患者相談事例-137「訪問診療を頼んでいる診療所でスタッフの連携が取れておらず、緊急時の対応が不安です」
[患者さんの相談事例] 2015/06/05[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
訪問診療を頼んでいる診療所でスタッフの連携が取れておらず、緊急時の対応が不安です。(50歳・女性)
102歳の祖父は、1年ほど前に傷口からばい菌が入って感染症にかかり、約2か月入院しました。その入院をきっかけに食欲が落ちて、口から食事が摂れなくなり、経鼻チューブで栄養を摂るようになりました。退院してからは在宅で療養し、訪問診療や看護、訪問リハビリなどを受けています。
現在、介護度は4で、認知症はありませんが、相変わらず自力で口から食事は摂れず、動けないので寝たきりの状態です。訪問診療は、「24時間365日対応」を謳っている診療所を探してお願いしました。その診療所は複数のドクターがいるのですが、毎回、訪問してくれるドクターが異なるのです。なかには経鼻チューブの交換がうまくできないドクターがいて、困っています。私が苦情を言うと、「チューブ交換が必要なときは院長にお願いしてください」と返されたのですが、チューブ交換が必要になって診療所に電話したところ、受付担当の事務の方が電話に出て「チューブ交換のために院長を指名ということはしていません。訪問した医師とよく相談してください」と言われてしまいました。
肺炎を起こしたときも初期対応が遅れるなど、安心して診てもらうことができません。どうすればいいのでしょうか。

「24時間365日対応」と聞けば、訪問診療に力を入れている診療所という印象を受けるので、安心して依頼されたのだと思います。しかし、訪問診療の提供に一体感がなく、不安ななかで在宅療養をしないといけないのは、ご家族としても不安なことですね。
訪問してくるドクターや受付職員など、そのときどきの状況で個別対応した結果、いまの状態になっているように思います。訪問診療の場合、患者さんの居宅にドクターが通ってくるので、かかわっているスタッフが一堂に会する機会はほとんどないのだと思います。そこで、すべてが集まることは不可能だとしても、せめて院長と一度話し合う機会を作ってもらい、いま困っていること、改善してほしいことを相談してみてはどうでしょうか。そして、診療所のシステムとしてどうなっているのかも確認しておかれたほうがいいように思います。
それでも納得いく対応がなければ、訪問してもらう診療所を別のところに変えるしかありません。まずは、変化を待つのではなく、解決へと動いてみることが大切だと思います。

在宅医療の場合も、患者・家族とスタッフの情報の共有をおこなうためのコミュニケーションが欠かせないと思います。とくに複数のドクターが交替で訪問している場合は、ドクターによって対応や説明する内容が異なることがないよう、配慮が必要だと思います。また、家族に不安や不満がないか、こまめに丁寧に耳を傾ける姿勢を持ってこそ、安心して任せられる在宅医療が実現するのではないかと思います。
※写真はイメージです
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認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
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