[患者さんの相談事例] 2016/05/20[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

難易度が高い手術は収益につながらないからと、個室への入院を求められたのですが…。(35歳・女性)

 約3年前に子宮筋腫が見つかり、「いまなら負担の少ない腹腔鏡手術で筋腫の核摘出ができます」と手術を勧められました。しかし、特につらい症状もなく、筋腫がさらに大きくなるかどうかわからないと言われたこともあって、「できれば手術は受けたくない」と伝えて経過観察をしてもらってきました。

 ところが最近になって急に筋腫が大きくなり始め、ドクターから「もう手術をせずに様子をみることは勧められません。それに、これ以上大きくなると、子宮全体を摘出しないといけなくなりますよ。核摘出をするなら、いまが最後のチャンスです」と言われました。どうしても手術を受けるのなら腹腔鏡でと希望したのですが、「この大きさの筋腫だと当院では腹腔鏡の対象にならないので、開腹手術になります」と言われました。そこで、ネットで調べた結果、小規模な病院ながら腹腔鏡の手術件数が多いドクターを見つけたので、それまで診てもらっていた担当医にお願いして紹介状を書いてもらったのです。

 紹介状と画像などの検査データを持って受診すると、ドクターは「この大きさの子宮筋腫を腹腔鏡で手術するのは難易度が高いので、一般的には断られると思います。でも、私は腹腔鏡で手術をおこなう自信はありますよ」と言ってくれたのです。ただ、「難易度が高い手術は収益につながらないので、1日25,000円の差額ベッド料が必要な個室に入院していただきたいのです」と言われました。7日間の入院と言われているので、余分に20万円近いお金が必要になり、ちょっと経済的には負担が大きいなと思っています。ただ、「難易度が高い手術は収益につながらない」という言葉の意味と、なぜそれが個室への入院とつながるのかが理解できないので、返事をしあぐねています。どういう意味なのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 もちろん、真意は言ったドクターに直接尋ねるしかありません。ただ推察するに、難易度の高い腹腔鏡手術ということは、通常の腹腔鏡手術より時間と労力を要するということだと思います。しかし、たとえば3倍の時間をかけて手術をおこなったとしても、手術の診療報酬が3倍になるわけではなく、請求できる点数は同じです。それだと割が合わないので、せめて別に請求可能な差額ベッド料を支払ってもらうことで、採算を合わせようという意味なのではないかと思います。
 まずはドクターに直接、どういう意味なのか確認したうえで、難易度が高い手術ということからも慎重に選択するようにしてください。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 これまでも採算を合わせるためだろうと思う同様の対応は見聞きしたことがありますが、ここまで露骨に提案するのも時代の変化なのでしょうか。確かに時間と労力がかかっても報酬は同じということへの疑問は感じるだけに、複雑な心境になりました。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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