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[患者さんの相談事例] 2015/11/27[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

病気を苦に自死した妻。担当医の配慮のない対応が背景にあるのではと考えています。(52歳・男性)

 51歳の妻は、1年ぐらい前にうつ病と診断され、定期的にある病院の精神科に通院していました。途中から物忘れの症状も出始めたのですが、私はうつ病で飲んでいる薬の副作用ぐらいに考えていました。
 ところが1か月前、担当医が異動になって、別のドクターに担当が代わりました。私も受診に同行していたのですが、新しい担当医は妻を診察すると、「若年性の前頭側頭型認知症の可能性があります。まずはMRI検査が必要です。もし私の予想通り前頭側頭型認知症なら、治療はかなり難しくなります」と、まだ正式に診断がおりたわけでもないのに、絶望的な気分になる説明をしました。これまでの担当医からは、認知症の可能性なんて聞いたこともなかったので、私はとても驚きました。しかし妻は、自分の症状にうつ病以外の原因を薄々感じていたらしく、病院の帰り道「ネットでいろいろ調べていたので、今日の先生の話はやっぱりと思った」と話していました。その言葉に、私は「調べて予想していたので、冷静に受け止めているんだ」と思い、私のほうがショックを受けていると感じていました。
 しかし、じつは妻はドクターの言葉に深い絶望感を味わっていたらしく、翌日の早朝自宅を出て、鉄道のホームから通過する特急電車に飛び込み、亡くなってしまいました。妻の死からやがて1か月を迎えるのですが、どうやって気持ちの整理をつけていいのか、まったくわからない状態が続いています。列車への飛び込み自殺だったので、その日のダイヤなどに大きな支障が出たこともあり、鉄道会社から賠償金の請求もされるようです。精神科のドクターがもう少し配慮しながら妻に話をしてくれていたら、こんなことにならなかったのではないかという想いが日々募ってきているのです。ドクターは妻が自死したことをまだ知らないかもしれないのですが、少しは責任を取ってもらいたいと思います。ただ、いまの状態でドクターに会いに行っても、冷静に向き合える自信がなく、自分を抑えられないような気がしています。どうすればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ドクターの言葉にご自身も衝撃を受け、診察室ですぐそばに寄り添っておられただけに、怒りだけではなく後悔も含めたやりきれない気持ちがおありなんだと思います。そのお気持ちは、とてもよく理解できます。
 精神科に関するご相談のなかで、患者さんが自死し、その原因がドクターの言葉や外泊許可などの判断にあると問題視する内容が時折届きます。しかし、その因果関係が第三者的に認められるのは非常に難しいと言われています。それだけに、精神科医の責任を問うことはできないかもしれませんが、説明のあり方について考えてもらうためにも事実を伝えることは大切かもしれません。ある程度落ち着いてから、直接会って話すか、文書で気持ちを伝えるなどの方法を考えてみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 専門的な観点から考えられる見解を淡々と伝えることが、患者にとっては逃げ場のない状況に追い込まれた気分になることがあります。まして、自分が自分で掌握できなくなる認知症という病気について、まだ可能性の段階にもかかわらず、治療は難しいとまで言われれば、文字通り絶望的な気持ちになるのは当然だと思います。更に、この患者さんはうつ病も患っておられます。そのようなことを総合的に考えた場合、もう少し伝え方に配慮があってしかるべきではないかと思いました。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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