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[患者さんの相談事例] 2016/04/28[木]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

膝の骨折の見逃し。病院側はいったん非を認めたのに、その後意見を翻し、話し合いにもなりません。(49歳・男性)

 75歳の母が急に膝の強い痛みを訴え、近くにある総合病院の整形外科を受診しました。MRI検査を受けたのですが、整形外科医は「何の異常もありませんから、齢のせいでしょう。痛みがあるなら、痛み止めの薬は出しておきましょう」と診断名もつけず、鎮痛薬を出す以外に何の治療もしてくれませんでした。

 4か月ぐらい様子を見ていたのですが痛みはまったく改善しないのに、整形外科医は何の対処もしてくれません。そこで、思い切ってセカンドオピニオンを受けたいと整形外科医に伝え、4か月前に撮ったMRIの画像を入れたCDをもらいました。それを持参して、セカンドオピニオン外来ではなく、別の病院の整形外科を初診で受診しました。

 MRIの画像を見たドクターは、「膝の骨が割れていますね。この状態から4か月経っているので、さらに悪化している可能性があります。こちらでもMRIを撮ってみましょう」と言われて検査を受けました。画像を見たドクターは「ここまで悪化しているとは・・・」と思わず言葉をもらし、「しばらくリハビリと温存治療をしてみますが、状態によっては手術になるかもしれません」と言われました。その後、しばらく様子を見ていたのですが、やはり改善することはありませんでした。そのため、手術を受けることになり、来週入院の予定になっています。

 画像を見ただけですぐに骨が割れていると言われたので、最初の病院の読影ミスだと思い、先日病院と話し合いをしてきました。実は、最初の病院には母親は内科にもかかっていて、その担当が院長なのです。そのような関係もあり、話し合いの場に事務の担当者と一緒に院長自らが出てきました。私(息子)が別の病院に移ってからわかったことを説明すると、院長は「全面的に当院の落ち度です。申し訳ありませんでした。これまでの治療費は全額お返ししますが、それ以外についてはこの場でお伝えしかねますので、しばらくお時間をください」と素直に謝罪してくれました。

 ところが、それから数日後、母親に直接電話があり、「改めてカルテを見直し、調べてみると、当院には何の問題もありませんでした。よって、治療費をお返しすることはできません」と一方的に言って電話が切れたというのです。そこで、再び私が病院に出向いて院長と整形外科の担当医と面談しました。私が「別のドクターが一目見ただけで骨が割れていると指摘したわけですから、MRIの画像の見落としであることは明らかではないですか」と指摘すると、整形外科医は終始下を向いたまま顔をあげようともしません。院長は「私は内科医なので、MRIのことはわかりません」と無責任に突っぱね、話し合いにもなりませんでした。こうなれば法的な手段に訴えるしかないと思っているのですが、その場合、どうすればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 確かに、いったん非を認めた病院側が翻意し、問題はない、治療費も返さないと言っていることに対して、患者さん側が納得できないと思われれば、それ以上の直接の交渉は不可能ということになります。法的解決と言っても、簡易裁判所に申し立てる調停やADR(裁判外紛争解決)、民事訴訟などがあります。それぞれ経済的、時間的、精神的負担などが異なりますので、その違いを理解したうえで、どの手段を取るのか冷静に考えることが大切です(実際の相談では、それぞれの特徴について説明させていただいています)。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 最初の病院の院長は一度非を認めて謝罪しておきながら、顧問弁護士や誰かに相談して「認めるべきではない」と言われて翻意されたのでしょうか。このように態度を二転三転させることは、患者側の不信感を煽ることになりがちです。この方も、最初に素直に認めて謝罪してもらった時点では、支払った医療費の返金だけで納得しようと思っていたのに、態度を翻されたことで「支払った医療費の返還だけでは納得できない気持ちになっている。今度受ける手術の費用はもちろん、母親が受けた苦痛に対する慰謝料も支払ってもらいたい」と態度を硬化させておられました。やはり誠実に向き合うなかで、非は非として認め、真摯な対応をしていただくことが大切ではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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