患者相談事例-156「孫が急な発熱。生活保護を受けている娘の代理で付き添った診療所で、心ない対応をうけました」
[患者さんの相談事例] 2016/03/04[金]
現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?
生活保護を受けている娘の不在時、発熱した孫のため受診した診療所で、心ない対応をうけました。(54歳・女性)
27歳の娘は結婚して2人の子どもを出産したのですが、夫からDV(ドメスティック・バイオレンス:家庭内暴力)を受け、1年前に離婚しました。そのため、生活保護を受けながら、4歳と2歳の子どもを一人で育てています。いま、娘は資格を取って働くために技能習得費をいただいて専門学校に通っており、娘がいない時間帯は私(母親)が子どもを預かって面倒をみています。
昨日、4歳の孫(女児)が朝から発熱し、夕方になると39度まで熱があがってきました。娘は専門学校の実習の関係で帰宅が21時を過ぎる日だったので連絡をすると、「緊急時に利用する医療券があるので、それを持って受診してほしい」と頼まれました。そこで、私がかかりつけにしている診療所は20時まで診察しているので、そこに孫を連れて行きました。
診療所で医療券を出すと、受付の人に「提出していただくのは、これじゃありません」ときつい口調で言われ、受付を通されないままずっと待たされました。その診療所には親子の女性医師がおり、私はいつも母親の先生に診てもらっていました。しかし、その日は娘の先生が担当であることがわかりました。彼女はとても怖い表情で迎え入れるなり、「いったいいくらにしてほしいの!?」「何をしてほしくて来たのよ!?」と強い語調でいきなり言うのです。その言葉に孫は怯えて泣き出してしまったのですが、私は高熱が心配だったので、我慢して症状を伝え、診察をお願いしました。一応、診察と検査はしてもらえて、インフルエンザは否定され、薬を出してもらって帰ってきました。
生活保護ということで見下されたのか、何を誤解されたのかわかりませんが、あんな対応をされても、「ありがとうございます」と頭を下げなければならないことが悔しくて、仕方ありませんでした。帰宅後も小さな子どもがいるところであんな言葉を投げかけるなんて・・・と思い出すと情けなくて、涙がこみあげてきました。
私がいつも診てもらっている母親の先生はとても穏やかな人で、いつも親身に話を聴いてくださいます。それだけにとても残念で、誰かに悔しい思いを聴いてもらいたくてお電話したのですが・・・。

もし持参した医療券が間違っていたのだとしても、もう少し丁寧な説明があってしかるべきだと思います。また、診察室に入るなり、強い語調で詰問のような言葉を投げかけるというのは、腹立たしい思いや辛い気持ちになられても当然だと思います。
この方には、ともかくお気持ちに共感しながら、落ち着かれるまで時間をかけて話に耳を傾けました。

お孫さんのかかりつけの小児科は別にあるらしく、翌日には受診し直すことができたそうです。それにしても、受付スタッフが生活保護の受診について対応に慣れていなかったのか、何か誤解をしたのか理由は判然としませんでしたが、あまりにも一方的な対応だと思います。この方がおっしゃるように、4歳の子どもにとっても、自分の祖母が叱られているような対応を目の前でされるのは悲しいことだと思います。
この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・

認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML
理事長 山口育子
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