[患者さんの相談事例] 2014/02/17[月]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

処方せんが期限切れだったとのことで、薬局から返品要請があったのですが…。(41歳・女性)

 私はアレルギーによる咳がひどく、ある病院の呼吸器内科に通院しています。さまざまな薬を試したのですが副作用が出てしまい、合う薬(ステロイドの吸入薬)が見つかるまでに半年近くかかりました。でも、それ以来、その吸入薬があれば症状は治まるので、安心して過ごせるようになりました。
 昨年の暮れ、年末年始の休み中に薬が切れてはいけないと思い、予定より少し早めに呼吸器内科を受診しました。そして、いつものようにステロイドの吸入薬の処方をしてもらって、処方せんを発行してもらいました。ところが年末で慌ただしくしていたので薬局に行くことができず、休みに入って帰省したときに、実家近くの薬局に処方せんを持って行きました。
 その薬局は、両親がよく利用している調剤薬局だったのですが、処方せんを受付で渡して待合で待っていると、すぐに呼ばれました。そして「申し訳ありませんが、処方せんは発行日から4日間しか使用期間がないのです。この処方せんは発行日から6日経っているので、薬は調剤することができません」と言われました。私が「この薬がないと困るので、どうすればいいですか」と聞くと、処方してもらったドクターに相談するように言われました。病院は年末年始の休みに入っているし、遠く離れた実家に帰省中なのでとても無理です。
 いろいろ考えたのですが、その薬局は大手のチェーン薬局だったので、小さな薬局なら何とかなるかもしれないと思い、商店街の外れにあった薬局を訪ねてみました。すると、簡単にステロイドの吸入薬を調剤してくれたので、とても助かりました。
 ところが正月明けに薬局から実家に「本来は調剤してはならない処方せんだったので、いただいた費用を返金しますから、薬も返してください」と連絡が入ったのです。母からの連絡を受けて、私が薬局に電話かけると同じことを繰り返されるので、「すでに吸入薬は使っているのでお返しできません」と言うと、「それでは困る」と返されました。さらにその後、薬局の人が実家にやってきて、私が薬局で支払った分を返金して帰ったというのです。それからも、何度も私や実家宛に薬の返品の要請があるのですが、一度調剤してもらったものを返せと言われても困ってしまいます。どうすれば薬局が納得してくれるのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 症状を抑える大切な薬ということなので、使い始めた薬を返すのはお困りだと思います。ただ、処方せんの使用期間は発行日を含めて4日間と定められています。2軒目の薬局はそれを見落としたのだと思いますが、使用期間を過ぎた処方せんだったと判明した以上は、やはりそのままにしておくことはできないと思います。
 また、1軒目の薬局の対応で、あなたも使用期間が過ぎた処方せんだと知っていたことになります。旅行などの特殊な事情があって4日以内に薬局に行けない場合は、あらかじめ処方医にそのことを伝え、処方せんに但し書きをしてもらう必要があります。それだけに、非を認めて返金してきている薬局の対応のほうが、適切な対応と判断されると思います。呼吸器内科のドクターに正直に事情を伝え、相談してみられてはいかがでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 処方せんの発行日を確認するのは、調剤業務の基本だと思います。それだけに、薬局側のミスを指摘されるのは仕方ないことでしょう。
 ただ、このように「返せ」「返さない」の押し問答になると、お互いに態度を硬化させるだけになります。まずは誠実に非を認めてお詫びし、丁寧な説明をすることが不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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