[患者さんの相談事例] 2016/04/15[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

夜、急に上がった血圧が下がらず、不安で救急車を呼んだのですが、搬送先の医師に怒鳴られました。(78歳・女性)

 私は一人暮らしなのですが、70歳を過ぎたころから体調管理の一つとして、1日数回の血圧測定をしています。多少の変動はありますが、だいたいいつも上が120mmHgぐらいで安定していて、これまで健康診断を受けても高血圧症と指摘されたこともありませんし、日常的に服用している薬もありません。
 ところが10日ほど前の夜、めまいを感じて、血圧を測りました。すると上が200mmHgもあったのです。深呼吸を何度か繰り返したのですが、何度測っても血圧が下がりません。そのうち、からだが震え出したので、怖くなって救急車を呼びました。
 駆けつけた救急隊員はとても親切に優しく接してくれたので、安心感を覚えて病院に搬送してもらいました。ところが、診察室に運ばれ、救急隊員から状況を聞いて現れたドクターが、いきなり「こんな症状ぐらいで救急車を呼ぶんじゃない!ほんとうに救急車を必要としている人に迷惑じゃないか!」と声を荒げて怒鳴られたのです。私はどうしていいのかわからず、ただ謝るしかありませんでした。
 実は、その日は金曜日で、翌日が土曜日で受診できないことも不安の一つとしてありました。それに、いつもは正常な血圧が200mmHgにもあがるなんて、何か急に怖い病気になったのではないかと不安になったのです。誰にも相談できず一人でいると不安は高まるばかりでした。私はどうすればよかったのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 一人暮らしで夜に突然血圧が高くなったまま下がらず、さらにからだに震えが生じれば、不安になられて当然だと思います。ご自身では、何が原因の高血圧か判断することはできないと思いますので、今回救急車を呼んだという行為は、責められることではないと思います。なぜ救急車を呼んだのかを確認することもなく、いきなり怒鳴るほうが乱暴ではないかと思いました。
 ただ、今後の対策としてできることがあるとすれば、何でも相談できるかかりつけ医を見つけておかれることだと思います。診療所(クリニック)が請求できる診療報酬点数のなかに、「時間外対応加算」というものがあり、請求できる要件は時間外に患者からの相談に乗る体制を整えていることが挙げられています。つまり、今回のように夜に血圧が上がって下がらなくなったときに、まずはかかりつけ医に電話で相談することができるのです。もし、かかりつけ医の判断で救急車を呼ぶようにアドバイスを受けたとしたら、「かかりつけ医に救急車を呼ぶように言われた」と伝えることができ、ドクターにも患者さんが独自の判断で呼んだのではないことが伝わり、今回のような対応にはならないと思います。
 かかりつけ医の候補は、健診やインフルエンザの予防接種などのような機会に診療所を利用して、ご自分に合うドクターを探すこともできますので、これを機会に考えてみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
なかには下痢や便秘、微熱程度の軽症なのに救急車を呼んだり、タクシー代わりに使ったりする人もいるので、ドクターのなかには先入観があったのかもしれません。しかし、なぜ救急車を呼ぶに至ったのかの確認もせずに、いきなり決めつけて怒鳴るというのは、いかがなものかと思います。一度頭ごなしに怒鳴られるという経験をすると、次回以降、もしかしたらほんとうに救急搬送が必要なときなのに呼ぶことをためらって大事になることも考えられます。
 これから高齢者がますます増える時代を迎えるにあたり、救急搬送も増えるでしょう。もちろん、患者側も節度ある受診の意識を高めていく必要性がありますが、医療者の皆さんには先入観で決めつけての対応することがないように気をつけていただきたいと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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