも一つではないかと思います。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 患者さんの数が多くて、ある種流れ作業と化してしまっているのでしょうか。患者が納得していて、水を抜き、ヒアルロン酸の注射を打ち、症状が改善しているならまだしも、腫れたと訴えている患者に対して、再度水を抜きヒアルロン酸を注射すると言うのは、あまりにも誠実さを感じない対応です。症状は丁寧に聞き、検査や治療を勧めるときは理由や根拠の説明をすることが最低限必要とされる態度だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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