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[患者さんの相談事例] 2015/10/02[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

病院への紹介が遅れたため尿路結石で入れたチューブが抜けなくなりました。ドクターからは謝罪もありません。
(77歳・母)

 母は2年前から東京の有料老人ホームで暮らしていたのですが、私(息子)の自宅近くの有料老人ホームに移ることになりました。その直前に母は下腹部に激痛を訴えて尿路結石と診断され、チューブを入れて結石を出す処置を受けたのです。そのときのドクターから「3か月ぐらい経ったらチューブを抜く必要があります。別の県の老人ホームに移られるということですから、紹介状を書いておきますね」と言ってくださいました。
 1月に移転した有料老人ホームで、担当者に東京で書いてもらった紹介状を渡しました。その有料老人ホームでは、月に1回契約しているドクターが入所者の診察に来るのだそうです。
 2月に入って診察があるという日、少し心配だったので私も有料老人ホームに出向き、尿路結石でチューブを入れた経緯について説明しました。ドクターはかなり高齢の方なのですが、紹介状を見ながら「まぁ、暖かくなった頃に処置のできる病院に行ってもらいましょうかなぁ」とのんびりした感じでおっしゃっていました。
 ところが、ドクターが病院への紹介状を書いてくれたのは、6月に入ってからだったのです。
 有料老人ホームの方が付き添って病院に母を連れて行ったところ、あまりに長期にわたってチューブが入っていたため、チューブが組織にまきこまれてしまい、抜けないと言われたらしいのです。母はうつ病もあって、そのせいで手術もできないと言われたと連絡を受けました。
 連絡を受けた私は有料老人ホームと契約しているドクターの元に出向き、チューブが抜けなくなっている事情を話しました。すると、「ちょっと遅かったかなぁ」と、のんびりした調子で言うだけなのです。何だか暖簾に腕押しという感じで、謝罪のひとこともありませんでした。そのときは仕方なく帰ってきたのですが、このまま「仕方ない」で済ませるしか方法はないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 病院への紹介が遅れたドクターとの交渉についても考えないといけませんが、まずは抜けなくなったチューブの問題をどうするかが先決だと思います。息子さんは直接病院で説明を受けていないということですので、まずは病院に出向いて、どのような状態なのか、ほかに抜く手段はないのか、そのままチューブを入れたままにすることのリスクなど、詳しく話を聞いてみられてはどうでしょうか。そのうえで、お母さんにとってどうすることがいいのか、ドクターとしっかり相談することが先決問題だと思います。
 その結果、お母さんに対する治療がどうなるかによって、有料老人ホームの契約ドクターとの交渉内容も変わってくる可能性があります。それについては、治療が一段落した段階で考えても遅くはないと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 いくら高齢のドクターでも、チューブを長期間留置した場合の結果は想像できたのではないでしょうか。あまりにも責任感のない対応ではないかと疑問を覚えました。
 一方で、「チューブが組織に巻き込まれていて抜けないし、うつ病では手術も無理」で終わってしまっている病院の対応もやはり不親切だと思います。もしかしたら有料老人ホームの職員の同行だったので、それ以上突っ込んだ話ができなかったのかもしれません。しかし、もしそうなのであれば、家族への説明の可能性について有料老人ホームの職員に確認し、連絡を取るようにして説明の場を設けるのが本来の対応ではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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