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[患者さんの相談事例] 2015/12/25[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

耳鼻科にかかったものの症状は悪化。再診時に原因や処置について説明を求めても、のらりくらりで不信感を抱いています。(73歳・女性)

 数日前、カビ取り用洗浄剤を使用してお風呂掃除をしていたところ、換気が十分でなかったのか掃除を終えたあと、鼻と喉にヒリヒリとした痛みや違和感を覚えました。そこで、近くの耳鼻咽喉科クリニックを受診ました。
 耳鼻科医は鼻にファイバーを入れて診察し「だいじょうぶですよ。吸入して帰ってください」と言っただけでした。私は少し不安になったので、吸入の準備をしてくれたナースに「吸入って、何をするんですか?」と聞いてみました。すると「鼻の消毒ですよ」と言うだけで、ここでも詳しい説明を得られることはありませんでした。消毒程度なら問題はないだろうと考え、言われた通り吸入を受けて帰宅しました。
 ところが帰宅後、鼻の奥が痛くて、大量に鼻水が出て止まらなくなったのです。鼻にティシュを詰めていないと、ポタポタと鼻水が零れ落ちるくらいでした。翌日も鼻水は続き、くしゃみも止まりませんでした。その翌日には熱まで出てしまいました。
 そこで、耳鼻咽喉科クリニックを再び受診したのですが、ドクターは「ファイバーが当たったのかな・・・」などとぶつぶつ言いながら、「恐らくアレルギー反応が起きたのでしょうね」と言うだけです。受診する前より症状が悪化しているのだから、ファイバーなのか吸引なのかわかりませんが、クリニックでの行為が原因していると考えるのが普通ではないでしょうか。それなら、まずはお詫びのひとことがあるべきではないかと疑問を覚えました。
 受診した耳鼻咽喉科クリニックが信用できず、その後、内科を受診しました。そこでは「アレルギーではなく、風邪ですよ」と言われました。そこで、耳鼻咽喉科クリニックに電話をかけて、内科で風邪と言われたことを伝えると、ドクターが電話に出てきて「症状が治まらないのであれば、受診してくださったら抗アレルギー剤をお出ししますよ。あるいは近くの薬局で市販薬買って飲まれてもいいですし・・・」と無責任な言葉しか返ってきませんでした。こちらはアレルギーではなく風邪と診断されたと言っているのに、人の話を聞いていないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 受診するまでは多少の痛みと違和感程度だったのに、受診直後から急激に症状が悪化したのでは、ご納得いかない気持ちになられるのももっともだと思います。そこにドクターが真摯に向き合ってくれなければ、より不信感は増してしまうことでしょう。
 耳鼻科医はアレルギーと判断し、内科医はアレルギーではなく風邪との診断だったとのこと。それぞれ異なる診断をした根拠は何なのでしょうか。「〇〇なので、アレルギー(あるいは風邪)」という判断基準のようなものまで聞くことができれば、両方の見解について患者さん自身も比較検討できるのではないかと思います。丁寧に説明してくれないと質問しづらいものですが、もう一歩踏み込んで尋ねることも大切だと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 耳鼻咽喉科の吸引のように医療者にとってルーチンでおこなっていることも、患者にとっては初めて経験することは多々あります。やはり、一つひとつの検査や処置、治療について、目的や内容について丁寧に説明することが大切ではないでしょうか。
 そして症状の悪化を訴えてきた患者に対しては、まず考えられる原因を丁寧に伝えたうえで、わかりやすく対策を説明することだと思います。とくにこの方のように受診を機に悪化している場合は、そのことについて申し訳ないという気持ちを示すことは大事だと思います。逃げ腰だったり、言い訳をしたり、他人事のような対応をされたりすると、患者は不信感を抱きがちです。医療者が真摯な姿勢で向き合ってくれるかどうかで、患者の気持ちも大きく変わると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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