患者相談事例-117「患部をみるなり、「臭い!汚い!」と鼻を押さえた医師。二度と診てもらいたくありません」
[患者さんの相談事例] 2014/07/07[月]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
患部をみるなり、「臭い!汚い!」と鼻を押さえた医師。二度と診てもらいたくありません。(72歳・男性)
自宅の庭の片づけをしていたとき、積み上げてあったガラクタが崩れ落ちて足を直撃し、右足の指を怪我してしまいました。病院に行くほどではないと思ったので、傷口を洗って、薬を塗って様子をみることにしました。ともかく清潔に保たないといけないと考え、毎日お湯で一生懸命洗っていました。ところが、傷口からばい菌が入ってしまったようで、傷口が化膿し、日に日に悪化してしまったのです。
そこで、以前から腰痛で通っている近くの病院を受診することにしました。病院と言っても小さくて、内科と外科と整形外科があるだけです。でも、整形外科を担当している院長さんはとてもいい人なので、私は信頼してかかっていました。
受付で受診の目的である、足を怪我した後に化膿したことを伝えると、外科に回されました。診察室に呼ばれて入っていくと若いドクターが担当だったのですが、私の患部を見るなり鼻を押さえて「臭い!」「汚い!」と言ったのです。私はその言葉にショックを受けて、すぐさま逃げ出したい気分になりました。
一応、処置はしてもらって、薬も出してもらいました。そして「様子を見て、よくならないようだったら、また来てください」と言われました。きっと、何度も診たくないのだろうなと思い、とても憂鬱な気分で帰宅しました。
もう二度とあの外科医には診てもらいたくないので、出された薬を一生懸命塗っていたのですが、また悪化してきているのです。放っておいて更に悪化したらどうしようと心配ですし、痛くて靴も履けずに困っているのですが、「臭い!」と鼻を押さえられた光景を思い出すと、受診する気持ちが萎えてしまいます。どうすればいいのでしょうか。

ひどい対応をされて、ショックを受けられたことでしょう。いくらなんでも、患者さんに投げかける言葉とは思えません。しかも、鼻を押さえるなんて、言語道断。一生懸命清潔に保とうと努力したけれど、ばい菌が入ってしまったことは仕方ないのですから、そんな対応をされる原因は患者さんにはありません。整形外科の院長はいい人とのことですが、そこで勤務しているドクターが全員同じとは限りません。もちろん、相性の問題もあります。ただ、いま症状が悪化していることを考えると、そのままにしていると更に治るのに時間を要します。何も同じ病院にかかり続ける必要はないのですから、別の医療機関で診てもらってはいかがでしょうか。

いろんな状態の患者さんを診るのが仕事ですから、なかには目をそむけたくなったり、臭いがしたりする患部もあるでしょう。それに対して、あからさまに鼻を押さえて「臭い!!」「汚い!!」と言葉を発するのは、ドクターとして失格ではないでしょうか。そう言われた患者さんの気持ちを考えると、ほんとうにお気の毒です。
ドクターだって人間ですから、さまざまな感情を抱くことは当然です。しかし、職業倫理上、ある程度感情をコントロールし、言っていいこと、悪いことを判断していただきたいものだと思います。
この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・

NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
- この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。