[患者さんの相談事例] 2016/07/22[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので 、実際にはもっと実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

デイサービス利用中の事故。施設側に医療費や交通費の支払い義務はない?(44歳・男性)

 75歳の父は3年前に脳梗塞を発症し、右半身麻痺と言語障害、記憶障害があり、介護度5と認定されています。基本的に自宅で療養しているのですが、週に一度、デイサービスを利用しています。
 4か月前、デイサービス中に車椅子から前のめりに転倒するというアクシデントがありました。顔を床に打ちつけたために、額を傷つけ、6針も縫う怪我を負ったのです。施設の説明によると、父の介助をしていたスタッフが父のそばから離れてしまい、何かの理由で前へ進もうとした父が机をつかんで車椅子を動かそうとして転倒したらしいのです。
 額がパックリと割れたため、施設の車ですぐに病院に運び、縫合する処置を受けました。そのときにかかった医療費は施設が負担してくれました。ところが、その後の4回の通院と、それに伴って移動したタクシー代はすべて私たちの負担だったのです。医療費は後期高齢者なのでさほど高くありませんが、タクシー代は合計で1万円近く要しました。
 抜糸を終えたあと、施設長と事務長が我が家にやってきて、見守り不足を認め、謝罪してくれました。その際、通院にかかった医療費と交通費の話になったのですが、「それについては現段階では即答しかねます。考えさせてください」と言われてしまいました。施設で起きた事故で、見守り不足が原因だったと認めているのなら、費用負担をするのは当然ではないでしょうか。施設の対応に納得がいかないのですが。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 おっしゃることはもっともですし、心情も理解できます。ただ、かかった医療費や交通費の支払い義務までは明確に決まっているわけではないので、そこは交渉するしかないのです。施設側も「払わない」と言っているわけではないので、まずはいったん保留して持ち帰って検討する結果を待ってみてはどうでしょうか。そのうえで、支払わないという回答があれば、その理由や考えを確認してみてはどうかと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 見守り不足と非を認めて謝罪に出向いたのなら、費用の話は当然出てくると思います。やはり事前にその辺りまで医療機関として方針を伝えられるようにしてから謝罪に臨む必要があるのではないかと思いました。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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