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[患者さんの相談事例] 2016/08/26[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので 、実際にはもっと実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

施設入居中の母の胃がん。医師の方針で積極的治療が行われず、末期になってから報告されたのですが…。
(65歳・女性)

 89歳の母は80歳を過ぎたあたりから認知症が出始め、3年前、グループホームに入所しました。高血圧や貧血気味だったので、月に2回、グループホームのかかりつけ医から訪問診療を受け、血液検査などもしてもらっていました。しかし、検査の結果などは家族にまったく報告がなかったので、てっきり異常がないと思っていました。

 ところが、3か月前にグループホームから連絡があり、話があるというので行くと「じつはお母さんは胃がんで、すでに何の治療もできない状態らしいのです」と言われました。私(娘)は驚いて、「月に2回訪問診療を受けていたのだから、もっと早くに病気がわからなかったのですか?」と聞くと、「それは先生から直接説明を受けてください」とかかりつけ医の診療所の連絡先を教えてもらいました。

 そこで、すぐに診療所に電話をかけてアポイントを取り、会って話を聴きました。すると「少しずつ腫瘍マーカーの値は上がってきていましたけれど、90歳近くになって手術や抗がん剤治療をするのはからだに負担が大きいでしょう?とくに苦痛を伴う症状があれば緩和する治療は行いますが、ご高齢の方に積極的な治療をすることに私は反対なんです」と自慢げに言われました。

 そういえば、グループホームに入所した当初、母に食欲がなくなって食べ物を受けつけなくなったときだって、点滴もしてくれませんでした。別の入所者が亡くなられたときも、「点滴1本もすることなく、自然な状態で見送ることができたよ」と誇らしそうにスタッフに話していたのを思い出しました。

 結局、母は2週間前に亡くなりました。もっと早い段階で治療を受けていれば助かったのではないかという思いが拭いきれません。ドクターがどのようなポリシーを持つかは勝手ですが、病気が判明した段階できちんと患者や家族に伝え、どうしたいのかを確認するのが筋ではないですか。勝手にポリシーを押しつけられただけでなく、選ぶ機会すら与えてもらえなかたことに怒りを覚えています。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 もちろん、医療者には守秘義務があります。医師、歯科医師、薬剤師、助産師は守秘義務を守らなければ刑法上の罪に問われます。看護師の場合も、保健師助産師看護師法のなかに守秘義務に関する項目がありますし、この看護師の行為は個人情報保護上も問題です。
 娘さんご自身がどこまで問題にしたいと思っているかの確認が必要ですが、もし何か行動に移すとすれば、まずは病院に事実関係を伝えることかと思います。娘さん自身が「どうしたいか」という想いを重視することが大切なので、そのあたりをよく話し合ってみてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 ご自身が正しいと思っていても、その価値観を押しつけるのは問題だと思います。しかも家族にそれを最初に伝えたのは施設の職員です。家族に来てもらって、ドクターが直接伝えるのが本来の姿ではないでしょうか。もう引き返せない状態になって現実を伝えるというのはいかがなものかと思います。
 強いポリシーを持っている人は、自分の考えは正しいと押しつけがちですが、価値観は個々人によって多様です。やはり本人や本人が意思表示できないときには身近な家族などとよく相談し、方針を決めることが何よりも大切だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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