[患者さんの相談事例] 2015/10/30[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

入院先の病院と訪問診療の医院の対応に不満があります。どこに相談すれば?(50歳・女性)

 同居している100歳の祖母は、90歳ぐらいまでは元気に過ごしていたのですが、90歳を過ぎると徐々に衰弱してきました。そして、5年ほど前からほぼ寝たきりになり、介護保険を利用しながら家族で介護をしています。
 2か月前、熱が出て具合が悪くなったので、訪問診療してもらっているドクターに往診に来てもらいました。診察したドクターは「肺炎を起こしているかもしれません。まずは病院で検査を受けてもらいましょう」と言って、病院を紹介してくださいました。そこで、その病院を受診したところ、気管支肺炎と診断されて入院になりました。
 しかし、ろくに治療もないまま、5日後には退院。普段は120~130ある血圧が80しかなく、熱も37度台後半だったので不安で仕方ありませんでした。
 やはり治りきっていなかったのか、退院から2日目には再び体調が悪化し、同じ病院に救急車で運ばれました。今度は誤嚥性肺炎との診断で再び入院することになりました。誤嚥性肺炎を予防するためには、ベッドを30度ぐらい傾けたほうがいいと人から聞き、自宅では寝たきりの祖母のベッドを常に傾けていました。しかし、入院していた5日間はそのような配慮もなかったので、それが原因で誤嚥性肺炎になったのではないかと思っています。
 入院してからは鼻腔栄養のチューブを入れられているのですが、栄養の量に問題があるのか、下痢が続いています。それを何とかしてほしいと頼んでも、ドクターは「鼻腔栄養の人は下痢がつきものだから」と何の対応もしてくれません。訪問診療のドクターも同じで、相談しようと思っても、ろくに話を聞いてくれないし、親身に相談に乗ってくれた試しがありません。訪問看護のナースに相談しても、「先生の指示なので・・・」といつも言葉を濁されて、こちらからの相談に十分な対応をしてくれたことがないのです。地域柄、訪問診療や訪問看護をしているところが少なくて、対応がよくないからといって、別のドクターや訪問看護ステーションにかえるというのもままならない状況です。病院にしても、訪問診療にしても、どうしたらいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、医療機関や在宅医療の担い手、サービスの提供できる事業所が少ない場合は、自由に選ぶことができないという難しさが常につきまといます。だからと諦めていたのでは、地域の在宅医療の質はなかなか高まりません。やはり「これでは困る」と患者・利用者側が声を挙げていかなければならない問題だと思います。
 まずはケアマネージャーや病院の医療ソーシャルワーカーなどに相談し、少しでも安心して在宅療養や治療が受けられるように、協力を要請してみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 これはやはり、医療・介護に携わる専門職の本気度も問われる問題だと思います。少数であっても志を同じくする人たちが集まって、まずはその人たちから変わる努力をすることが大切ではないでしょうか。地域包括ケアの必要性が問われ、地域医療構想が始まります。行政とも連携しながら地域のあり方を考えることが不可欠だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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